E・H・カーを読む の商品レビュー
世界秩序はいま、多くの挑戦を受けている。それらの挑戦は過去のアメリカ中心の覇権秩序をリベラルな国際秩序と美化し、それに挑戦する者たちをただ断罪する方向ではなく、リベラルな国際秩序として人類に等しく恩恵をもたらすと肯定的に語られてきた秩序の実態はいかなるものだったか、それは誰に利益...
世界秩序はいま、多くの挑戦を受けている。それらの挑戦は過去のアメリカ中心の覇権秩序をリベラルな国際秩序と美化し、それに挑戦する者たちをただ断罪する方向ではなく、リベラルな国際秩序として人類に等しく恩恵をもたらすと肯定的に語られてきた秩序の実態はいかなるものだったか、それは誰に利益をもたらす半面、誰を阻害してきたかを批判的に問うことによって応えられていくべきであろう。このような課題に直掩する現代世界において、カーの議論は再び重要性を帯びる。
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ウクライナ侵攻や台湾海峡の緊張状態など、冷戦後かつてないほど安全保障上の危機が高まる中、日本を取り巻く安保環境も厳しさを増しており、ある種リアリズム的な思考が今求められていると言っても過言ではない。その意味で、本書は代表的なリアリストであるE.H.カーの思想から現在の世相を読み...
ウクライナ侵攻や台湾海峡の緊張状態など、冷戦後かつてないほど安全保障上の危機が高まる中、日本を取り巻く安保環境も厳しさを増しており、ある種リアリズム的な思考が今求められていると言っても過言ではない。その意味で、本書は代表的なリアリストであるE.H.カーの思想から現在の世相を読み解くという作業の一助となりうるだろう。 カーは必ずしも全面的なリアリストであった訳ではないし、またソ連史研究家としての顔も持つが、本書ではこうしたカーの思想を様々なフィールドの研究者が分析している。したがって、自分の興味のある分野の章を読むだけでも面白いが、専門外の分野にも目を通すことで、新たな発見があるというのが本書の魅力であろう。 (K.Y)
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