悪魔 の商品レビュー
しきみ先生…、押し絵と旅する男好きなんだろうな…、と他作品と並列されて思った。 いや、だって押し絵の2人…どっちも美しく描きすぎだよ…。
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「堕落させたくないもの程、益(ますます)堕落させたいのです。」 美しい顔をした悪魔はこう言って、涙を流した。 美しいものはそのままにして愛でたい、という思いはあるのに、それを汚してしまいたいと思う己の醜さに悪魔は涙した。悪魔は、人を堕落させるのが仕事なのだろうから、そう思い悩ん...
「堕落させたくないもの程、益(ますます)堕落させたいのです。」 美しい顔をした悪魔はこう言って、涙を流した。 美しいものはそのままにして愛でたい、という思いはあるのに、それを汚してしまいたいと思う己の醜さに悪魔は涙した。悪魔は、人を堕落させるのが仕事なのだろうから、そう思い悩んでしまう辺りが悪魔に似つかわしくなく、哀れんであげたい気持ちになった。 大切にしたいけど、悲しませたい。 清くいてほしいと思うけれど、真っ黒にしたい。 この欲望はどこから来るのだろう。 占有したい感覚、所有して支配したい気持ちは、どうして生まれてくるのだろう。 どうして、美しいものほど、汚したくなるのだろう。 多分、それは、自分を汚れたものだと心のどこかで思っているから。美しいものを妬ましく思っているから。 プライドが高くて自己肯定感低めの私と、この悪魔はシンクロするところがある。 自分より優れているものは、そのまま清く気高くいてもらいたい。だけれど、引きずり下ろして、結局自分と同じ場所の人だったと思って安心感を得たい思いも持ち合わせている。 そして、自分が引きずり下ろしたという、自分の影響力に優越感を感じたくもある。 毒された相手が回復しようものなら、嬉しい反面、より多くの苦しみを与えて堕落させたいと思ったりもする。 自分に満足していれば、そんな酷いことはしない。 でも、誰かに愛されたくて、かまってほしくて、仕方なくそうしてしまうこともあるのも、分かる気がする。 勿論讃えることはできないけれど、こういう矛盾や葛藤が人間らしさなのだと思う。だから真っ向から否定はしたくない。 悪魔も人間も、自分は醜いと思って涙できるのなら、醜くなんかなく、寧ろ美しい部類に入れるという考え方もありそうだ。 湧き上がる気持ちを無理に矯正しようとするのではなくて、自分を含めた悩める人に対し、手を差しのべて、理解しようとする人になりたいなと思った。
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乙女の本棚シリーズから、しきみさんの「悪魔 乙女の本棚作品集」です。収録されてのは萩原朔太郎『猫町』、江戸川乱歩『押絵と旅する男』、夏目漱石『夢十夜』、坂口安吾『桜の森の満開の下』、谷崎潤一郎『魔術師』のイラストの中から、しきみさんが選んだものになっています。で、この作品には、...
乙女の本棚シリーズから、しきみさんの「悪魔 乙女の本棚作品集」です。収録されてのは萩原朔太郎『猫町』、江戸川乱歩『押絵と旅する男』、夏目漱石『夢十夜』、坂口安吾『桜の森の満開の下』、谷崎潤一郎『魔術師』のイラストの中から、しきみさんが選んだものになっています。で、この作品には、描き下ろしとして芥川龍之介さんの「悪魔」が新たに収録されています。“小説とイラストの出会いを祝福する、魅惑の1冊。名作は、かわいい”とあり、期待も高まります! この作品だけだと、『猫町』『押絵と旅する男』『夢十夜』『桜の森の満開の下』、『魔術師』のストーリーは正直わかりません(汗)。でも、私のように一度読んだことのある方にはお薦めしたいです。 で表題作の芥川龍之介の「悪魔」なんですが、ストーリーはキリスト教の宣教師うるがんが、姫の輿の上にいた悪魔を捕らえて会話を交わすというもの…。ここで登場する悪魔は、美しい顔だけれど蝙蝠のような羽があって両足はヤギのような、そんな悪魔なんです。悪魔は、姫の心の清らかさに触れ、その心を汚したいけれどそのまま汚したくないような…そんな風に悩んでいたというものでした…あれ、この解釈でいいのか?ちょっと難しい文章だったので自信はないです(汗)。こうしたいけど、こうしたくない…この葛藤が描かれた作品なんでしょうね。この「悪魔」のしきみさんのイラストもとっても雰囲気がいいんです。 今まで読んできた乙女の本棚シリーズは、みんな図書館から借りたものです。でも、この作品だけは自分で持っているのもいいかなって、お取り寄せしちゃいました!ちょっとした、自分へのご褒美になりました(*^^)v
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