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転生悪女の黒歴史(9) の商品レビュー

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2023/01/14

イザークという人間がここまで輝きを持ったキャラクターになるとは登場当初は思わなかったなぁ…… 当初は人畜無害そうな優男、その後に裏側の意外性を持っていると知らしめ。この巻で彼の理想が描かれた事で印象は様変わり この人こそ、イアナの隣が最も相応しい人物と思えただけに…… この巻...

イザークという人間がここまで輝きを持ったキャラクターになるとは登場当初は思わなかったなぁ…… 当初は人畜無害そうな優男、その後に裏側の意外性を持っていると知らしめ。この巻で彼の理想が描かれた事で印象は様変わり この人こそ、イアナの隣が最も相応しい人物と思えただけに…… この巻では冒頭からイザークの過去や心情へ迫るエピソードが多く描かれているね 普通の家庭に育った筈なのに、両親が犯罪者扱いされた事で人生は激変。他人も自分も未来も過去も信じられなくなったイザークが世間を斜めに見るのは当然の流れ。だというのにイアナはそんなイザークの目線にこそ「人を見た目とかレッテルで判断しない」と評するんだね… イザークが既に失ったと思っていた価値観を持っていると、それにより自分は救われたのだと教えてくれる。そんな存在はイザークにとって無二のもの 開いた者を「理想の物語」に閉じ込める呪いの本。イアナにとってはこの世界そのものが理想と呪いに該当するようなものだから、容易に閉じ込められたイザークを解放できると思いきや… イザーク自身が理想から抜け出したいと思わなければ脱出は叶わない。一度全てを失ったからこそ全てが満ちている世界から抜け出したいと思えない 本来なら引っ叩いても連れ戻さなければいけない事態。でもイアナはそんなイザークの意思を尊重してしまうんだねぇ… イザークも佐藤コノハも「理想の世界」を作ってまで求めたのは「必要とされる人生」。ならイザークにとって自分の意志を理解して、価値を否定しないでいてくれたイアナこそ、理想を超えた理想の存在というわけか… 一方でイアナへ提示される元のイアナにとっての「理想の物語」が絶句するような哀しい物語だった…… 幼い頃は蟠り無く仲の良い姉妹として一緒に居たコノハとイアナ。けど『黒歴史』の運命はコノハを善、イアナを悪とするように創られている。なら元のイアナにとって世界そのものが敵 だからこそ、自分が存在していても穏やかさを保つ世界の様相こそが「理想」となってしまうのか…… 誰もが持つような当たり前を「理想」の中にしか再現できないイアナとイザークはもう不可分の存在。だから聖者としての演説もイザークの言葉はイアナの支えを前提としたものになるし、イアナもイザークの心を支えたいと思う 二人が二人として、辿り着くべき場所へ辿り着いた瞬間にまさかの刺客が……。いや、幾ら何でもこの展開は残酷すぎますよ…… イアナと不可分となって、そして今のイアナを好きだと言ってくれる尊い人で… だというのに喪われてしまった。思い通りになる筈の世界で思い通りにならない哀しい物語。その引き金を引いたのがイアナがこれまでしてきた『黒歴史』への罪滅ぼしだったなんて…… 大を救うためには小を切り捨てるのは果たして間違いと言えるのか?という点は数多くの作品で扱われてきた問題なのだけど、本作では大が「世界そのもの」であり小が「イアナ」となってしまうのね… これまでだってイアナは『黒歴史』に存在するコノハ達の為に悪女として振る舞ってきた。今回のそれは過去最大級の偽称。既に聖者は死んでしまった。ならその状況で悪女にしか成れないイアナに出来る事は…… いや、幾ら何でもこの覚悟は哀しすぎますよ…… 悪女は斃れ聖者は目覚めた。物語はようやく正しい形へ ここから始まるのはコノハの物語?これまでは愛玩的置物感が強く意思が見えづらい面が多かったコノハ。後は彼女が運命に盲目的に従って世界を救えばそれで済む話。それでもコノハは自分の意志で悪女を取り戻そうとするのか……?

Posted byブクログ