ヨーロッパ・イン・オータム の商品レビュー
快作。2014年作とは信じられないくらい2020年代風の世界。分裂ヨーロッパ・シリーズの第1弾。ル・カレよりもプリースト寄り。ちょっとだけチャイナ・ミエヴィルも。主人公がエストニア出身なのも個人的にツボだったw
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正直、読み終えて少々混乱している。「包丁と諜報の二刀流でマイクロ国家が乱立する欧州を飛び回る、驚愕のSFスパイスリラー」という帯の紹介に興味を掻き立てられたのだが、中盤からの展開に少し油断していた。 内容としてはまさに上記の通りで、料理人ルディが“クルール・デ・ポワ(森林を駆け...
正直、読み終えて少々混乱している。「包丁と諜報の二刀流でマイクロ国家が乱立する欧州を飛び回る、驚愕のSFスパイスリラー」という帯の紹介に興味を掻き立てられたのだが、中盤からの展開に少し油断していた。 内容としてはまさに上記の通りで、料理人ルディが“クルール・デ・ポワ(森林を駆ける者)”という密輸組織にスカウトされるところから始まる。沢山の食事のシーンやヨーロッパの情景描写などが細かくされており、現在の都市の風景などと照らし合わせて想像するととても色彩豊かにイメージが膨らんだ。サラッと出てくるスパイ技術やちょっとおかしなやり取りの中にも、国家間の分断や西安風邪によるパンデミックなど国際情勢の精密な描写が多分に描かれているため、日常の平穏と不穏が綯い交ぜになって感じてもいた。 このままルディのスパイの成長が描かれていくのかと思い込んでいたのだが、世界の構造の秘密の存在が出てきてからなるほど驚愕のSFスパイスリラーとなっていった。勝手に思い込んで油断していたから、冒頭で書いたように少々混乱しているというのが読後すぐの感想。だからもう一度読んだほうがかなり入り込めると思うし、続編もあるようなので邦訳されるのを期待して待っていよう。
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EUが事実上崩壊し、国家間の分断が激化した近未来のヨーロッパを舞台に、ひょんなことからスパイ組織の一員となった主人公が大きな陰謀に巻き込まれていくSFスパイ小説。気を抜いたら振り落とされそうな作品だったが、凄く面白かった。今作の連作短編形式は正解で、紀行小説さながらの情景描写も秀...
EUが事実上崩壊し、国家間の分断が激化した近未来のヨーロッパを舞台に、ひょんなことからスパイ組織の一員となった主人公が大きな陰謀に巻き込まれていくSFスパイ小説。気を抜いたら振り落とされそうな作品だったが、凄く面白かった。今作の連作短編形式は正解で、紀行小説さながらの情景描写も秀逸。作中に登場するガジェットの外連味も実に良い塩梅。欧州の近代史や社会情勢に関する知識があればより一層楽しめたのが悔やまれる。構成面で難はあるが、これはこれで味と言えよう。エピソードワンの幕引きとして、上々のラストシーンだと思う。
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近未来スパイスリラー。ゾンビがでるわけではないが、国が分裂していくところなどは、これから本当にありそうで怖い。
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