ロシア・チェチェン戦争の628日 の商品レビュー
日本人の筆者が実際にチェチェンに訪れ、見て、感じ、経験したことが赤裸々に書かれており他の書籍よりもロシア軍の蛮行が身近に感じられた。また、戦闘の経過や戦術、戦略を隅に置き、チェチェン人の人となり、精神の寛容さ、独特の男女観、文化がよく描かれており、現在の日本にない文化に憧憬した。...
日本人の筆者が実際にチェチェンに訪れ、見て、感じ、経験したことが赤裸々に書かれており他の書籍よりもロシア軍の蛮行が身近に感じられた。また、戦闘の経過や戦術、戦略を隅に置き、チェチェン人の人となり、精神の寛容さ、独特の男女観、文化がよく描かれており、現在の日本にない文化に憧憬した。写真は少ないが、文章には鬼気迫るものがあり誰にでも読んでほしい一冊。現在のロシアを掘り下げる入門書。
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1997年に小学館から『カフカスの小さな王国 チェチェン独立運動始末』として刊行された書籍に、プーチン首相就任後の第2次チェチェン紛争、2022年のロシアによるウクライナ全面侵攻後の取材と文章を追補したもの。1995年、エリツィン政権時代の第1次チェチェン紛争の現場に入り、自由...
1997年に小学館から『カフカスの小さな王国 チェチェン独立運動始末』として刊行された書籍に、プーチン首相就任後の第2次チェチェン紛争、2022年のロシアによるウクライナ全面侵攻後の取材と文章を追補したもの。1995年、エリツィン政権時代の第1次チェチェン紛争の現場に入り、自由とロシア支配からの解放を目指して抵抗を続けたチェチェン人たちの飾らない素顔が文字に定着されている。 本書の記述を追いかけていると、プーチンの権力基盤とそれを支える人々の思考がより鮮明に見えてくるように思う。わずか人口80万人の小国の独立さえ抑えることができないロシアの状況を「悲しむべきこと」と捉え、「強国」「大国」としてのロシアというアイデンティティにノスタルジーを感じる人々の情動を利用するかたちでプーチンは、ほとんどナチスのような自作自演のテロまで起こしながら、チェチェンを圧殺していった。と同時に、メディアを政権の統制下に措くことで、戦争の現場をゲットー化し、何が起きているかを伝えさせないように企てた。すなわち、チェチェンでの「勝利」が「成功体験」として、プーチンの権力の土台となっているのだ。そのことを考えても、第2次チェチェン紛争は「自分たちを敗北に追いやった自由と民主主義、言論の自由への復讐戦」という側面を有しており、それがウクライナ戦争にもつながっていく、という著者の指摘は重要だ。(まさに旧ソ連の「敗け方」の問題!) 著者はチェチェンでパルチザンたちから、ことあるごとに「なぜ日本は南クリル諸島を奪還しないのか?」と問われたという。チェチェンの軍事指導者の一人は、映画『七人の侍』が大好きだ、とも語っていた。情報とメディアは、思わぬところでつながり、文脈を作ってしまう。
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