にほんの詩集 萩原朔太郎詩集 の商品レビュー
美しくも残酷にも優しくも惨めにもなれる、詩の世界 巻末エッセイの「性情は多少アブノーマルでも〜」のとこ笑っちゃった、純粋性、白い人という表現は全くその通りだと思った あまりに遠い旅路でも、せめて新しい服を着て、きままに行けばいいのだろう
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『風船乗りの夢』 夏草のしげる叢(くさむら)から ふわりふわりと天上さして昇りゆく風船よ 籠には旧暦の暦をのせ はるか地球の子午線を越えて吹かれ行こうよ。 ぼうぼうとした虚無の中を 雲はさびしげにながれて行き 草地も見えず 記憶の時計もぜんまいがとまってしまった。 どこをめあてに翔けるのだろう そうして酒瓶(さかがめ)の底は空しくなり 酔いどれの見る美麗な幻覚(まぼろし)も消えてしまった。 しだいに下界の陸地をはなれ 愁いや雲やに吹きながされて 知覚もおよばぬ真空圏内へまぎれ行こうよ。 この瓦斯体(がすたい)もてふくらんだ気球のように ふしぎにさびしい宇宙のはてを 友だちもなく ふわりふわりと昇って行こうよ。
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