分かりやすい公用文の書き方 第2次改訂版 の商品レビュー
「公用文作成の考え方」に準拠した改訂。前の版も持っているけど改めて買い直して通読した。なるべく根拠となる通知等を示した上で演繹的に記述しようという努力は感じられる。が、著者の主観で書かれた部分も少なくないので注意したい。以下、付箋を貼った箇所の要約と、一部疑義。 ・受身形(受動...
「公用文作成の考え方」に準拠した改訂。前の版も持っているけど改めて買い直して通読した。なるべく根拠となる通知等を示した上で演繹的に記述しようという努力は感じられる。が、著者の主観で書かれた部分も少なくないので注意したい。以下、付箋を貼った箇所の要約と、一部疑義。 ・受身形(受動態)はむやみに使わない p.23 ・「権利が有る」「東京に在る」「人家が無い」のような表現は漢字で書くが、「問題がある」「欠点がない」のような抽象的なものの有無の表現では平仮名で書く。p.44 ※「公用文作成の考え方」では、「「有無」の対照、「所在・存在」の意を強調するときは(略)漢字で書く」とある。著者の整理のしかたが正しいか疑問がある。「特に強調する意図がない場合を除き、原則として平仮名で書く」とした方がよいのではないか。ちなみに、『詳解公用文の書き方』では、「ある」も「ない」も「仮名で書くのが原則である」とされている。 ・「うまくいく」「納得がいく」「それでいく」の「いく」は平仮名。「勇気を持つ」の「持つ」は漢字、「体がもたない」「君の肩ばかりもっている」の「もつ」は平仮名、「連絡をとる」「手続をとる」の「とる」は平仮名で書く p.45 ※この部分の一つ一つの根拠はよくらわからなかった。 ・補助動詞は平仮名、複合動詞は漢字 pp.52- ・「公用文における漢字使用等について」には、「送り仮名の付け方」通則7を受けての具体的な例示はなく、公用文では事実上「法令における漢字使用等に倣っている p.76、p.83 ・格助詞「が」の付く主語には、単文の主語である場合を含めて原則として「、」を打たない p.95 ・「仮に」「もし」「例えば」「特に」は、副詞であって接続詞ではないので、後に「、」を打たない。ただし、これらの副詞と修飾される語句の間に他の句や節がある場合を除く p.97 ※『詳解公用文の書き方』では、文の始めに置く副詞「例えば」「殊に」の次には読点を付けることとしている。「公用文作成の考え方」の中の記述は、「例えばA」(読点なし)、「例えば、(連体修飾節)A」(読点あり)のようになっており、本書の記述の方が当たっていると思われる。 ・副詞的語句が被修飾語と離れているときは「、」を打つが、直接係っているときは「、」を打たない p.100 ・従来「ます」体で公用文を書くときは、「です」はできるだけ用いず、「であります」を用いるのが原則とされていたが、「公用文作成の考え方」では「です」体を「ます」体と一体として認めている pp.108-109 ・うっかり使う文語表現 pp.110-111 「更なる」……連体詞化してマスコミ等で多用されているが、現代文には用いないのが原則 「にて」→「で」 (文法用語の誤りと思われる箇所) 文全体に掛かっていれば「接続詞」、特定の用言のみを修飾していれば「副詞」 p.47 →文全体を修飾する副詞もある(「多分」「恐らく」「まるで」等)ので、どちらの定義も誤り。前後の文・語句同士を結びつける語が「接続詞」、名詞である語以外のあらゆる要素を修飾する語が「副詞」とすべきである。
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一般の人は必ずしも本書に書かれているものに従う必要はないが、日本語の文書を作る上で参考になる部分は多い。 英語や中国語と比較しても、日本語の表記揺れは著しいな、と改めて感じた。
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序 章 公用文の書き方について 第1章 公用文の書き方のルール 第2章 主語と述語 第3章 漢字と平仮名 第4章 送り仮名 第5章 句読点 第6章 文体 第7章 項目番号及び配字 第8章 名詞の列挙 第9章 通知文の書き方 第10章 差別用語・不快用語 追補1 外来語の表記 追補...
序 章 公用文の書き方について 第1章 公用文の書き方のルール 第2章 主語と述語 第3章 漢字と平仮名 第4章 送り仮名 第5章 句読点 第6章 文体 第7章 項目番号及び配字 第8章 名詞の列挙 第9章 通知文の書き方 第10章 差別用語・不快用語 追補1 外来語の表記 追補2 広報文の書き方 追補3 コンピューターで使える漢字 追補4 Wordでの段落書式の設定 参考資料(常用漢字表、公用文作成の考え方、人名用漢字の変遷等) 用字用語索引
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