帝国の崩壊(上) の商品レビュー

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2025/02/04

1. 多文化共生の課題 - オスマン帝国の歴史: - オスマン帝国は、多文化共生を不平等の下で約600年実践してきたが、最終的には社会の統合に失敗し、縮小してしまった。 - 日本人は歴史的に多文化共生を経験してこなかったため、その難しさを理解しにくい。 - 日本の統合の...

1. 多文化共生の課題 - オスマン帝国の歴史: - オスマン帝国は、多文化共生を不平等の下で約600年実践してきたが、最終的には社会の統合に失敗し、縮小してしまった。 - 日本人は歴史的に多文化共生を経験してこなかったため、その難しさを理解しにくい。 - 日本の統合の強み: - 日本は約1500年かけて社会的統合を達成してきた。この背景により、近代化の際に独立運動が起こることなく、スムーズに社会を維持できた。 2. エジプト新王国の王朝 - エジプト新王国時代の王朝構成: - 第一八王朝から第二〇王朝までの王朝が存在し、各王朝の重要な人物名が挙げられている。 - 王朝の区分は古代の歴史家マネトンによるものであり、王名表は現在の研究において重要な資料となっている。 - 中王国と新王国の評価の違い: - 中王国時代の遺物は少ないため、その評価は深まっていないが、新王国時代は多くの遺跡が残っているため、評価が高い。 3. 新王国の衰退原因 - 海の民の侵入: - 第二〇王朝のラメセス三世の治世において、海の民がエジプトに侵入した事件が発生。これが新王国の衰退に繋がった。 - 海の民は、東地中海地域の民族移動の一環であり、エジプトに対する脅威として認識されていた。 - 王朝の変遷: - 第二〇王朝の王のほとんどが「ラメセス」を名乗るが、第一九王朝との血縁関係は薄い。 - 王朝の末期には、外国勢力が力を持つ事例が見られる。 4. ヒッタイト帝国の食料事情 - 食料不足の影響: - ヒッタイト帝国は、外国からの穀物輸入に依存するようになり、飢饉の可能性が示唆されている。 - 文献史料からも、ヒッタイトの食料事情が確認でき、外部からの食料供給が重要であったことが分かる。 5. アッシリア帝国の興亡 - アッシリアの興隆と衰退: - アッシリア帝国は、西アジアにおいて最古の帝国として知られ、紀元前八世紀から繁栄を迎えた。 - 短期間で滅亡した背景には、王位継承の混乱や反乱、外部からの侵攻が大きく影響している。 - 宮廷内の権力闘争: - 王位を巡る争いが頻発し、王権の実行力が欠如していたことが、滅亡の要因の一つとして挙げられている。 6. アカイメネス朝ペルシアの興亡 - アカイメネス朝の栄光と滅亡: - アカイメネス朝は、周辺国を征服しながら発展したが、王権内部の争いやアレクサンドロス大王の侵攻により滅びた。 - アレクサンドロスがペルシア王家との婚姻を通じてその権威を主張し、アカイメネスの後継者としての立場を強化した。 7. ローマ帝国の衰退 - 財政の破綻と求心力の喪失: - ローマ帝国は、経済の繁栄と軍事力を背景に広大な領土を支配したが、外敵の侵入や内部の不満が高まることで衰退が始まった。 - 地方の自治体に対する支援が滞る中で、住民の不満が増大し、帝国の統治能力が低下していった。

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2024/05/27

再度、読み直し。 この本での帝国は皇帝の存在の有無には かかわらず、超大国や覇権国家と定義して いる。 5つの帝国をそれぞれの専門家が書いて いるので、かなり詳細に書いているのが 嬉しい。 個人的にはヒッタイトやアッシリアが 新鮮で面白かった。 下巻はまだ未読なので引き続き...

再度、読み直し。 この本での帝国は皇帝の存在の有無には かかわらず、超大国や覇権国家と定義して いる。 5つの帝国をそれぞれの専門家が書いて いるので、かなり詳細に書いているのが 嬉しい。 個人的にはヒッタイトやアッシリアが 新鮮で面白かった。 下巻はまだ未読なので引き続き読んで みたい。

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2022/10/02

メモ まえがき 「帝国」とは何か この本では、皇帝の存在の有無にかかわらず、広大な版図と多様な地域を包摂し、一般的な国に比べて巨大かつ多様な人間集団を有してきた超大国や覇権国家、いわば巨大政治体というものを、「帝国」と暫定的に定義する。 帝国は、西洋ではエンペラーが支配する国が...

メモ まえがき 「帝国」とは何か この本では、皇帝の存在の有無にかかわらず、広大な版図と多様な地域を包摂し、一般的な国に比べて巨大かつ多様な人間集団を有してきた超大国や覇権国家、いわば巨大政治体というものを、「帝国」と暫定的に定義する。 帝国は、西洋ではエンペラーが支配する国がエンパイアとされていて、その言葉が日本に入ってきた時、エンパイアを「帝国」、エンペラーを「皇帝」と訳した。「皇帝がいる国」=帝国、の定義で考えると、現在の世界でエンペラーを頂いているのはおそらく日本だけ。日本の天皇については、外国文書上でもエンペラーと呼称される。 エンペラーはラテン語のインペラトル(ローマ帝国の特任の総司令官)に由来し、西欧人にとってのエンペラー、エンパイアはローマ帝国にその範があったと考えがちだが、当のローマ帝国はエンペラーがいたからエンパイアになったわけではない。ローマ帝国(インペリウム・ロマノム)とは、正確には「ローマ人の命令の及ぶところ」という意味で、インペリウムは本来「命令権」の意味。 古代ローマは元来共和制で、後にカエサルが事実上の皇帝に近い存在となった後、アクタウィアヌスが前28年にプリンケプス(元老院の第一人者)、前27年にアウグストゥス(尊厳者)の称号を得て以降、このアウグストゥスを初代皇帝とし、帝政ローマに入った。 つまり「インペイウム・ロマノム」の中身が共和制→君主制→皇帝が支配する国、へと変わった。そしていつの間にか西欧でもエンペラーが支配するのがエンパイアであるということになった。なので帝国とは必ずしも「皇帝のいる国」とは限らない。 そもそも「皇帝」という漢語は秦の始皇帝がそう称して以来、中国では正当な支配者が皇帝とされてきたもので、英語のエンペラーに相当するものとして日本人が中国の皇帝の語をあてはめただけのこと。エンパイアの意味で「帝国」の語を最初に使ったのは日本人であったようだ。 そういう経緯で、日本人が「帝国」「皇帝」というと、中国の歴史的な政治体制が念頭に置かれる傾向。一方、西欧人はローマ帝国を「帝国」「皇帝」を念頭に置く。 上巻は 「エジプト新王国」統一王朝:BC3000頃~アレクサンドロスにより滅ぶBC332まで31の王朝が続く。 「エーゲ文明(ミケーネ帝国)」BC4000-2000の間。 「ヒッタイト帝国(アナトリア高原・・トルコ共和国の93%を占める)」BC2000頃から BC1595頃バビロン第一王朝を滅亡させ BC2000年紀後半に帝国時代を迎える 南東にアッシリア、さらにバビロニアがいる。ラムセス2世と和平条約を結んだハットゥリシ3世(BC1275-1250在位)が全盛期 シュッピルリウマ2世(BC1190~?在位)の時に突然終焉する。 「アッシリア帝国(メソポタミア)」BC8世紀頃、帝国と呼ばれ、BC7世紀の終わり頃、5~6年の間に滅ぶ。 「アカイメネス朝ペルシア」BC550-330頃興る。アレクサンドロスに滅ぼされる。 「アレクサンドロス帝国」BC334遠征開始、BC323死亡 「ローマ帝国」伝説上の建国はBC8世紀、BC27元首制開始でローマ帝国と呼ばれる。395東西に分裂、476西ローマ帝国滅亡、1453東ローマ帝国(ビザンチン帝国)滅亡。 2020.7から2021.6にかけて朝日カルチャーセンター新宿教室で開催された連続講座「帝国はなぜ崩壊したか」(鈴木董・大村幸弘監)の講義内容をもとに各筆者が加筆修正したもの。 20212.5.2第1版第1刷 図書館

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2022/10/01

この本は何が面白いかといえば、それぞれの章の筆者が己の研究や体験から帝国の崩壊を通り一辺倒でない語りをしていること。海の民からアッシリアにかけては発掘の苦労話や自らの考察が入りワクワクした。 各章の深掘りを読んでみたいところだが、まずはビザンツ帝国など中世以降の帝国の崩壊の下巻へ...

この本は何が面白いかといえば、それぞれの章の筆者が己の研究や体験から帝国の崩壊を通り一辺倒でない語りをしていること。海の民からアッシリアにかけては発掘の苦労話や自らの考察が入りワクワクした。 各章の深掘りを読んでみたいところだが、まずはビザンツ帝国など中世以降の帝国の崩壊の下巻へ進みたい。

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2022/08/26

国が興り統治され滅びる変化する そんな歴史を伝えている本 少し変わった角度から歴史を垣間見られて 以前には感じなかった感覚を持てた。 テーマごとに著者が違うから好みもあるかもしれない。 歴史的にも有名なローマ帝国とエジプトはとても良い。

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2022/07/10

エジプト諸王朝 ミケーネ ヒッタイト アッシリア アケメネス朝ペルシア アレクサンドロス大王のマケドニア ローマ帝国の興亡がよくわかった

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2022/06/25

帝国=「皇帝のいる国」と定義した場合、世界の中では唯一日本だけということになるらしい。この事実にも驚くのだが、本書では幅広く「巨大かつ多様な人間集団を有してきた超大国や覇権国家、いわば巨大政治体」と暫定的に定義し、現代のアメリカや中国・ロシアも「帝国」に含まれるとしている。 帝国...

帝国=「皇帝のいる国」と定義した場合、世界の中では唯一日本だけということになるらしい。この事実にも驚くのだが、本書では幅広く「巨大かつ多様な人間集団を有してきた超大国や覇権国家、いわば巨大政治体」と暫定的に定義し、現代のアメリカや中国・ロシアも「帝国」に含まれるとしている。 帝国が崩壊するパターンは様々ではあるが、版図が維持できるか否かは地理的環境のみならず、構成する人々が同質的か否かが大きいというのがひとつの結論となっている。ちなみに直近の「帝国」の崩壊はソ連だが、国土は1/3、人口は4割減しており、プーチンがそれを取り戻そうとしている。という意味では現在進行形の問題でもある。 また、近年日本では多文化共生が唱えられているが、閉鎖的な幸福な空間で同質的な人間が暮らしてきたレアケースな日本では統合のコストがイメージできずに、のん気なことを言ってられると編者は述べている。ここは歴史学者ならではの冷徹な見解であり興味深い指摘である。 尚、上巻はローマ帝国崩壊までなので、下巻の方がより現代に引き付けて考えることができるように思える。カルチャーセンターの書籍化であるが、各ケース毎に専門家が論述しており、世界史に詳しい人でなければかなり読み応えのある一冊である。

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