韓国併合 の商品レビュー
日本の戦争への道を考えるときにある種の不可逆的な一線を超えたのは、満州事変だと思う。 が、そのとき、韓国はどうなっていたのか、日本は韓国を植民地しただけでなく、どのように併合してしまったのか、という疑問がよぎるわけだが、なかなかコンパクトにまとまっていそうなものはなかった。 ...
日本の戦争への道を考えるときにある種の不可逆的な一線を超えたのは、満州事変だと思う。 が、そのとき、韓国はどうなっていたのか、日本は韓国を植民地しただけでなく、どのように併合してしまったのか、という疑問がよぎるわけだが、なかなかコンパクトにまとまっていそうなものはなかった。 そういう中で、新書で読めるこの本を発見して、読んでみた。 知らないことばかりで驚いた。なんと強引なやり方で、他国を植民地化していったのか。。。。 自らが西洋諸国に植民地化される恐れの中で、頑張り続け、その結果、自らが植民地主義者になってしまったのだ。自分がやられたこと、やられそうだったことを他国に対して、やっているという構図。 そうした流れを日本側ではなく、韓国側の歴史を中心に読み込んでいく。そして、ここでなされていることが、ある種の成功パターンとして、満州事変、支那事変で繰り返されるわけだ。
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近年の研究成果を反映しながら、大韓帝国が成立して崩壊していく過程に着目し、韓国併合に至る軌跡と実態を史料に基づき実証的に描く。また、1990年代以降の韓国併合をめぐる合法・不法等の論争についても整理している。 これまで日本視点での韓国併合論についてはいくつか読んだことはあったが、...
近年の研究成果を反映しながら、大韓帝国が成立して崩壊していく過程に着目し、韓国併合に至る軌跡と実態を史料に基づき実証的に描く。また、1990年代以降の韓国併合をめぐる合法・不法等の論争についても整理している。 これまで日本視点での韓国併合論についてはいくつか読んだことはあったが、大韓帝国の視点から韓国併合までの歴史をたどるというのは新鮮で、知らなかった史実も少なくなく、勉強になった。 特に、大韓帝国や高宗が当初明朝をモデルとした(小)中華思想に基づく国家を目指していて、西欧流の近代国家にいち早く切り替えた大日本帝国と最初から齟齬があったという点は興味深かった。このことを象徴するものとして、日朝修好条規締結前に、日本使節をもてなす宴会で日本側が西洋式の大礼服を着用しようとしたことについて、朝鮮側が明朝中華の服装こそ正式で、西洋式の衣服の着用を認めることは夷狄・禽獣の文化を受け入れることだとして一悶着あったというエピソードが印象的だった。 大韓帝国側にも、独立協会や一進会など、日本を利用して近代化を進めようという動きが相当程度あったということも理解した。 最後の韓国併合をめぐる論争の整理もよくまとまっていて、ありがたかった。韓国併合や第2次日韓協約の国際法的な合法・違法の論点はなかなかどちらが妥当なのか 判断しがたいところがあるが、紹介されている坂元茂樹氏の当時の国際法では有効であるが明治政府の行為は正当化できないという「有効・不当論」の立場に一定の説得性を感じた。 少なくとも、著者が史料的根拠から結論づけているように、多くの朝鮮人が日本の支配に合意せず、歓迎しなかった一方、日本が朝鮮人から統治に対する「合意」や「正当性」を無理やりにでも得ようとしたというのはそのとおりなのだと考えるので、そのような事実は踏まえた議論が望まれよう。
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19世紀後半の列強諸国の東アジアへの関わりから、当時の朝鮮及び日本の立場を説明する。 長い間中国の所謂「属国」として朝貢体制をとり、正統な中国として見ていなかった清に対し、朝鮮こそ中華思想を継承できる国であると考える非近代的な国家であったようだ。そこに植民地を拡大する列強が侵食...
19世紀後半の列強諸国の東アジアへの関わりから、当時の朝鮮及び日本の立場を説明する。 長い間中国の所謂「属国」として朝貢体制をとり、正統な中国として見ていなかった清に対し、朝鮮こそ中華思想を継承できる国であると考える非近代的な国家であったようだ。そこに植民地を拡大する列強が侵食してくる。日本にとっては脅威であり、また列強の仲間入りを目指すチャンスでもあったのは確かだ。 日清戦争、日露戦争、韓国の植民地化は、同じ文脈で語られるが、本書ではそれを含め韓国併合までの日韓両国の条約締結までの背景や史実を淡々と述べてくれているので、読者に正統性の判断を任せているように感じた。 日韓はよく言われるように近くて遠い国だ。 歴史認識の合意を探るとしても、政治の在り方や、それに伴う史実の記録や整理の仕方も大きく異なる両国で、現在にまで残され確認できる史料を突き合わせて、日本ではこう記されている、大韓帝国ではこう記されていると議論しても、合意を求めることは難しいだろうと言う。 そもそも条約体制の外交を実践した国とそうでない国の記録を、対等に突き合わせて議論すること自体が難しい。 文在寅大統領の登場で、再び最悪の関係となったが、先日訪日した尹錫悦大統領と岸田首相との会談で、お互いの国に対する感情が少しだが改善したようだ(岸田首相に直接お詫びの言葉を発して欲しかったが)。 私たちは互いに良い未来を構築していく必要があるが、多くの朝鮮人が日本の支配に合意せず歓迎しなかったこと、一方、日本が朝鮮人から統治に対する「合意」や「正当性」を無理やりにでも得ようとしたことは事実であり、これこそが韓国併合ではないだろうかと結んでいる筆者の言葉は、我々も認識しておくべきことだろう。
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高校までの歴史授業では、明治維新時の内政改革を列挙した後、議会開設と大日本帝国憲法が・・くらいまでしか、聞いた記憶が無い。おそらく時間切れ、あとは自習ということであったろう。日清・日露、大正デモクラシー、太平洋戦争、また、小村寿太郎、原敬・・という単語はもちろん記憶にとどめる。し...
高校までの歴史授業では、明治維新時の内政改革を列挙した後、議会開設と大日本帝国憲法が・・くらいまでしか、聞いた記憶が無い。おそらく時間切れ、あとは自習ということであったろう。日清・日露、大正デモクラシー、太平洋戦争、また、小村寿太郎、原敬・・という単語はもちろん記憶にとどめる。しかし、「韓国併合」について、高校生がどのように理解するかと言えば、征韓論→日清日露の勝利によって日本も版図を広げ帝国主義列強の一員に??という、単視眼的な理解でのインプットを促す書き方でしか、サブテキストなどにも載っていなかったと思う。東学党だの義和団だの閔妃だのというのも片隅に書いてあったとは思うが、あまりにも断片的で頭に入らなかった。 本書を読んで思いを至らせることになるのは、当時、清、露、欧米列強、日本がグローバリズムの中で少しでもよいポジションを占めるために複雑な政治、軍事の施策を矢継ぎ早に行っていたことである。朝鮮半島は地理的に、そして歴史の時間軸の中で、非常に不幸な位置におかれたようだ。高宗をはじめ、当時の朝鮮の指導者エリートたちは様々なやり方で必死に自分たちの国家をまとめようとした。が、及ばず、現代の私たちがイメージする独立国家への遷移は、そこでは叶わなかった。 もう一つ、本書で印象に残るのは、他国に乗り込み、駐在して、自国にもっとも有益な結果を生むために、その国の国情を分析し、協力者を作り、工作し、世論、数的優位を整え、交渉カードを準備して、為政者に抜き身を引っ提げ交渉するという生々しい「外交」の姿である。
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海を隔てたとは言え、隣国である現在の韓国。 何故、併合されたのか、歴史の教科書より少し深いところがありました。 閔妃暗殺をもう少し詳しく知りたかったのですが、そこは他の書と同様にサラッとでした。 巻末のあたりに 併合とは日本からの見方で 侵略、植民地化、韓国(朝鮮)からはそう捉...
海を隔てたとは言え、隣国である現在の韓国。 何故、併合されたのか、歴史の教科書より少し深いところがありました。 閔妃暗殺をもう少し詳しく知りたかったのですが、そこは他の書と同様にサラッとでした。 巻末のあたりに 併合とは日本からの見方で 侵略、植民地化、韓国(朝鮮)からはそう捉えるのだ とある とても考えさせられる。 李氏朝鮮が近代化していく風景を垣間見れた本です。
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日清戦争から日本による韓国併合までの詳細が分かる。 日本の学校教育では、韓国との関係をほとんど教えてくれなかった。そのため、韓国側の日本への対応に関して理解が難しい。この本を読むことによりそれらの疑問への解があるていど得られる。朝鮮半島の歴史を知り、日本の植民地となった経過を詳し...
日清戦争から日本による韓国併合までの詳細が分かる。 日本の学校教育では、韓国との関係をほとんど教えてくれなかった。そのため、韓国側の日本への対応に関して理解が難しい。この本を読むことによりそれらの疑問への解があるていど得られる。朝鮮半島の歴史を知り、日本の植民地となった経過を詳しくしることがなければ日本と韓国の関係を語ることはできない。 非常に近い隣国である韓国と日本が有効的な関係を築くことは両国国民にとっての幸せであることは間違いない。しかし、それが進むのではなく足踏みとか後退が多い。打開の基本は歴史を踏まえることだろう。
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韓国併合に至るまでの過程を朝鮮側から描いた書。著者は擁護しているが高宗のビジョンの浅さが際立つ。 従来の緩やかな朝貢体制下の宗属関係「属国自主」が西洋的条約体制に適応する際に、条約論理上の自主独立と清への完全服属を巡って日清戦争が起き、日本式の甲午改革で近代的独立国となった。 ...
韓国併合に至るまでの過程を朝鮮側から描いた書。著者は擁護しているが高宗のビジョンの浅さが際立つ。 従来の緩やかな朝貢体制下の宗属関係「属国自主」が西洋的条約体制に適応する際に、条約論理上の自主独立と清への完全服属を巡って日清戦争が起き、日本式の甲午改革で近代的独立国となった。 しかし、対外独立の下立憲君主制を目指す親日改革派(都市部の独立協会)と中華の後継者として専制政治を好む親露的な高宗で対立が起き、大韓帝国成立後、露館播遷などを通じて皇帝高宗は中枢院を無効化し、儒教と洋風を混ぜた皇帝専制を志向するが、財政難に苦しむ。 日露対立の中、高宗は対露提携・局外中立と日韓協約を天秤にかけ、前者を選んだ。日露戦争勃発後直ちに日韓議定書と第一次日韓協約が結ばれ、政府顧問や軍事利用が進んだ。戦後米英露の承認の下第二次日韓協約が強引に調印、ハーグに密使を送った高宗が退位して伊藤博文統監が政府を掌握した。在野では一進会や大韓自強会の保護国を評価する勢力もいたが、反対する義兵の抗日運動が盛んになった。統監政治の失敗を以て日本政府は韓国併合を決断した。 併合の不法性の議論については、日本の強制疑惑/皇帝の批准の有無/決裁過程の不備に収束しており、歴史学・国際法の観点から議論がなされている。儒教的な婉曲表現がわかりにくくさせている一面もあると言う。 人間味のある高宗が想像できたが、君主としては資質に欠ける印象がある。特に外交姿勢では、誠実さを重視する小村寿太郎とは相容れない態度だった。これが日本の失望を招いて併合に繋がったことは否めないと思う。蹇蹇録でも感じたが、守旧派打破・改革断行こそが日本と朝鮮の差だったのだろう。その意味で徳川慶喜は傑出している。 正直日清戦争は日露戦争の前座という印象が強かったが、東アジアの秩序変動という意味では大事件だったことを実感した。 合法不法論争は、蹇蹇録でもあったが朝鮮や清の外交官の国際法への甘い理解が原因な気がする。詳細は下関条約交渉でわかるが、かなりいい加減で、対外交渉でそうなら国内手続だともっと酷いのではないかと予想できるものだった。(儒教的理解から脱却できていないのは現在でもそうかもしれないが)難癖のような議論が多く辟易した。まあ無効という結論ありきの意見に違いないだろうが… いずれにせよ、当時の帝国主義世界で日本の権益を拡張するならば、併合までに行かないにせよ保護国或いは庇護下に置いて近代化を進めるしか無かったように思える。高宗の資質次第では親日的な近代国の道を歩んでいたかと思うと残念である。
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韓国併合の歴史を日清戦争あたりまで遡って、日韓双方の視点から軌跡と実態を描くという、パッと見、嫌韓本ということでは無さそうなので、購入した。 今もなお隔たりのある、歴史認識の違いというのが、日韓でかわされた条約、ひいては植民地が合法だったのか非合法だったのかというレベルで食い違...
韓国併合の歴史を日清戦争あたりまで遡って、日韓双方の視点から軌跡と実態を描くという、パッと見、嫌韓本ということでは無さそうなので、購入した。 今もなお隔たりのある、歴史認識の違いというのが、日韓でかわされた条約、ひいては植民地が合法だったのか非合法だったのかというレベルで食い違っているということらしい。 これを白黒つけるのはいつまでたっても無理。ただ多くの朝鮮人が合意せず、歓迎しなかった、ということは読み取れる。だから日本も悲しい過去があった事は認めているので、そのあたりでいいんじゃないかと思う。
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韓国の文書がかなりつかわれていることが見て取れる。今までの本はほぼ日本側の政治のみであったが、韓国側の政治的な動きが丁寧に書かれている。これからの韓国併合の基本書となるであろう。
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序章:中華秩序のなかの朝鮮王朝、第一章:真の独立国家へ、第二章:朝鮮王朝から大韓帝国へ、第三章:新国家像の模索、第四章:大韓帝国の時代、第五章:保護国への道程、第六章:第二次日韓協約の締結、第七章:大韓帝国の抵抗と終焉、終章:韓国併合をめぐる論争。大韓帝国の側から見た韓国併合の様...
序章:中華秩序のなかの朝鮮王朝、第一章:真の独立国家へ、第二章:朝鮮王朝から大韓帝国へ、第三章:新国家像の模索、第四章:大韓帝国の時代、第五章:保護国への道程、第六章:第二次日韓協約の締結、第七章:大韓帝国の抵抗と終焉、終章:韓国併合をめぐる論争。大韓帝国の側から見た韓国併合の様子を描く。清を頂点とする中華冊封体制から抜け出した朝鮮だったが、小中華の考え方から離れられず、高宗が専制主義を目指したため、近代資本主義を目指した日本の体制に抗うことはできずに保護国、そして日本と併合せざる得ない状況になってしまったことがよく分かる。併合が合法か、不法かの結論は出していないが、主な争点は、①通常の決済過程を経ていない、②高宗皇帝が認めていない、③日本側による強制があった。の三点であることはここ120年の間変わっていないという。
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