世界学校 の商品レビュー
いま話題になっている『世界学校』を読破した。 ジョッキのビールを飲み干すごとく、一気に読み干した。 まさに「読み干す」という言葉どおり、不思議な世界に誘われ、ぐいぐいと引っ張られた。 ファンタジスティックとでも言おうか、非日常とでも言おうか、ちょっとふわふわした印象が全体を包ん...
いま話題になっている『世界学校』を読破した。 ジョッキのビールを飲み干すごとく、一気に読み干した。 まさに「読み干す」という言葉どおり、不思議な世界に誘われ、ぐいぐいと引っ張られた。 ファンタジスティックとでも言おうか、非日常とでも言おうか、ちょっとふわふわした印象が全体を包んでいるように思われたが、一首一首は実はそれとは逆で、地面にしっかりと立っているようなリアリティや、読者に迫ってくるような緊張感を持つ歌が多く、こうしたギャップも不思議な世界観を創り出している一因かもしれない。 不思議といえば、この歌集の歌はほとんど?が破調で、それらは指折り数えれば31拍の定形に収まっていないのだけれど、しかしどういうわけか、違和感無く読めてしまい、むしろ定形さえ感じさせるところもまた不思議である。 これまで前衛短歌とかニューウェーブ短歌とか、新たな短歌運動はいくつも出てきたし、その中で様々な試みがなされてきたと思うが、2022年、現代におけるまた新たな短歌の姿、その歌たちに出会った気がしている。巻末の「記憶技師の日常」も必読。 ペットボトルの水を死んだ場所にちょっとかけて午後はそれで終わり フラワーしげる
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