特撮黄金時代 の商品レビュー
2022年、今年のお楽しみは「シン・ウルトラマン」の公開でした。また沖縄復帰50周年に合わせるように金城哲夫と上原正三というウルトラシリーズの骨格を作った沖縄出身のふたりの脚本家を主人公にした「ふたりのウルトラマン」がNHKBSでオンエアされました。今年に限らずウルトラマンモノは...
2022年、今年のお楽しみは「シン・ウルトラマン」の公開でした。また沖縄復帰50周年に合わせるように金城哲夫と上原正三というウルトラシリーズの骨格を作った沖縄出身のふたりの脚本家を主人公にした「ふたりのウルトラマン」がNHKBSでオンエアされました。今年に限らずウルトラマンモノは常に再生産されています。ウルトラマンは時代を超えて過去を振り返りつつ未来に進んでいくコンテンツなのだと思います。その原点を作ったのが円谷英二率いる円谷プロダクション。実相寺昭雄監督が梁山泊と言った初期のメンバーへの超マニアックなインタビュー本です。聞き手も円谷プロ最後の社員監督であり自分が背中を追いかけた先輩たちに、彼らから見た「円谷英二」を聞き取るという二重の眼差しを重ねるオーラルヒストリー本です。それは特撮が映画からテレビという舞台へ移行していく時代の細かい記録であり、めちゃめちゃディープなカメラについての技術論(ここらへんのテクニカルタームはわからないことも多々ですが…)であり、あるいは円谷英二を中心とする人と人のつながりや世代交代論だったりして、もう思いっきり満喫出来ます。こういう細かな芸談が書き残されるということは特撮というジャンルの幸せかも知れません。間に合ってよかった…という本だと思います。決してウルトラマンからシン・ウルトラマンに直接バトンが受け渡されている訳じゃないのです。特撮は工夫、これはこのジャンルを永遠にしてくれるパンチラインだと思いました。
Posted by
- 1