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呑み込まれた男 の商品レビュー

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11件のお客様レビュー

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2022/08/16

エドワード・ケアリーはとにかく日常に溢れる小物達、特に日用品達を生きている対象物として描く事が持ち味なんだけれども今回もその味わいがこれでもかと発揮されていた。ストーリーはピノッキオの生みの親ゼペット爺さんが魚の腹で独り暮らしていた時の話。爺さんが孤独を紛らわす為に手に入ったもの...

エドワード・ケアリーはとにかく日常に溢れる小物達、特に日用品達を生きている対象物として描く事が持ち味なんだけれども今回もその味わいがこれでもかと発揮されていた。ストーリーはピノッキオの生みの親ゼペット爺さんが魚の腹で独り暮らしていた時の話。爺さんが孤独を紛らわす為に手に入ったもので日記を書き、絵を描き、粘土細工をして正気を保とうとしているその様が少しづつ崩れていって時折狂気じみてくるのが圧巻。小物が最初は心を慰めるものであるのにやがて心を苛んでいくものとなっていくのがみててこちらもとても苦しい。延々と爺さんの1人語りなのでこちらも息を詰まらせつつハラハラとしてページをめくっていた。 エドワード・ケアリーは自ら小説の挿絵を描く人なのだけど今回は爺さんが作った粘土細工なども作成して写真を添付してあってそれがあまりに物語にマッチしているのでページめくってそうした絵や写真のページになるとギャァと叫び出したくなる。エドワード・ケアリーの闇や影を描く事に秀でた部分が突出した小説でした。アイアマンガー三部作のようなファンタジーのイメージで読むと痛い目みる感じ。闇の中取り残された1人の男の終わりのない孤独と狂気と正気の狭間の物語。

Posted byブクログ