コミュニティシップ の商品レビュー
下北沢の街づくりの本。事業者が主導して作っていく不動産事業ではなく、まちの人たちを主役として事業者は支援に回る考えを導入したまちづくり事業はこれまでの鉄道会社の取り組みとは一線を画すアプローチだと思う。
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小田急線地下化に伴って生まれた巨大な地上空間を開発するにあたって、小田急電鉄及び地域住民がどのようにその開発を進めてきたのか?をそれぞれの視点を織り交ぜながら記している。 元々道路整備などで世田谷区と対立関係にあった地域住民、また下北沢駅前のチェーン店化により個性が失われていくこ...
小田急線地下化に伴って生まれた巨大な地上空間を開発するにあたって、小田急電鉄及び地域住民がどのようにその開発を進めてきたのか?をそれぞれの視点を織り交ぜながら記している。 元々道路整備などで世田谷区と対立関係にあった地域住民、また下北沢駅前のチェーン店化により個性が失われていくことへの危惧から当初、小田急が示した開発案には難色を示していた地域だが、支援型開発という地域住民に主導権をおきディベロッパーは支援に徹するという向き合いに変わったことで、一帯は独自性を帯びた地域密着型の開発して成功した…というもの。 用途地域的にそもそも超高層ビルなどが駅前に立つことはなかったのだろうと思うが、この事例は鉄道会社云々は一旦無視して、「都市部における地域密着型再開発事例」ではなく、地方都市など一定の若年中年層プレイヤーがいる前提の地域密着型再開発には良い事例になると思う。読んだ限り「東京だからできた」というような要素は一切ないし、地域住民が楽しい街であれば外から魅力的に映るだろうという意図で開発を進めたあたり、まるで地方都市のようだと思う。その覚悟で地域住民と向き合えたディベロッパー側の姿勢はすごいと思うし、渋谷や新宿、品川のように開発によって街が大きく変わるわけではない上に小田急自体の収支に致命的な影響を与えるわけではないからできたのであろう。 ただおそらく街として自覚がある通り、わざわざ外から行くほど面白い街になったかと言われると実際はそうでもない気がしていて、開発時に想いを持っている地域住民が老害化せずに新陳代謝が進むかどうか、ディベロッパー側の向き合い姿勢が変わらないかどうか、に行く末がかかっているんだろうな…と思いました。
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