コーヒーを飲んで学校を建てよう の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
コーヒー「キリマンジャロ」の産地タンザニアのルカニ村を訪問した著者が、訪問の記録を伝える絵本。ルカニ村の人々の生活や、コーヒーの栽培・加工方法、村の暮らしを支える産業としてのコーヒーの重要性などが語られている。 中でも、1990年代以降のコーヒー価格の低迷、そして2001年〜2002年「コーヒー危機」に際して、京都大学の辻村教授が村の人々と共に始めたフェアトレードの活動に関する記述が詳しい。フェアトレードによる「応援金」によって図書館や学校が建設されていく様子、そこで過ごす子どもたちの姿、子どもたちが十分な教育を受けられるようにしたいという村人たちの願いが描かれていく。 現在では、ルカニ村のすべての子どもたちが「応援金」で完成した中学校に通っているそうだ。また、コーヒー危機などによって街に出た若者たちも一部が村に戻り、コーヒー生産を再開したとのこと。「フェアトレード」は、ルカニ村の人たちが大切にする「助けあう」ことを、地球規模で実現する一つの手段なのだということが実感できる。こういう本を読むと、フェアトレードの意義が心にストンとおちてくる。 辻村教授はすばらしい仕事をしているなあと、感動した。今は呼びかけが「コーヒーを飲んでルカニ村の教育と森林を守ろう」に変わり、「新しい水路」の完成に向けて資金を集めているとのこと。遠くにいながらできる国際協力「フェアトレード」。できたらしたいなあと思うけれども、自分の生活でいっぱいいっぱいなのが悔しい。しっかり稼ぐことは、誰かを助けることにもつながるんだなあ。
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