政党を脱退して日本国民に訴う 復刻 の商品レビュー

松岡洋右(著者)

2022/07/25

講演を文字起こししたものらしく、70頁程度で、振り仮名もありあっという間に読めた。

明治以降入ってきた西欧思想と伝統的な日本精神を比較し、過度の個人主義、物質主義に陥りつつある西洋文明は人類を滅亡へ導くもので、日本古来の和の精神に立ち返ってこれを救わねばならない、という主張。
そこから、政党政治（議会政治、ではない）が日本人には合わないから政党を解散しようという講演。

単純な日本万歳論ではなく、日本人の短所や西洋文明の利点も踏まえたうえで、個よりも全体（「忠孝」）を重んじようという道徳的な話。

資本主義の暴走は失業を生み、効率のみの追求は大量破壊兵器を生み、日本人の政党政治は足の引っ張り合いになるという予言はさすがに笑えない。
丸暗記の教育は形而下の学者を出せても偉大な思想家は生まず、「赤い子供」が出来上がるばかりというのもうなづける。

なぜ、議員一人一人が議会で論点を絞って議論し、決を採る方式が、政党でなければ実現できないのかと改めて問われると答えに窮する。

何となく、なぜ松岡がヒトラー、ムッソリーニと三国同盟を締結してしまったのかわかる気がする。