このて 左 の商品レビュー
BL。猫のような男の子が可愛い。続きが気になり一気読み。途中、男の子の辛い経験の描写が生々しすぎて、物語に入り込めず。この男の子の言葉遣いも馴染めなかったなぁ。でもまずまず面白かった。 残酷すぎる掌でたったひとつの光に触れた。 その夜、会社員の須賀一人(かずと)が自宅アパートへ...
BL。猫のような男の子が可愛い。続きが気になり一気読み。途中、男の子の辛い経験の描写が生々しすぎて、物語に入り込めず。この男の子の言葉遣いも馴染めなかったなぁ。でもまずまず面白かった。 残酷すぎる掌でたったひとつの光に触れた。 その夜、会社員の須賀一人(かずと)が自宅アパートへ帰りつくと、ドアの前に見知らぬ少年が蹲っていた。 彼は、一年前に亡くなった、一人の飼い猫のハナだと名乗る。不審に思いながらも突き放すことができず、「ハナ少年」と同居生活を始める一人。 祖父母とハナしか知らない記憶をなぜか語る少年は、やがて一人の孤独な生活と心に変化をもたらしていく。しかし一人には孤独に生きる理由があった。それは自分の手が、「消えろ」と願ったものを消す力を持っていることだった。 償いの人生を生きる男と、猫だと自称する光り輝く少年の、花々が咲きほこる極彩色の愛の行方は――。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
孤独に生きる会社員、須賀一人の元に過去に飼っていた黒猫のハナだと名乗るひどく小柄な子どものような少年がやってくるところから始まる物語。 触れると望んだものを消すことのできる能力で母親の身籠っていた弟を「消した」ことから心を閉ざし、贖罪として、ゲイでありながら孫の顔を見せるために結婚するべきだと考えていた一人の頑なな心を、猫のようにじゃれつくことで次第に溶かしていくハナ少年。 やがてハナ少年の正体と本当の名前が明かされたところから、物語は急展開を迎え……。 特設サイトで公開されている一章の後は、ハナ少年に視点が切り替わり、結末までが語られます。 ハナ少年=歩和の壮絶な現状にはウワァ…。ネタバレになってしまうゆえに事前に注意喚起出来ないのが、この手のフラッシュバックをお持ちの方に大変キツい。 痛めつけられた猫を保護するかのように、虐げられた歩和を救った一人の優しさに歩和はどんどん惹かれていく。 心を閉ざした冷たい大人の男のかっこよさにメロメロになっていく朝丘さん定番パターン……とはいえ、今回の軸になるのはお互いに境遇は違えど両親からの愛に飢えていたというところ。 欠けた愛情を埋め、生きるためのさまざまなことを教えてくれた祖父母とハナからもらった愛情を歩和へと手渡していく様はさながら育て直しのよう。 意地を張って素直になれなかった継父との関係性が一人の介入により持ち直し、厳しさの中にある深い愛情に触れられた点は素直に良かったね…と。 お祖母さんの施設でのエピソードなど、ひとりでは気づけなかったことをふたりで見つけていく描写のあたたかさがそこかしこに溢れています。 朝丘作品の悪い意味での名物であるホモファビアの苛烈さと「不毛でも迫害されながら貫く真実の尊い愛!」とゲイである自分達に酔う描写はここにきてグッと控えめに。 LGBTQという単語が繰り返し出てくるあたり、自分達は確かにマイノリティだが社会でも無視できない共に生きる存在として認知されつつあるのだから…と、悲観しすぎずに受け止めようとしつつあるのは良い変化。 時代性を無視できないし、BLの役割も変化しつつある証なのかも。 ネグレクトによって極端に小柄で153センチしかない歩和がきちんと成人しているのも…配慮ですよね。笑 毒親、性的虐待を法廷で争うことの難しさ、介護や相続…現代でも身近なテーマを扱いつつ、物語は歩和への性的暴行を行うグループへと一人が力を利用した『制裁』を行ったことで急展開へ。 このまま後編は一ヶ月待ちですか…ハッピーエンドが待っていると分かっていてもキツいですね。 さてはて、どうなることやら。
Posted by
- 1