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自由が上演される の商品レビュー

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2022/12/18

分量のわりに引用される思想家が多いものの、いずれも平易に説明されるので難解さはないし、ひとつひとつの紹介が面白い。演劇や教育に限らず、映画や小説、暮らし、労働といったさまざまな場面で誰しもが遭遇し少なからず考えたことのあるであろう関係の非対称性や自由、演劇性の問題があらためて言語...

分量のわりに引用される思想家が多いものの、いずれも平易に説明されるので難解さはないし、ひとつひとつの紹介が面白い。演劇や教育に限らず、映画や小説、暮らし、労働といったさまざまな場面で誰しもが遭遇し少なからず考えたことのあるであろう関係の非対称性や自由、演劇性の問題があらためて言語化される。たくさんのことが書き込まれてその全てに対して明瞭な答が与えられているわけではない(というか与え得ない)ので、これを足がかりに各自がどうやって思考を展開していくのか、というのが大事なんだろうなと思う。手もとに置いておきたい一冊。 日常への応用性といった点からはややはずれるけれど、ハイデガーのナチス加担に関する解釈が特に面白かった、全体主義にのめりこんだ民衆の根無草性とも結果的に合致していると思う。

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2022/11/16

「演劇教育」の実践者・渡辺健一郎による「自由」という大きな問いを考え直そうとしたはかりごとの軌跡が書かれた本。 無学な私にとっては、読めるようになりたい本、というところか。それでもなんとか、両者の溝を埋めようとあがくならば、次のような物言いになるのかもしれない。 自由を与え...

「演劇教育」の実践者・渡辺健一郎による「自由」という大きな問いを考え直そうとしたはかりごとの軌跡が書かれた本。 無学な私にとっては、読めるようになりたい本、というところか。それでもなんとか、両者の溝を埋めようとあがくならば、次のような物言いになるのかもしれない。 自由を与え/奪い返そうとする「戦争」の、刻一刻が歴史に刻まれる有様をリアルタイムで眺めていると、能動的/受動的という二項対立をもつ自由を求める戦いには、勝者はいないという気さえする。 能動は事後的であり、観客は上演を止められる━━。 自由をめぐって「演じる」「観る」という、それぞれのステークスホルダーによる非対称な行為こそが、新たな時代の幕開けに不可欠となりうる自由の重みをはかり続けることなのだろう。

Posted byブクログ

2022/11/16

とても興味がある題材で、示唆に富んだ話が多いと思うのだけど、ちょっと自分にはハイコンテクスト過ぎたかもしれない。 この本を読むために前提として必要な知識が結構たくさんあって。 フーコーが何者かとか知っていないと意味が理解できないし、 言葉も難解で、ちょっとしんどかった。 哲学とか...

とても興味がある題材で、示唆に富んだ話が多いと思うのだけど、ちょっと自分にはハイコンテクスト過ぎたかもしれない。 この本を読むために前提として必要な知識が結構たくさんあって。 フーコーが何者かとか知っていないと意味が理解できないし、 言葉も難解で、ちょっとしんどかった。 哲学とか心理学をある程度学んだ人が読むものなのかな。 しかし演劇による教育は必要だと感じていて。 他者になりきって演じることでその人の気持ちがわかるし、 共演者から投げかけられる台詞に対してどう感じるか、演じてみないとわからなかったりすると思う。 とかく他者理解の解像度を上げることに高い効果があり、結果自分自身の輪郭も見えてくる。 多様性の時代にとても大事な感覚を育んでくれる気がしている。 もっというと、人間は日常生活の中でも様々なキャラクターを演じていて、 それによって心を守ったり、パフォーマンスを上げたりしているので 演じることは人間が獲得した社会性の根幹をなす性質だと思っているんだけど。 ただこの本では何かもっと高尚なことが語られているようで、 僕はそこにたどり着けませんでしたすみません。

Posted byブクログ

2022/10/16

第一章 ・フーコーインパクト、、規律訓練 ・ドゥルーズインパクト、、デジタル管理:環境管理型権力 ・ダブルバインド(ベイトソン)、、反復されることが問題 第二章 ・コンセンサスが前提にしているのは、係争の当事者と社会の当事者の間のズレそのものの消滅である ・不和へと開かれるには無...

第一章 ・フーコーインパクト、、規律訓練 ・ドゥルーズインパクト、、デジタル管理:環境管理型権力 ・ダブルバインド(ベイトソン)、、反復されることが問題 第二章 ・コンセンサスが前提にしているのは、係争の当事者と社会の当事者の間のズレそのものの消滅である ・不和へと開かれるには無数に存在するはずの「まだ聞こえてない声」への通路を担保する必要がある、そのためには自分という領域を確定するわけにはいかない。 ・「ケアとはニーズを満たそうとすること」 ・ニーズ(↔欲求)byノディングス 、、明示的ニーズ↔推察されるニーズ→ケアは時に暴力を伴いうる 第三章 ○ハイデガーのダブルバインド ・ドイツの近代国家成立に古代ギリシアの模倣が不可欠であったが、それはすでにフランスによって達成されていた。 →古代ギリシアの「発明」。自らの本質を作り上げる。=内在主義。 共同体の根拠を内部で完結させる。全体主義が神をを必要とせず自分達を想像主体にする。 ・最初から聞かれるべき声を設定しまうことも内在主義(ナンシー)

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