システム正当化理論 の商品レビュー
社会的に不利とされている集団は有利な集団よりも、自己集団に対する評価が低く社会システムを正当化する傾向がある。本書はこうした議論を主題とするシステム正当化理論に関する解説書である。実験結果などが紹介され、確かにそうした傾向があるのは事実なのだろうと思った。また、「貧しいけれど幸せ...
社会的に不利とされている集団は有利な集団よりも、自己集団に対する評価が低く社会システムを正当化する傾向がある。本書はこうした議論を主題とするシステム正当化理論に関する解説書である。実験結果などが紹介され、確かにそうした傾向があるのは事実なのだろうと思った。また、「貧しいけれど幸せ」といった欠点を補う相補的ステレオタイプが社会システムの正当化を強化しているというのは興味深かった。そのほか、自集団を擁護する傾向も人にはあるため、顕在的指標よりも潜在的な指標で不利集団の外集団贔屓が見られるというのも面白かった。 一方で課題設定からそうであるが、全体的に上から目線とも思える点は気になったし、なぜそうした傾向があるのか(現状の合理化や劣位の内在化といった説明ほありつつも)メカニズムの解読が弱いように感じられた。
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◆北村英哉(東洋大学社会学部社会心理学科教授):なぜ「経済的に恵まれない人」が「新自由主義を支持する」のか? 社会心理学が明らかにしたこと(現代ビジネス 2022.8.5)
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