その意図は見えなくて の商品レビュー
タイトルと表紙の絵から、学校を舞台にどんなストーリーが展開されるのだろうか、と期待して読んだ。 高校の陸上部員2年の清瀬がメインとなって、生徒会選挙や部室で起こった事件などの謎解きをしていく。 清瀬は、自分自身を部活でも勉強でも目立つことのない地味な普通の生徒だと評しているが、...
タイトルと表紙の絵から、学校を舞台にどんなストーリーが展開されるのだろうか、と期待して読んだ。 高校の陸上部員2年の清瀬がメインとなって、生徒会選挙や部室で起こった事件などの謎解きをしていく。 清瀬は、自分自身を部活でも勉強でも目立つことのない地味な普通の生徒だと評しているが、その冷静さと客観的な洞察力は、見る目のある者には一目置かれているようだ。 その見る目のある者というのが、部活の先輩で保育園の頃から一緒の佐竹。 佐竹がメインとなる章もある。 2人それぞれの視点で語られる、文化祭や部活を共にする生徒達の像がリアルで、確かにこういうヤツいたな(現役の学生なら、現在形の読者も多いだろうが)と、その物語の状況を立体的に立ち上がらせてくれる。 しかしね、今時の高校生はこんなに大人なんだろうか…。 netgalleyにて読了2022.6
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生徒会選挙での大量白票事件。荒らされた部室。廃棄されそうになった文化祭のパンフ。 とある高校を舞台とした連作短編集。 真相を追い求めることが、必ずしも正しいわけではない。 ビターテイスト好きの方に刺さりそうな作品。 理性や想像だけで、人は救えない。 真相を暴くけれども、...
生徒会選挙での大量白票事件。荒らされた部室。廃棄されそうになった文化祭のパンフ。 とある高校を舞台とした連作短編集。 真相を追い求めることが、必ずしも正しいわけではない。 ビターテイスト好きの方に刺さりそうな作品。 理性や想像だけで、人は救えない。 真相を暴くけれども、事態をなんら改善しない、安楽椅子探偵モノへのアンチテーゼ的な側面もあって、良かったです。 主人公に佐竹先輩が居てくれて良かった。
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◆第三者から見ると本当に些細でくだらない動機にリアリティーを感じる。 いわゆるコージーミステーリー。 人が死んだり、法的な犯罪が起きない。普通の高校生が日常生活の些細な謎を解く。 トリックはシンプルで、本格ミステリーのようなものを期待すると当てが外れるかも知れない。 この小説の...
◆第三者から見ると本当に些細でくだらない動機にリアリティーを感じる。 いわゆるコージーミステーリー。 人が死んだり、法的な犯罪が起きない。普通の高校生が日常生活の些細な謎を解く。 トリックはシンプルで、本格ミステリーのようなものを期待すると当てが外れるかも知れない。 この小説の肝は犯人の動機にある。合理的ではないし、物理的に得るものも無い。十代の肥大した自我や狭い世界でのプライド、小さな世界のポジション争い。大人から見るとくだらない些細なことだが、狭い世界しか知らない若者にとってはそれが全てなのだ。 こんなことで…。そう思うのは自分が歳を取ってしまったからなのだろう。 ●その意図は見えなくて 生徒会長選挙の開票で大量の白票が発見される。白票多数の場合は再選挙というルール。誰が何の為に? ●合っているけど、合っていない 陸上部の部室が荒らされた。学校外の人間が犯人と推測されたが盗まれた物は無い…。 ●ルビコン川を渡る 合宿中の夜、男子生徒が消えた。女子の宿舎に忍び込んだと思われたが…。 ●その訳を知りたい 中学の頃、クラスの女子の派閥争いに巻き込まれた後輩。仲の悪い女子の小物を女子トイレに捨てたという噂だ。時間的にその後輩にしかできないというのだが、犯人は意外な人物だった…。 ●真相は闇の中 学祭のパンフレットが焼却場で発見された。焼却場に続く道は用務員室の前だ。目撃されずにパンフレットを運べた人物が犯人なのだが…。
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だいぶ好み!米澤穂信さんを思い出す。ユウはいい人だけど行動が突飛で危なっかしく謎。佐竹さんもまだまだ言いたいことあるだろうし続きが読みたい!
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生徒会選挙で白票が異様に多かった謎、陸上部の部室が荒らされた謎等、日常の謎を扱った連作青春ミステリ。 青春ミステリ、っていうとなんだか爽やかで清々しい読み心地を想像しますが。傲慢で尊大でいけ好かない人物が多く登場するし、事件の動機も痛々しいし、と読み口は非常に苦いです。だけど青春...
生徒会選挙で白票が異様に多かった謎、陸上部の部室が荒らされた謎等、日常の謎を扱った連作青春ミステリ。 青春ミステリ、っていうとなんだか爽やかで清々しい読み心地を想像しますが。傲慢で尊大でいけ好かない人物が多く登場するし、事件の動機も痛々しいし、と読み口は非常に苦いです。だけど青春、というかこの年頃って苦いことも多いもんね。自分を知らず世の中も知らず、ちょっとした悪意を躊躇いなく他者に向けられてしまうのもこの年頃に多いのかもしれません。 お気に入りは「その訳を知りたい」。一番苦かった物語です。「それなり」も悪いことではないと思うのだけれど、こんなものの考え方をしたまま生きていきたくはありません。あの人は結局他者の生き方を否定するように見えて、実は自分の生き方を一番否定してしまっていたのだろうな、と思うと悲しくもありました。 「真相は夕闇の中」ではちょっとすっきりするところも。謎を解くことの意味を考えさせられます。
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優しい気持ちになれる学園ミステリー。 読み進めるにつれ 自身の心を覗くような妙な気持ちにもなりました。 おもしろかったです。
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高校を舞台に物語が 進むストーリーでした 誰も傷つかないぼやっとした 終わり方ですが、それが面白かった
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生徒会長選挙での不自然な量の白票。 荒らされた部室。 合宿中にいなくなった生徒。 など、高校生活の中で起こった謎を解き明かす。 謎の解明と共に浮き上がる、思春期の揺らぎ,葛藤、友人関係、悩み… 警察沙汰にはならなり事件に高校生自らが挑む学園ミステリー。
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人の死なない学園ものミステリー。 ちょっとした事件が起きて、それを冷静な清瀬が解いていく話が多い。 この清瀬、犯人を明かすことに興味がない。むしろ、犯人なんて分からなくていいというスタンスで、探偵役が張り切っている他のミステリー小説と比べると新鮮だ。 生徒会長の選挙で不正が行わ...
人の死なない学園ものミステリー。 ちょっとした事件が起きて、それを冷静な清瀬が解いていく話が多い。 この清瀬、犯人を明かすことに興味がない。むしろ、犯人なんて分からなくていいというスタンスで、探偵役が張り切っている他のミステリー小説と比べると新鮮だ。 生徒会長の選挙で不正が行われた可能性を探るとか、部活の合宿中に部員が自らの意思でいなくなるとか、そんなに大事になる事件ではないというのもあるが、清瀬が張り切らない理由は別にある。 一見、冷静で近寄り難いように思えるけれど、本当の清瀬を知っている人もちゃんと存在していて良かったと思う。 部員失踪事件では、見事間違った推理をさせられてしまった。しかも一度推理を思いついてしまうと、他の思考が見えてこないのが悪い癖だ。 私にはまだまだ見抜く力が足りないな。
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合っているけど、合ってなくて、そして、正解はなくて。 思春期の、未成熟で不完全な少年たちの描き方が秀逸だった。 作者の書きたいものがしっかりあって、プロットもしっかりしてて、人物も書き分けられられてる。 ユウについて、読者への余計な説明などが一切なく、最後まで清瀬に焦点を当てて...
合っているけど、合ってなくて、そして、正解はなくて。 思春期の、未成熟で不完全な少年たちの描き方が秀逸だった。 作者の書きたいものがしっかりあって、プロットもしっかりしてて、人物も書き分けられられてる。 ユウについて、読者への余計な説明などが一切なく、最後まで清瀬に焦点を当てているところがいい。(説明セリフは興ざめなので…) 描きたいのは「清瀬」だから、描く必要がないと考えた部分は、思い切りよく切り捨てる潔さ。でも、清瀬の今後を予感させるのは、やはりユウの存在があるから。 一見裏回し的な役割の清瀬の心のうちがうまく表現されていて、書き手ので力を感じる。
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