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ソビエト帝国の崩壊 の商品レビュー

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2024/09/18

1980年に刊行された新書の復刻版ですが、本書の予言どおりソ連は1991年に崩壊。 当時ソ連はまだまだ超大国でしたが、その頃にソ連崩壊を予言したのは、アプローチは違えど恐らく小室直樹氏とエマニュエル・トッド氏ぐらいのもんでしょう。 階級がないはずの共産主義国なのに特権階級が君臨す...

1980年に刊行された新書の復刻版ですが、本書の予言どおりソ連は1991年に崩壊。 当時ソ連はまだまだ超大国でしたが、その頃にソ連崩壊を予言したのは、アプローチは違えど恐らく小室直樹氏とエマニュエル・トッド氏ぐらいのもんでしょう。 階級がないはずの共産主義国なのに特権階級が君臨するという階級論の矛盾、マルクス主義とユダヤ教の共通点、スターリン批判による社会の混乱など、社会科学による切れ味鋭い分析には感嘆しきりで、ますます社会科学への興味が深まりました。

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2023/12/03

 ソ連崩壊をいち早く見抜いた著者が、社会学的知見に基づき、ソ連の政治、経済や宗教的特徴を分析した予言書。日本を含む資本主義と、ソ連のような社会主義国家の特徴を、マルクス『資本論』をベースに分析する。前者、すなわち資本主義の場合、消費者の主権が強く、利潤追求のために、組織が合理化さ...

 ソ連崩壊をいち早く見抜いた著者が、社会学的知見に基づき、ソ連の政治、経済や宗教的特徴を分析した予言書。日本を含む資本主義と、ソ連のような社会主義国家の特徴を、マルクス『資本論』をベースに分析する。前者、すなわち資本主義の場合、消費者の主権が強く、利潤追求のために、組織が合理化されていることを挙げる。それに対してソ連の社会では、非公認の特権階級が存在してることや、貨幣を所有したとしても、必ずしも商品を購入できるとは限らない。社会主義社会では、貨幣が根本的な富とはならず、生産手段が私有化されないなど、資本主義社会における論理が通用しない。  また、本書では西欧とソ連の権力構造の違いについても解析する。、ローマ・カトリック世界、すなわち、俗なる秩序と聖なる秩序を有しており、それが近代デモクラシーに繋がったと、著者はいう。一方、ギリシャ・カトリックは、俗なる世界の支配者は、同時に聖なる支配者でもあるという。そこから、ソ連型のマルクス主義は、西欧型と異なり、宗教的な理由があると見抜く。  最後に、日本の国防のあり方についても言及しており、中立が成立するには、周辺国の理解と尊重が欠かせないと警告する。

Posted byブクログ

2023/03/02

2023年に読むとなるほどそうですよねと言うところですがこれが1980年の本となると、なんとまあ先見の明があるもんだとなります。なんにせよ、難しい話をわかりやすく書けることは素晴らしいです。

Posted byブクログ

2022/10/16

ソ連崩壊を予測したという小室直樹による『ソビエト帝国の崩壊』。文庫として復刊されたもの。 当時の状況はビビッドにはわからないけれど、フルシチョフによるスターリン批判とかアフガン侵攻とかはあったにせよ、これほどまでにソ連の状況を伝えた書物もなかったんだろう。その意味ではやはり著者の...

ソ連崩壊を予測したという小室直樹による『ソビエト帝国の崩壊』。文庫として復刊されたもの。 当時の状況はビビッドにはわからないけれど、フルシチョフによるスターリン批判とかアフガン侵攻とかはあったにせよ、これほどまでにソ連の状況を伝えた書物もなかったんだろう。その意味ではやはり著者の慧眼は光るものがある。 特に何よりもノルマが優先し効率性や経済的な合理性が顧みられない共産主義体制、官僚主義による組織の暴走に着眼しているのは今となっては当たり前かもしれないけれど、1970年代に言及できたのは著者一流の洞察力の賜物だろう。 また、最終章で日本に言及されているけれど、日本人の好きな非武装中立の不可能性、シビリアンコントロールの定義など、勉強になるところは多い。 所々、ロジックが飛んでいて?となるところはあるが基本的には理解できる内容かと思う。 いま復刊してくれた光文社に感謝。

Posted byブクログ