空海『三教指帰』 の商品レビュー
儒教・道教に対して仏教の優位を説く『三教指帰』のもととなった若き日の空海が著した『聾瞽指帰』は、その表現のなかにふんだんに引用されている中国古典が意味するところを丹念に読み解けば、英邁とはいえど相次ぐ宮都造営と蝦夷討伐によって民を疲弊させる暴君の側面があった桓武天皇とそれに阿諛追...
儒教・道教に対して仏教の優位を説く『三教指帰』のもととなった若き日の空海が著した『聾瞽指帰』は、その表現のなかにふんだんに引用されている中国古典が意味するところを丹念に読み解けば、英邁とはいえど相次ぐ宮都造営と蝦夷討伐によって民を疲弊させる暴君の側面があった桓武天皇とそれに阿諛追従する重臣たちへの諷諫の書であることが明らかであるという。このような書を空海がものした動機とは、空海の出身氏族であり武をもって天皇の側近として仕えて忠孝を示してきた大伴・佐伯氏が長岡京の事件で没落する時代にあって、仏に仕える出家によって新たな忠孝の形を示そうとすることにもあったのだという。
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プロローグ──憤ふん懣まんの書── 第1章 空海の決意──天皇への忠と祖先への孝 1 空海とは誰か──これまでのイメージ 2 来歴──誰に向けて書かれたか 3 時代背景 4 空海の時代の儒・道・仏 第2章 『聾ろう瞽こ指しい帰き』を読み解く 1 表と裏...
プロローグ──憤ふん懣まんの書── 第1章 空海の決意──天皇への忠と祖先への孝 1 空海とは誰か──これまでのイメージ 2 来歴──誰に向けて書かれたか 3 時代背景 4 空海の時代の儒・道・仏 第2章 『聾ろう瞽こ指しい帰き』を読み解く 1 表と裏のメッセージ 2 儒教の篇──暴君は誰か 3 道教の篇──風狂の隠者たち 4 仏教の篇──真の忠孝とは何か 第3章 忠孝の行ゆく末すえ 1 『聾瞽指帰』のその後 2 密教との出会い 3 完成の日──天皇即位の伝承 4 忠孝の行く末
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