吉原幸子詩集 の商品レビュー
とても素直な人だったのかなという 印象を受けました。 言葉の連なりが まっすぐ胸にとどいたから、 そう感じられたのかもしれません。 この詩人の言葉を 硬筆でカミソリのように鋭いと評する人がいます。 詩人自身も、 知的で凛としていて、純粋に、ひたむきに この世界と向き合っていらっ...
とても素直な人だったのかなという 印象を受けました。 言葉の連なりが まっすぐ胸にとどいたから、 そう感じられたのかもしれません。 この詩人の言葉を 硬筆でカミソリのように鋭いと評する人がいます。 詩人自身も、 知的で凛としていて、純粋に、ひたむきに この世界と向き合っていらっしゃったそうです。 自分を詩人にしたのは幼年期の記憶だと ご自身がおっしゃっています。 その時代はちょうど 太平洋戦争の前後にあたります。 激しく移り変わる世の中に晒されたことと、 生前、谷川俊太郎氏に語ったとされる 「私にはふたつ秘密があるの」ということが、 作品に影響を与えているのかもしれませんね。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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「 散ってもよかったし 散らなくてもよかった木の葉 初めから なってもよかったし ならくてもよかった木の実 そんなものが あり得たろうか かがやいてゐた 間違いない 自然の中に 」 気づかないだろう、輝いていることに。 だから気づいてもらえるように精一杯伝えたい ・・樹に・・ バラを食べることをしないから、自分は傷つかないし批判されないが、バラを大切にもしてないのかも、傷つけているのかも 触れて、きれいだと伝えるだけで精一杯 ・・パンの話・・
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「オンディーヌ」は数多ある詩集の中で最高に位置づけられる名作だ。語彙の豊富さ、語感の良さ、モチーフ、吉原幸子が凝縮されている。
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幼年連?が好きで一度まとめて読んでみたかった。 「仔犬の墓」「もらった記憶」 巻末のエッセイ「人形嫌い」も印象的 「幼女が泣きながら走るとき、それはつねに仰向けである。涙をおおう掌があることを知ることが、幼女との決別であるなら、彼女は今もなお、その掌を知ろうとはしないのだろうか...
幼年連?が好きで一度まとめて読んでみたかった。 「仔犬の墓」「もらった記憶」 巻末のエッセイ「人形嫌い」も印象的 「幼女が泣きながら走るとき、それはつねに仰向けである。涙をおおう掌があることを知ることが、幼女との決別であるなら、彼女は今もなお、その掌を知ろうとはしないのだろうか。」 おそろしさとは ゐることかしら ゐないことかしら (無題) こひびとよ そんなにもありありと むかしの話をしてくださいますな ・・ それがわたしだったのか あなただったのか もうわからなくなってしまった わたしたちが知らなかったその頃を 語りあふと あの時 草むらにメダルを落としたのもその子だったし あの時 ぶちの蛙を殺したのもその子だったし わたしたちは 一人しかゐなかったのでした (こひびとよ) 目をつぶるやうに 耳もつぶることができたら こころも つぶることができたら (ひとで) よろこびを感じるためには かなしみも感じるといふ 対価が要る かなしみを知らずにすむためには よろこびも知らないといふ 対価が要る いつもかなしみの対価をはらってきた よろこびが 好きだったから あんなに でももう 支払ひの力が尽きた もう何も知らずに 生きたい (遺書)
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純粋すぎる魂は傷みやすくもろい。詩人としての素質には必要不可欠の要素ではあるが、実生活ではどれほど生きづらいだろう。 現実の世界と易々と折り合いをつけられる人間は文章など書かない。吉原幸子の詩を読むと、決してかさぶたにならない生々しい傷を見せられているような気がして、同族嫌悪...
純粋すぎる魂は傷みやすくもろい。詩人としての素質には必要不可欠の要素ではあるが、実生活ではどれほど生きづらいだろう。 現実の世界と易々と折り合いをつけられる人間は文章など書かない。吉原幸子の詩を読むと、決してかさぶたにならない生々しい傷を見せられているような気がして、同族嫌悪にとらわれることがある。 この詩集の中でも「オンディーヌ」は別格である。裏切られた女の悲痛な声が静かに響く。 愛とは許すこと。裏切りでさえも。だからこそ愛とは堕落なのだ、とオンディーヌは呟く。堕落することは彼女の純粋さが許さなかった。だから愛は死ぬのだ。脆い硝子のように砕け散り、踏みつけられ粉々になり、誰からも顧みられることもなく。 暗い水の底でじっと身を潜め、時の移ろいに身を任せ続けていたら、いつか心の痛みは癒えるのだろうか。冷たい水の中で体も心も凍らせ、目を閉じていたら。 オンディーヌは全ての女性の代名詞である。吉原幸子とオンディーヌは写し鏡のように悲しみを呼応させながら、閉じた世界の中で絢爛たる氷の花を咲かせ続けるのだ。
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傷ではあるけれど、露悪的に感じないのは、 リズムによるところが大きいのではないでしょうか。 簡単なようでいてひとすじなわでいかないというか、 なんで好きなのか説明しづらいのだけれど、 何回も読み返してしまいます。
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ひとつめとふたつめの詩が雰囲気があって好きです。才能や知性に溢れてます、モチーフがおいしすぎる。花や人形、夕方や餓鬼道、けもの、魚、いうれい(旧仮名遣いなんですよ)。
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「おそろしさとは ゐることかしら ゐないことかしら」 どことなく朔太郎に近いものを感じさせる作家さんです。
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