世界の植物をめぐる80の物語 の商品レビュー
ジョナサン・ドローリ『世界の植物をめぐる80の物語』(ルシール・クレール挿画,穴水由紀子訳,柏書房2022年9月第1刷)の感想。 『世界の樹木をめぐる80の物語』の続編。今回は樹木に限らず植物全般から選び出された80の物語になっている。前作と同じく、植物についてさまざまな面から取...
ジョナサン・ドローリ『世界の植物をめぐる80の物語』(ルシール・クレール挿画,穴水由紀子訳,柏書房2022年9月第1刷)の感想。 『世界の樹木をめぐる80の物語』の続編。今回は樹木に限らず植物全般から選び出された80の物語になっている。前作と同じく、植物についてさまざまな面から取り上げられていて、興味深く読んだ。判型も同じで、美しいイラストが大きい紙面で楽しめる。カミガヤツリの頁などは大いに気に入った。 トマトの項によれば、現代イタリア語"pomodoro"の由来は「金のリンゴ(pomo-d'oro)」では無く「ムーア人の果物」という意味の"pomo di moro"の短縮だという。トマトが「黄金の果実」とはいささか誇張が過ぎると思うていたので一寸ほろにがい気分だ。 日本のものではスサビノリ、キク、イチョウの項目があり、特に海苔などは普段食べているわりに知らないことが多く、興味を唆られた。 前作と比べ、皮肉っぽい・持って回った表現がやや多く見えた。これも著者の味なのであろうが、前作の方が日本語の文章として読みやすく仕上がっているので、素直に植物の物語を読みたい向きには、やはり前作から読む事を勧める次第であります。
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