ウェブ小説30年史 日本の文芸の「半分」 の商品レビュー
1990年台、日本におけるWEB小説(WEBを媒体として発表された小説)の黎明期から本書が出版された2022年時点まで、「WEB小説の書籍化」という観点から眺めた通史。 Internet上の情報はすぐに消えてしまうので、数年前のことすら良く判らなくなることがあるのでこのような記...
1990年台、日本におけるWEB小説(WEBを媒体として発表された小説)の黎明期から本書が出版された2022年時点まで、「WEB小説の書籍化」という観点から眺めた通史。 Internet上の情報はすぐに消えてしまうので、数年前のことすら良く判らなくなることがあるのでこのような記録は重要。実際、この書籍にしても冒頭で述べられているように「WEB小説の書籍化」という観点から書かれた理由としてそれが比較的調査・検証のしやすさにあって、個人サイト全盛期の頃に書かれた有象無象の作品などは今となってはその全体像など調べようがない。現在、判る範囲のことだけでも記録にまとめて残しておくことの意義は大きい。 ただ、「WEB小説の書籍化」の歴史であるため、本書のメインは必然的に出版界におけるInternetへの取り組みの歴史、WEB小説のマネタイズの歴史となっており、作家や小説を主題にしたWEB小説の文学史を期待するとちょっとガッカリするかもしれない。 WEBマンガの方は、スマートフォン上のアプリの台頭でかなり状況は変わってきている印象があるが、今後は小説もアプリで読むというのが当たり前になってゆくのだろうか?
Posted by
2022年11月8日読了。紙媒体でない「ウェブ」で発表された小説の歴史と位置づけの変化をたどる本。紙の小説に比べればはるかに短いとはいえ、初出から30年というのはそれなりに長い時間がたっているのだなあ。新しい形態で出てきたメディアを既存のものより低い位置づけで見たり、「既存媒体と...
2022年11月8日読了。紙媒体でない「ウェブ」で発表された小説の歴史と位置づけの変化をたどる本。紙の小説に比べればはるかに短いとはいえ、初出から30年というのはそれなりに長い時間がたっているのだなあ。新しい形態で出てきたメディアを既存のものより低い位置づけで見たり、「既存媒体とは別物として進化していくのだろう」と識者がコメントする、というのはPCがワープロに置き換わりスマホがガラケーを駆逐したり、あらゆるメディアで繰り返されてきたお馴染みの光景…人間はいかに学ばない生き物なのか、ということを思わされる。とはいえ自分も、「小説を出すならやはり有料の紙で出したい、ウェブは無料で」と思っている部分がある、人間の思い込みを変えるのは難しい。
Posted by
出版産業やコンテンツビジネスなどについて著作がある飯田一史氏によるウェブ小説の30年分の歴史を概観したものです。本書は作品の系譜を紐解くのではなく、出版業界が「ウェブ小説」というコンテンツに対して、どのようにふるまってきたかというビジネスの話が中心になっています。情報が重複してた...
出版産業やコンテンツビジネスなどについて著作がある飯田一史氏によるウェブ小説の30年分の歴史を概観したものです。本書は作品の系譜を紐解くのではなく、出版業界が「ウェブ小説」というコンテンツに対して、どのようにふるまってきたかというビジネスの話が中心になっています。情報が重複してたりしましたが、上手くまとまっていると思いました。ネットの情報は永遠に残ると思われてたにも関わらず、実際にはネット黎明期の情報を遡ることが難しくなってきた昨今、こういったまとめ本が登場する意義は大きいと思います。
Posted by
今まで全く通らなかった分野なだけに興味深く読む。 話題になり盛り上がるたびに一時的なものと言われ、それでも繰り返され重ねられて来たものが今新たな道となる。その道は多方面に広がり自分とも繋がっていたことに驚く。 この歴史が記録されることは意義深い。
Posted by
- 1