落花狼藉 の商品レビュー
吉原といえば、歌舞伎などで観る桜満開の中での花魁道中、豪華絢爛な世界が思い浮かぶ。 吉原は自然と傾城屋が集まって出来たと思っていたけれど、大見世「西田屋」の主・甚右衛門の並大抵ではない働きがあってのことで、甚右衛門を支える女将・花仍を主人公に、人間模様、恋模様を混えて吉原の成り立...
吉原といえば、歌舞伎などで観る桜満開の中での花魁道中、豪華絢爛な世界が思い浮かぶ。 吉原は自然と傾城屋が集まって出来たと思っていたけれど、大見世「西田屋」の主・甚右衛門の並大抵ではない働きがあってのことで、甚右衛門を支える女将・花仍を主人公に、人間模様、恋模様を混えて吉原の成り立ちが描かれている。江戸時代の吉原と形は変わっても今でも続く世界。時代は流れても、普遍的なものなのだなと感じながら読了しました。
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江戸の傾城屋が結集し御免色里の元吉原を造り、大火を経て新吉原に移るという吉原の生い立ちを、一人の女将の視点で描いた大河作品。 他の時代小説では流行の発信源としての華やかさや、男女の感情に迫る舞台として扱われる吉原を、ここまで風情をもって描写した作品を他に知りません。 流石は朝井さ...
江戸の傾城屋が結集し御免色里の元吉原を造り、大火を経て新吉原に移るという吉原の生い立ちを、一人の女将の視点で描いた大河作品。 他の時代小説では流行の発信源としての華やかさや、男女の感情に迫る舞台として扱われる吉原を、ここまで風情をもって描写した作品を他に知りません。 流石は朝井さんというべき素晴らしい一冊でした。
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江戸中に散っていた傾城の場をひとつに集めた「吉原」 大火事や幕府からの移転命令にもまけず しぶとく生き残ってゆく吉原の姿を ひとりの女将の目線で描いた作品 吉原って最初から浅草にあったわけじゃないんだ・・・
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なんだろうこれって、昨日も一気に読み終える金と銀、まさかやーあさいまかてをほんの1日で終えるとは。よっぽど面白くて朝井まかてが合うんだろうな、吉原に新吉原に街を一から作るという物語で、歴史も読めたし花魁の粋も素敵だな。甚右衛門の生き様が一本通る、死に際もだよ、貢献して最後はひっそ...
なんだろうこれって、昨日も一気に読み終える金と銀、まさかやーあさいまかてをほんの1日で終えるとは。よっぽど面白くて朝井まかてが合うんだろうな、吉原に新吉原に街を一から作るという物語で、歴史も読めたし花魁の粋も素敵だな。甚右衛門の生き様が一本通る、死に際もだよ、貢献して最後はひっそりとか。清五郎にトラ婆にかやが死ぬ場面も全部出てきて、身近にあるのだよと教わったよ。桜も吉原に咲くから、凄いやり方で。
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吉原の西田屋の女将・花仍と、日本一の遊郭吉原の姿を描いた長編小説。鮮やかな筆致で遊女たちや吉原を創り上げた人たちの姿が描かれていて、歴史を学び直したくなった。 歴史を学ぶことが今、そしてこれからを考える何よりのヒントになるんじゃないかなと思います。 (歴史=暗記だと思ってしまって...
吉原の西田屋の女将・花仍と、日本一の遊郭吉原の姿を描いた長編小説。鮮やかな筆致で遊女たちや吉原を創り上げた人たちの姿が描かれていて、歴史を学び直したくなった。 歴史を学ぶことが今、そしてこれからを考える何よりのヒントになるんじゃないかなと思います。 (歴史=暗記だと思ってしまってる学生、良い先生に出会って欲しいな、と、他人事みたいで申し訳ないけど、思います。。。) 途中から本の感想とずれまくっちゃった!!
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江戸幕府開闢後間もなく、幕府の許しを得て吉原遊郭を創設した庄司甚右衛門の妻として妓楼西田屋の女将となった花仍の目を通して語られる、吉原とそこに生きる遊女たちの物語。 江戸歌舞伎の始まり、猿若勘三郎や伊達騒動の殿様なんかも登場するし、明暦の大火にも見舞われて、なかなかダイナミック...
江戸幕府開闢後間もなく、幕府の許しを得て吉原遊郭を創設した庄司甚右衛門の妻として妓楼西田屋の女将となった花仍の目を通して語られる、吉原とそこに生きる遊女たちの物語。 江戸歌舞伎の始まり、猿若勘三郎や伊達騒動の殿様なんかも登場するし、明暦の大火にも見舞われて、なかなかダイナミックな時代の動き、変わり目を感じる話でした。 ちょっと終盤の展開が飛ばし過ぎなのが勿体ない感じもありますが、遊女若菜とその忘れ形見の鈴、その娘菜緒、菜緒の子の小吉と、血は繋がらないけど、心の葛藤を越えた絆に結ばれた家族に囲まれて、花仍の賑やかな晩年は安らいで見えました。
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遊女・遊廓モノでは珍しく、遊廓の経営者を描いた作品。吉原の創成期の話。終盤に菱川師宣や松尾芭蕉が登場するのはご愛嬌でしょうか。
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吉原が好きだ。 成り立ち、歴史、文化、とかく吉原という街そのものに興味がある。 今では(も?)ソープランド立ち並び、「堅気」の女には入りにくい街ではある。 道を歩けばまっすぐ歩いているはずなのに、大きくカーブして、何処にいるのかわからなくなる。 昔の姿を伝える見返り柳は代替わりし...
吉原が好きだ。 成り立ち、歴史、文化、とかく吉原という街そのものに興味がある。 今では(も?)ソープランド立ち並び、「堅気」の女には入りにくい街ではある。 道を歩けばまっすぐ歩いているはずなのに、大きくカーブして、何処にいるのかわからなくなる。 昔の姿を伝える見返り柳は代替わりし、角に建てられたという稲荷神社がかつてを偲ばせる。 吉原を行き来する人を見てきた大門もない。 しかし、そこにある歴史に惹きつけられる。 性産業そのものは、良いものとは思わない。 必要悪とも思わない。 今も昔も、女にとっての苦界が男にとっての楽園であるのなら、せめて、それが紛い物であったとしても華やかな誇りのある、そんな「悪所」であってほしい。 そう思うのは、現実を知らない人間の描くただの夢だろうか。 さて、本作では、まだ日本堤に吉原が来る前の話から始まる。 花仍(かよ)が桜田(千代田のお城付近)で西田屋の女将として花見に出かけ、乱闘騒ぎを起こすところから物語は始まる。 負けん気強く、直情径行。 突っ走るばかりの女将。 たくさんの女を見てきた。 まちづくりに奔走する甚右衛門とともに吉原を作ってきた。 決して順風満帆ではない。 人の死を見てきたし、汚いものも見てきた。 だが、尊敬する夫と夢を見、奔走したたまちづくりのなんと志高いことだろう。 遊女の立場ではなく、経営者の立場から見た本作は、吉原を舞台とした物語としては珍しい。 そこしか知らない、だからこそせめて、という生き方には悲しさも感じるが、今いる場所で必死になる姿に心が動かされてならない。
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出だしからの面白さに引き込まれていましたが、若菜が亡くなってしまった処で一旦興味が薄れてしまいました。 一週間程経ってからの読了。 吉原遊郭の経営者視点からの展開、もう少し下から目線が欲しかった様な気がしました。 また終盤は年月が飛びすぎていて、無理矢理ランディングさせた感が残念...
出だしからの面白さに引き込まれていましたが、若菜が亡くなってしまった処で一旦興味が薄れてしまいました。 一週間程経ってからの読了。 吉原遊郭の経営者視点からの展開、もう少し下から目線が欲しかった様な気がしました。 また終盤は年月が飛びすぎていて、無理矢理ランディングさせた感が残念。 もっと長編でもよかったんじゃないのかなぁとも思いました。
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吉原というと真っ先に花魁が道中を練り歩く様子が目に浮かびます。しかし、実際はどのような仕組みになっているのか、そこにいる人々はどのように過ごしているのか分からずにいましたが、この小説を読みその成り立ちも含め理解できました。 江戸時代の初め、城下と隔られた日本橋のはずれの町に位置す...
吉原というと真っ先に花魁が道中を練り歩く様子が目に浮かびます。しかし、実際はどのような仕組みになっているのか、そこにいる人々はどのように過ごしているのか分からずにいましたが、この小説を読みその成り立ちも含め理解できました。 江戸時代の初め、城下と隔られた日本橋のはずれの町に位置する場所、吉原で遊廓を営んでいる西田屋の女将、かよ。彼女は幼少期に迷子か捨子かもわからず育った素性の持ち主ですが、主人の甚右衛門に拾われ育ち、女房になって間も無い。ずっと年上の甚右衛門は、売色稼業の吉原を発展させるために様々な見世を一ヶ所にまとめた場所を造り、他の町では売色が出来ないように公儀から許しを貰う。ここから始まる物語ですが、主人公のかよも含め、遊女やその周囲で働く様々な人物が個性豊かで、境遇が恵まれないことを踏まえながらも、生き生きとしていて惹き込まれます。 そして、その生き方が“外道”という言葉が当てはまるほど壮絶な道を歩んだ親仁さん(ととさん)、甚右衛門の偉業が吉原の興盛の基礎を造ったことに間違いないのでした。
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