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森鴎外 学芸の散歩者 の商品レビュー

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2023/10/02

森鷗外に関し、コンパクトに纏まった通史を知ることができる。 紙面が限られるので、やむを得ないところがあるが、各作品の紹介は、情報としては不十分が否めない。 なお、作品を読んでから、本著を読むべし。 (これはMUST) エピローグに戦後の鷗外研究の書籍一覧があり、これは参考になる。...

森鷗外に関し、コンパクトに纏まった通史を知ることができる。 紙面が限られるので、やむを得ないところがあるが、各作品の紹介は、情報としては不十分が否めない。 なお、作品を読んでから、本著を読むべし。 (これはMUST) エピローグに戦後の鷗外研究の書籍一覧があり、これは参考になる。 以下抜粋~ ・刷新を急いだ慶応義塾のために、荷風は鷗外と連絡を取りつつ、いろいろと相談にのってもらったことが、残された資料からうかがえる。二月、慶応義塾大学文学部教授永井荷風が誕生し、五月、「三田文学」が創刊される。鷗外は毎号執筆することを約束し、「スバル」、「三田文学」を拠点とする鷗外の創作活動が、一層加速されるわけだ。 ・「八方塞がり」を「かのように」で処理するのは一つの方法だが、綾小路の言葉にもあるように、「突貫」する意欲を失ったら現実に飲み込まれるだけである。この一節に示された緊張感こそ、鷗外自身の一を示していよう。 ・「制度」がそのものとして正しく機能しない、ゆがんだ人間社会の空隙に向かう鋒であり、いちは鷗外の思いを代弁する存在になっているようにも思う。

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2022/12/11

鴎外の生涯について知っている、そして、著作についても大体の作品名と内容を知っている、という人向けかもしれないなと思いました。 例えば、留学から帰国して書かれた「舞姫」のように、彼の人生のイベントとその時に書かれた作品には関連性が見出されたりするわけですが、本書は彼の人生を追いなが...

鴎外の生涯について知っている、そして、著作についても大体の作品名と内容を知っている、という人向けかもしれないなと思いました。 例えば、留学から帰国して書かれた「舞姫」のように、彼の人生のイベントとその時に書かれた作品には関連性が見出されたりするわけですが、本書は彼の人生を追いながら「この時期にはこの作品を、こういった雑誌を創刊し…。その頃の時世はこういうもので、当時交流あった文学者は…」と、タイミング毎に横串で紹介してくる形式なので、「森鴎外」という人物について「へぇ、こんな時期にこんなものを」的な気づきといいますか、すこし視野が広がって理解が進んだ気がします。面白かった。

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2022/11/02

分量の制限もあり、全体的に総花的で面白味を欠くかもしれないが、 節々で著者の知識の奥行と考証の多面性を感じることとなった。 とくに、鴎外の著作だけでなく、関連書籍の刊行年度も並記することで、当時の 鴎外がいかに限られた資料からイメージを拡げていたか、立体的に示すことに 成功してい...

分量の制限もあり、全体的に総花的で面白味を欠くかもしれないが、 節々で著者の知識の奥行と考証の多面性を感じることとなった。 とくに、鴎外の著作だけでなく、関連書籍の刊行年度も並記することで、当時の 鴎外がいかに限られた資料からイメージを拡げていたか、立体的に示すことに 成功している。読者の視点を「当時」に誘う、細やかで専門家らしい技量だと思う。 綺羅星のごとき文人たちがつねに鴎外の周囲を彩っていたことを思えば、 「鴎外は近代文学の結節点」という指摘も首肯できる。

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2022/09/07

没後100年ということで出版されたもの。近代文学の勃興期に、鴎外を始め、今も名を留める方達が、熱く活動する。今ならYouTuber ということになるだろうか。 その後、鴎外の道は苦渋に彩られる。彼の作品にもそれは影を落としているように思う。

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2022/08/15

中島国彦著『森鷗外 学芸の散歩者』(岩波書店) 2022.7.20第1刷発行 2022.8.10読了  2022年、森鷗外は生誕160年、没後100年の節目を迎えた。特別展や関連書籍の刊行が相次いでおり、本書も記念企画の一環として発刊されている。  本書では、豊富な挿図と同時代...

中島国彦著『森鷗外 学芸の散歩者』(岩波書店) 2022.7.20第1刷発行 2022.8.10読了  2022年、森鷗外は生誕160年、没後100年の節目を迎えた。特別展や関連書籍の刊行が相次いでおり、本書も記念企画の一環として発刊されている。  本書では、豊富な挿図と同時代人の証言を織り交ぜながら、森鷗外の一生涯をやや駆け足ながらも丁寧に解説している。主要な作品に触れつつ、森鷗外の多面的な活動の背後にある「核」を探ろうとする野心的な作だ。  惜しまれるのは、森鷗外が肺結核を病んでいたことについての記述が少なく、肺結核が森鷗外に与えた影響についての考察がないことであるが、新書という体裁では分量的に難しかったのかもしれない。  とはいいつつ、内容は重厚そのもので(欲をかけば巻末索引も付けてほしかった)、森鷗外の作品を読む際の副教材としていつでも側に置いておきたい一品である。

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