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ニーチェ 入門講義 の商品レビュー

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2件のお客様レビュー

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2024/10/28

とりあえず、あまり詳しく論じられる機会のない『悲劇の誕生』が取り上げられているので、とても有難い…と思う反面、あまり入門書っぽくないなぁという気もしました。 ちなみに、『悲劇の誕生』を読む準備としては、中央公論新社の『哲学の歴史 9』所収の「『悲劇の誕生』とその周辺」を先に読んで...

とりあえず、あまり詳しく論じられる機会のない『悲劇の誕生』が取り上げられているので、とても有難い…と思う反面、あまり入門書っぽくないなぁという気もしました。 ちなみに、『悲劇の誕生』を読む準備としては、中央公論新社の『哲学の歴史 9』所収の「『悲劇の誕生』とその周辺」を先に読んでおくのがお勧めです(仲正先生の解釈を相対化する意味でも)。 本書はその後か、『悲劇の誕生』と併読するのが良いのかな、と思いました。

Posted byブクログ

2024/10/20

2019年に著者がおこなった講義をまとめた内容の本です。ニーチェの著作のなかから、『悲劇の誕生』『ツァラトゥストラはこう言った』『道徳の系譜』の三作品をとりあげ、引用をおこないつつ、その意味をていねいに解説しています。 「仲正昌樹の講義シリーズ」の他の本と同様、テクストをていね...

2019年に著者がおこなった講義をまとめた内容の本です。ニーチェの著作のなかから、『悲劇の誕生』『ツァラトゥストラはこう言った』『道徳の系譜』の三作品をとりあげ、引用をおこないつつ、その意味をていねいに解説しています。 「仲正昌樹の講義シリーズ」の他の本と同様、テクストをていねいに読み解いていくというスタイルが紙上で実践されており、人文学を学ぶことのたのしさが実感できる内容でした。タイトルの「入門講義」ということばは、ニーチェの思想を手っとり早く紹介している本という意味ではなく、これからニーチェの思想という「門」をくぐりその内奥をめざしていこうとする読者に向けての本という意味なのでしょう。 著者は、『ツァラトゥストラ』についての質疑応答のなかで、「普通に読もうとすれば、どうしても小説か哲学書のどちらかからの読み方になると思います。ニーチェ自身と同じようなジャンル横断的に思考を展開できるような習慣を身に付けるか、私がやったように、解説者のつもりになって読むかしないと、分かった気にはなれないと思います」と語っています。 ニーチェの思想に心酔したり反発したりといった向きあいかたで臨むのではなく、あくまでその思索の道筋をたどっていくことをめざす読者にとって、本書で著者がおこなっているスタイルそのものを学ぶことが有益なのではないかと感じます。

Posted byブクログ