それでもペンは止まらない(5) の商品レビュー

熊田龍泉(著者)

2022/12/31

完結巻。

表紙絵にはオチのネタバレが込められているがめちゃめちゃ勘のいい人ならピンとくるかも？

漫画家横断クロスオーバー企画はもうちょっとルールとか詰められていたらよかった。結構行き当たりばったりな展開だし、原作者抜きで漫画家同士が勝手に同盟組んだり攻め込んだりし出したら整合取れないと思うのだけど。

そして本作、元々は’中々売れない中堅三十路の美人女性漫画家が冴えない日々を送りながらも懸命に頑張る姿を描いたドタバタ日常コメディ’というゆるい出発点が面白かったはずが、いつの間にか’ギラギラコッテリしたストイックな成り上がりショー’になってしまい、3巻目あたりから毎回毎回熱くて泥臭く上を目指す展開が絶え間なく続いてきたのに正直肩が凝ってしまった感じ。’冴えない日々’もだんだんと’悲愴・不憫’に見えて来た。というか、もはや’中堅三十路の美人女性’という輝子の設定すら全然活きていない。
厳しい世界なのは察する所だが、初めての単行本発売や重版を迎えた節目の時くらい楽しい話を描いて読者と分かち合って貰いたかった。

キャラひとりひとりの深掘りも曖昧なまま。特に、美空組の面々が最終的に空気になっていったのが本当に残念。

1刷
2022.12.31