カースト アメリカに渦巻く不満の根源 の商品レビュー
ごく単純に、相手を人間として見る、全ての人を自分と同じ人間として尊重するだけでいい。そうすることで社会、世界全体がより平和に豊かになるのだとウィルカーソンは訴える。
Posted by
内容はかなり重く読み進めるのは簡単ではなかったが、アメリカに渦巻く不満の根底には、カースト制度があって、そう簡単なものではないのだと改めて思い知らされる。警察官に疑いをかけられそうになった時の恐怖、レストランでの店の対応に対する友人の行動、飛行機内での出来事など、本人の感情描写も...
内容はかなり重く読み進めるのは簡単ではなかったが、アメリカに渦巻く不満の根底には、カースト制度があって、そう簡単なものではないのだと改めて思い知らされる。警察官に疑いをかけられそうになった時の恐怖、レストランでの店の対応に対する友人の行動、飛行機内での出来事など、本人の感情描写も明確で印象に残る。 人が持つ根底意識についても考えさせれる。
Posted by
アメリカもインドも行ったことがないので、両国における「カースト」も「人種差別」も肌で感じたことはなく、日常的に冷遇されたり無視されることを経験している「従属カースト」出身の筆者によって書かれた本書の内容も、真に理解できたとは思いませんが、それだけに根強いものを感じます。 「ヒエ...
アメリカもインドも行ったことがないので、両国における「カースト」も「人種差別」も肌で感じたことはなく、日常的に冷遇されたり無視されることを経験している「従属カースト」出身の筆者によって書かれた本書の内容も、真に理解できたとは思いませんが、それだけに根強いものを感じます。 「ヒエラルキーの重荷の大半を担う底辺のカーストがカースト制度を作り出したのではないのであり、底辺のカーストだけでそれを直すことはできない。昔から問題を難しくしているのは、カーストによる不公平を正すのにもっといい位置にいる支配カーストの人の多くが、それを直す気がいちばんない場合が多いことである。」 相手をごく単純に「人間」として見る。 まずはそこから始めたい。
Posted by
ひとつひとつは短文だが、読み進めるのが困難なほど過酷な歴史を克明に書いている。舞台はアメリカだが、インドを含めた様々な身分制度についても同時に取材を行なっている。 日本の近現代史について、ここまで書く人は現れるだろうか。 終盤で、アメリカはお金でなんとかなる制度は整っているが、...
ひとつひとつは短文だが、読み進めるのが困難なほど過酷な歴史を克明に書いている。舞台はアメリカだが、インドを含めた様々な身分制度についても同時に取材を行なっている。 日本の近現代史について、ここまで書く人は現れるだろうか。 終盤で、アメリカはお金でなんとかなる制度は整っているが、貧困層を救済する措置が先進国の中で類例を見ないほど少ないとある。戦争地域でもないのに、市井で銃で撃たれて死ぬ人の確率も多い。それでも移民はアメリカを目指す。
Posted by
カーストはインド固有の話だと思っていたのだが、ナチスドイツにおけるユダヤ人、アメリカにおける黒人差別もカーストとして捉えるという視点には目から鱗が落ちた。ニュースで見ているだけでも、自由平等とは名ばかりのアメリカだが、そこで生きてきた黒人女性作家の経験も織り交ぜて語られており、問...
カーストはインド固有の話だと思っていたのだが、ナチスドイツにおけるユダヤ人、アメリカにおける黒人差別もカーストとして捉えるという視点には目から鱗が落ちた。ニュースで見ているだけでも、自由平等とは名ばかりのアメリカだが、そこで生きてきた黒人女性作家の経験も織り交ぜて語られており、問題の根深さが感じられた。オバマ、トランプ、バイデンと続くアメリカ政治の流れにおいて、熱狂的なトランプ支持の動きが理解できなかったのだが、カーストというアメリカに渦巻く不満の根源を理解することで、腑に落ちる所があった。
Posted by
ホームコメディやハリウッド映画‥音楽もファッションも‥陽気で楽しく自由な米国が大好きで憧れだった時期から、アメリカの翻訳小説に熱中し始めると、これまで目を背けていた米国の負の側面も見え隠れして‥それでもさすがに「南北戦争」「奴隷解放」は過去のものと思い込んでいたのだけれど甘かった...
ホームコメディやハリウッド映画‥音楽もファッションも‥陽気で楽しく自由な米国が大好きで憧れだった時期から、アメリカの翻訳小説に熱中し始めると、これまで目を背けていた米国の負の側面も見え隠れして‥それでもさすがに「南北戦争」「奴隷解放」は過去のものと思い込んでいたのだけれど甘かった。まだまだ、それこそがアメリカ社会にいまも続く無意識な差別感情を再生産する制度だとは、根が深過ぎて暗澹たる気持ちで読み進むが最後の最後、明るい兆しが有ってホッとしたし、冒頭のアインシュタインの言葉に救いがあると信じたい。
Posted by
twitter 評者:秋元由紀(翻訳者) 日経新聞20221210掲載 評者:西山隆行(成蹊大学法学部政治学科教授,政治学) 東京新聞2023325掲載
Posted by
- 1