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日本の美仏図鑑 完全保存版 の商品レビュー

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2023/01/15

様々な仏像の違いを知ることで、寺院めぐりや博物館での鑑賞をもっと豊かにできると思いました。時代別に「飛鳥 白鳳・天平の至宝」「平安の至宝」「鎌倉の至宝」に分けて掲載してありますので、日本仏像史の流れが一目瞭然となっています。 薬師寺の薬師三尊像もしっかりと写し出されていました。台...

様々な仏像の違いを知ることで、寺院めぐりや博物館での鑑賞をもっと豊かにできると思いました。時代別に「飛鳥 白鳳・天平の至宝」「平安の至宝」「鎌倉の至宝」に分けて掲載してありますので、日本仏像史の流れが一目瞭然となっています。 薬師寺の薬師三尊像もしっかりと写し出されていました。台座の文様(19p)もくっきりと見ることができた。 新薬師寺の十二神将像(30p)に対する造形美の素晴らしさも紹介してあります。表紙裏の折り込みの伐折羅大将立像の迫力あるお顔は日本の至宝でしょう。 室生寺の十一面観音菩薩立像(54p)の精巧な造りにも感心しました。色合いも鮮明で、保存状態もすこぶるよく、9世紀の仏像の美の代表の様なものでしょう。日本の仏教美術史の中で、特にその仏像の美しさと秘めた価値を考えますと、よくぞ現代まで無事に伝わったことだと思っています。 浄瑠璃寺(78p)・岩船寺(70p)という京都府相楽郡にある素晴らしい古寺は、南山城を訪れる時に避けられない古寺です。ほとんど奈良との県境にあり、昔なら柳生街道を、今なら車で奈良市内にはすぐに到達する立地にある寺院群です。本誌でもそこの仏様の素晴らしさをそのまま提示していました。 ただ、日本の代表的な仏像を網羅しているかと言われればそうではありません。そこが残念でした。 掲載されていない仏様を列挙しますと、法隆寺の宝物館に飾られている百済観音像、同じく法隆寺の秘仏と言われている夢殿の救世観音像、国宝第1号の太秦広隆寺の宝冠弥勒菩薩、中宮寺の如意輪観音、唐招提寺の鑑真和上座像、興福寺の三面六臂の阿修羅像、同じく東金堂にある四天王立像、北円堂にある四天王立像、運慶作の傑作と言われている無著菩薩立像と世親菩薩立像、大阪の河内長野市の観心寺の如意観音坐像などです。 まだ見たかった仏様は数多くあります。定朝の傑作の平等院阿弥陀如来座像や雲中供養菩薩像、神護寺の本尊である国宝・薬師釈迦如来立像、若き日の運慶の作品の奈良・円成寺の大日如来座像、東大寺南大門の金剛力士立像、六波羅蜜寺に祀られ口から六体の阿弥陀仏を出して南無阿弥陀仏を唱えている空也上人像、同じく眼光の鋭い平清盛坐像、運慶・湛慶坐像、三十三間堂として知られている蓮華王院本堂の千手観音菩薩立像、国宝の二十八部衆像の婆藪仙人立像、帝釈天立像、阿修羅立像、迦楼羅立像、寿宝寺の千手千眼観世音菩薩なども好みですので、載せて欲しかったです。 寺院には本当に美しい姿の仏像が沢山奉られています。仏像が大好きで、若いころから寺院巡りをしてきて、本書掲載の仏様の十数点を実際に拝観してきました。まだお参りできていない仏様も多々あり、ライフワークの一環としてまだ出会っていない仏様が祀られている寺院を訪れたいと思っています。 当然のことながら拝観できる位置と仏像との距離は結構ありますので、拝観時にイメージはつかめても細部の彫刻の素晴らしさや残っている色彩、金箔などはよく分からないままでした。大型の美術ムックですので、迫力の点は当然として、細部の工夫や美しさを知る機会を得たという感じです。 それぞれの美しさは本当に実物の仏様を拝まないと分からないと思っています。その受ける感動は変りません。心の癒しとして、仏様にお参りする際の貴重な指南書として利用されるのもいいですし、仏像ガイドムックというテーマ別の本としての活用も考えられます。

Posted byブクログ