ダマシオ教授の教養としての「意識」 の商品レビュー
確実に「意識」というものに迫り、解説してくれるのだが、一つ一つの言葉の定義が半端なままで展開される論説に揺さぶられ、時々、手ごたえを感じて言葉を握りしめる。手を開くと、そこに部分的な理解が得られているという読書。 明示的な知性と非明示的な知性。 心と意識は別。意識と覚醒も別。 ...
確実に「意識」というものに迫り、解説してくれるのだが、一つ一つの言葉の定義が半端なままで展開される論説に揺さぶられ、時々、手ごたえを感じて言葉を握りしめる。手を開くと、そこに部分的な理解が得られているという読書。 明示的な知性と非明示的な知性。 心と意識は別。意識と覚醒も別。 ー 私たちの感じるものはすべて、私たちの内部の状態と対応している。内受容の仕組みにより、感じることに言葉の力が不要。血管や皮膚、内臓や内分泌腺、生殖器は、感情を生み出す宇宙だ。麻酔は心に作用するわけではないが、感知機能をブロックされると、心が機能し得ない。意識も同様。脳幹上部の前部が損傷を受けても、昏睡は生じないし、意識は失われない。代わりに、覚醒して意識はあるが、身体を動かせない。 ああ、身体状態が感情を生じさせるのか。辛い、疲れた、ムラムラする、イライラする、ウキウキする、ワクワクする。それを知覚して、意識となる。身体がないと感情は生まれないのか。心臓がドキドキしないなら、緊張感はないのだ。ゆえに、感覚とともに心が眠る。 ー 単細胞生物は知的ではあるが、心はないし、意識も持たない。確かに自律的な生物だし、環境に対する認知能力を備えている。しかし、これらの生物は、心や意識に頼るのではなく、分子的なプロセスや分子より小さな規模のプロセスに基づく非明示的な能力に頼っているこの能力はホメオスタシス(恒常性)の指示に従い、効率的に生命を管理している。 ー ウイルスはエネルギー代謝を行わないが、細菌は行う。ウイルスは自分で動けない。自己複製もできない。他の生命システムを利用して増殖する。 言語化の前に、身体感覚や脳機能が働いている。内受容の感知を記憶に突き合わせて、言語化して思考する。感知の緊急度が高ければ反射。今、こうして文を書く時も、頭で作文せずに、指が同時作業で動いている。「意識すると」、自覚する。不思議なものだ。
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『ビジョンとともに働くということ』(山口周 中川淳)で【ソマティック・マーカー】を知り、その関連書を読みたいと思って手に取った『ダマシオ教授の 教養としての「意識」 機械が到達できない最後の人間性』(アントニオ・ダマシオ)。 ソマティック・マーカーというのは、本書著者が出した《意思決定において情動的な身体反応が重要な信号を提供するという仮説》であり、 簡単に言えば、《人が何かを実行しようと思った時の判断には、身体感覚や感情が不可欠》というものです。 「え、大事な事を体の感覚と感情で決めちゃっていいの」と思いますが、 過去の経験によって生まれた情動(身体感覚)・感情を記憶する部分である眼窩前頭皮質が除去された事で、 今まで通りの行動ができなくなくなり、同じミスを繰り返したり、意思決定ができなくなったりした事例があったそうです。 今回の本では、その感情を出す人の意識はどのようにして作られているかが書かれており、 ❶ホメオスタシス(体外環境が変化しても体内の環境を保つために内分泌系、自律神経系、免疫系などに変化が起きる機能)由来の感情。 [ホメオスタシスの例] 暑い時、体温を下げるために汗をかく。 寒い時、体温を上げるために体を震えさせる。…etc。 ❷情動的感情(記憶から呼び戻された今この瞬間の私、最近の私、遠い昔の私についての知識) の2つで出来上がってるとの事で、 答えを出すのが難しい物事を「疑問には答えがあるし、難問は解ける」とずっと研究し続けるダマシオさんって、すっごいチャレンジャーだなって思いました。 「私たちの感情や近くの客体と主体な同じ生物の内部に共存するので「相互作用が可能になる」と読んだ時には、 《大笑いする事を続けたらガン細胞が減った話》や『マカン・マラン』(古内一絵)の《満たされない気持ちより先にお腹を先に満たして気持ちを整理する話》を思い出しましたし、 体と気持ちは繋がってるから体にとって良い事をしないと、 気持ちの面に表れるんだと思った1冊でした。
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難解だったが脳内がグルグル回ってる感覚があった。まず意識ありき、らしい。後は他の本でも解いているホメオスタシスとの関連性。うーん、うまくまとめられない。 整理できたら改めて書きます。
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テーマは面白いのだが、正直何を言ってるのかよくわからない箇所が多々あった。 感情は脳で生まれてるような単純なものではなく、五感であったりホメオスタシスとかさまざまなことが密接に関係して生まれてくる、ということだと思うのだが「なぜ?」という部分の説明がなく自分には理解できなかった。...
テーマは面白いのだが、正直何を言ってるのかよくわからない箇所が多々あった。 感情は脳で生まれてるような単純なものではなく、五感であったりホメオスタシスとかさまざまなことが密接に関係して生まれてくる、ということだと思うのだが「なぜ?」という部分の説明がなく自分には理解できなかった。(単に読解力がないだけかもしれない)
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「意識」についの学術的な解説書というよりは、意識にまつわるいくつかのトピックを取り上げ平易な解説を試みている。「意識」は人間の特殊な能力ではなく、細菌を始めとする数多の生物に備わっている基本的な能力の集積によるものである可能性が高いことを示唆してくれる。
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【概要】 ●ホメオスタシス ●感情の仕組み ●意識とは ●意識と感情の関係 【感想】 ●自分には内容が難しく、これを読んだだけでは「意識」がどういったものか理解することができなかった。
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久しぶりに難しい本を読んだ。理解度は半分もないが、心・感情・意識の違いや関係性が少しわかった気がする。細菌から人間含めた生命維持の複雑さを理解した上で、何を考え、耳を傾けていくかが大事とおもった。日頃、仕事で意識することが大事と言っているが、どうすれば意識できるか考えさせられた。
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重要なのは、私たちが優先すべきことを認識し、人間と生物との相互依存性を認めること。 そして、大規模な問題に考え抜くことに人生を捧げるなどすること。これが全て。
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