愚者の階梯 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
忘備録。輝ける人間ってを慕って意に沿おうとした結果、敬愛する恩師の命を奪うことになった人間が害虫呼ばわりされてしまおのは気の毒すぎる。自らの輝きで人を惹きつけて大いに稼ぐ人間はしっかり守られても、片や職務に忠実で従順な凡人が虫けらのように扱われてしまうというのではいいわけがない。本文から
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松井さんの昭和初期歌舞伎座3部作の最新の1冊。歌舞伎「勧進帳」のセリフにケチをつけた国粋主義者の言動がきっかけで、老舗の劇場で不幸な事件が起こる。さらに、明確な意図のないまま、第二第三の事件が起こる。タイトルにある愚者の階梯は、ちょっとしたことで悪に手を染めたものが、どんどん深み...
松井さんの昭和初期歌舞伎座3部作の最新の1冊。歌舞伎「勧進帳」のセリフにケチをつけた国粋主義者の言動がきっかけで、老舗の劇場で不幸な事件が起こる。さらに、明確な意図のないまま、第二第三の事件が起こる。タイトルにある愚者の階梯は、ちょっとしたことで悪に手を染めたものが、どんどん深みにハマる状況をよく描写している。自分にも該当することがないか、省みる良いきっかけ。これで完結かと思いきや、さらなる続編も期待できるかも。
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戦争の足音の聞こえる昭和10年、劇場を舞台に亀鶴興業の専務が自殺する。その死をめぐって桜木治郎は探偵もどきに謎に迫っていく。舞台裏の様子、特に仕掛けなど大道具の扱い、劇場の運営の大変さなど興味深く、警察や右翼に染まっていく民衆の雰囲気など不気味な背景が迫ってきた。
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事件の顛末と時代の空気感をリンクさせて表現した伝統芸能ミステリー。使われる言葉や文章表現からして時代感を表現できているのはすごい。あまりにも文章が巧みなのでどんどん読み進めてしまう。それぞれの人生模様が面白い。ただし、正直ミステリーとして読むには説得力が足りないように感じたし、首...
事件の顛末と時代の空気感をリンクさせて表現した伝統芸能ミステリー。使われる言葉や文章表現からして時代感を表現できているのはすごい。あまりにも文章が巧みなのでどんどん読み進めてしまう。それぞれの人生模様が面白い。ただし、正直ミステリーとして読むには説得力が足りないように感じたし、首謀者不在の時代犯罪に警鐘を鳴らすには描かれる事件とエピソードが弱すぎると思った。
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昭和初期の演劇界の雰囲気がプンプンする。 序盤はとても惹きつけられたが、中盤からテンポが落ちた感じがする。 昭和初期の雰囲気をじっくり味わうにはそうあるべきかもしれないが。 ちょっとした行き違いから雰囲気と忖度に流されて思わぬ結末を迎えるというのは、今にも通じる。古今東西共通...
昭和初期の演劇界の雰囲気がプンプンする。 序盤はとても惹きつけられたが、中盤からテンポが落ちた感じがする。 昭和初期の雰囲気をじっくり味わうにはそうあるべきかもしれないが。 ちょっとした行き違いから雰囲気と忖度に流されて思わぬ結末を迎えるというのは、今にも通じる。古今東西共通か。
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昭和10年の頃の出来事、第ニ次世界大戦前の日本はこんな時代だったろう。映画は無声からトーキーへ関東大震災があり、特高がバッコし住みにくい時代だった。殺人事件を追う刑事と歌舞伎役者、そしてかけだしの映画俳優の絡むミステリーだった。
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散りばめられた謎に引き込まれ、読むのを止められず。 作品の時代の空気が、現代と重なる部分が多く見られ、恐ろしくも興味深かった。 作中、いくつもの階梯を見た。感じた。 とりわけ心に残ったのは、内在する光源によって照らされた階梯。 それを昇るべきか否かを見極める力、勇気が、真に生きる...
散りばめられた謎に引き込まれ、読むのを止められず。 作品の時代の空気が、現代と重なる部分が多く見られ、恐ろしくも興味深かった。 作中、いくつもの階梯を見た。感じた。 とりわけ心に残ったのは、内在する光源によって照らされた階梯。 それを昇るべきか否かを見極める力、勇気が、真に生きるためにいかに大切か。 今、自分のいるところから世界を、人生を、我が心を改めて見渡す。 そんな思いになった。 何度も読み返したい、好きな作品。
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