祈り の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
ニンゲンは犬に食われるほど自由だ。ーインド この世はあの世である。ーチベット高原 一燈照隅 万燈照国 ひとつの小さな行為によって 目の前の何かが変化するその有り様 私の旅 ありのままの現実に向かい合った カメラは武器だった 旅の内省化とオウム真理教 閉塞の時代を乗り越える方法としての神秘主義 純粋無垢の青年が 政治的イデオロギーの誘いにからめとられた
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2023/1/15 世田谷美術館 祈り・藤原新也展にて購入。藤原新也さんがラッキーにも来館されていた。 藤原新也といえばインド,チベット。だった。自分の若い頃大きな刺激だった。 ご自身で写真,文章に加え書や絵画も集大成、彼自身の人生の俯瞰図,展開図といった展覧会であり、書籍であ...
2023/1/15 世田谷美術館 祈り・藤原新也展にて購入。藤原新也さんがラッキーにも来館されていた。 藤原新也といえばインド,チベット。だった。自分の若い頃大きな刺激だった。 ご自身で写真,文章に加え書や絵画も集大成、彼自身の人生の俯瞰図,展開図といった展覧会であり、書籍である。 1969年インドの旅から。 神秘的なものや宗教に組み込まれることをひたすらに抵抗した青年期を過ごしたわたし、 この時期インド放浪してこの私のありようが藤原新也であり、2010年代だろうか沖ノ島,女人入島禁止の島は女神,田心姫神降臨の島なのに女神の姿がないとして福岡の海岸で幻の女神を再現する意欲に駆られ、天候により不可能かと思われたとき雲が割れ日が差し風が突然吹き羽衣をなびかせた、 というところに至りこれは驚いた。 現実としてインドガンジス河の実も蓋もない人間の生死 から 現実の中に奇跡、祈りへ至る、ずっと追っかけていたわけではないので過程はよくわからないが、セバスチャンサルガドの写真に度肝を抜かれ魂をひきづられたのち、 2015年にみた映画『セバスチャン・サルガド---地球へのラブレター』(英文題名:The Salt of the Earth)で大きな変容を突きつけられた戸惑い,程の衝撃ではないがその戸惑いに似たものも少し感じながら,それでも圧倒的なパッション、ボリューム、を出している藤原新也の写真と言葉に押される。納得させられる。ブレないブレさせないクッキリとした表現。 チベットの写真が良い。出会った人一人一人のポラロイド、ここで半日くらい過ごせそうだ。 石牟礼道子さんのポートレート。 貧しかった70年代の韓国の田舎の暮らし。 香港雨傘運動をリアルタイムに記録し発信し共感したこと。 人間は犬に食われるほど自由だ。という真実。 会場の至る所に大書される生きろ。 どちらへ向かえば良いのか。わからなくなる。 私は犬の食われる自由に執着する。 多分まだまだなんだと思う、まだまだなにもわかってい。このままたぶんずっとわからない。 (だから?世の中はわかりやすい方に流れ流れている)
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NHK日曜美術館を見て。 写真だけでも迫力あるが、文章にも圧倒される。 年代は上だが、同じ時代を生きてきた証のように、日本の風景は沁みる。
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藤原新也(1944年~)氏は、北九州市(現)に生まれ、東京藝大中退後、インド、東南アジア、アフリカ、アメリカなどを放浪し、写真・エッセイ集を発表。1972年発表のデビュー作『印度放浪』は青年層のバイブル的な存在となり、1981年の『全東洋街道』で毎日芸術賞を受賞、1983年の『東...
藤原新也(1944年~)氏は、北九州市(現)に生まれ、東京藝大中退後、インド、東南アジア、アフリカ、アメリカなどを放浪し、写真・エッセイ集を発表。1972年発表のデビュー作『印度放浪』は青年層のバイブル的な存在となり、1981年の『全東洋街道』で毎日芸術賞を受賞、1983年の『東京漂流』は、大宅壮一ノンフィクション賞及び日本ノンフィクション賞に推されたが、辞退した。同年に発表された『メメント・モリ』(ラテン語で“死を想え”)は、隣り合わせの死と生を考えさせる代表作である。 私にとって藤原氏は、三指に入る好みの(写真などを含む広い意味での)書き手・表現者で、これまで、上記の作品のほか、『日々の一滴』、『コスモスの影にはいつも誰かが隠れている』、『たとえ明日世界が滅びようとも』等、数々の作品を手にしてきたが、本書も出版を知り、早速入手した。 本書は、氏の初期作から最新作までの作品(主に写真)に書下ろしの文章を加えたもので、収録されている写真は、インド(バナラシ、ラジャスタン他)、チベット高原、台湾、香港、韓国、トルコ、アメリカ、パリ、門司港のほか、渋谷、奈良、アイルランド、恐山、沖ノ島(福岡)、宗像、震災後の宮城・福島・岩手、沖縄、富士山、バリ島など、また、山口百恵、小保方晴子、安田純平、伊藤詩織、周庭、大島優子、指原莉乃、石牟礼道子、笠智衆、瀬戸内寂聴ら、である。 氏のメッセージは従前より一貫して、「死ぬな生きろ」(タイムリミットがある、たった一回の短い人生を、死んだがごとく生きるな)というものであるが、本書のあらゆるページからその声が聞こえてくるようで、氏の写真と紡ぎ出す言葉の数々が持つ力を、改めて感じさせられた。 そして、(私などが言うのもおこがましい限りだが)氏はこれまで、世界中の様々な事象や人々にカメラを向けてきて、自分は何者なのか、何をすべきなのか、何ができるのかを、何千回も何万回も問うてきたに違いないのだが、本書のあとがきには次のように書かれている。 「このカタストロフの時代、大きな空論やロジックではなく、ひとつの小さな行為によって 目の前の何かが変化するその有り様は 小さな明かりも集まれば全土さえ照らすという あの言葉を想起させる。一燈照隅 万燈照国 わたしは小さな祈りをあきらめない。」 80を前にして、自らの集大成を意識したと拝察するが、氏でなくては創り得ない無二の作品集と言えるだろう。(この作品集を、大型本ではなく、一般の人にも手に取り易いこのサイズで出してくれたことが、また有難い) (2022年8月了)
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