翻訳を産む文学、文学を産む翻訳 の商品レビュー
実に「具だくさん」な本だ。それでいて「盛りすぎ」という感もなくスマートにまとまっているのだから舌を巻いてしまう。村上春樹の文体にリチャード・ブローティガンやカート・ヴォネガットの和訳(つまり藤本和子や浅倉久志といった翻訳家の仕事)がどのように影響を及ぼしたかを語り、そこから日本の...
実に「具だくさん」な本だ。それでいて「盛りすぎ」という感もなくスマートにまとまっているのだから舌を巻いてしまう。村上春樹の文体にリチャード・ブローティガンやカート・ヴォネガットの和訳(つまり藤本和子や浅倉久志といった翻訳家の仕事)がどのように影響を及ぼしたかを語り、そこから日本の読者がそうしたアメリカ文学の変わり種をどのように受容したかを語る。つまり、春樹を語るだけではなく日本の大衆文学やサブカルチャーにまでも目を配った「侮れない」1冊ということになる。こうした視点を持ちえたのは海外の書き手だからなのか?
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世界文学と翻訳との関係を通して。いろんな資料に詳しい。『太陽の季節』そして、見田宗介、大澤真幸(この人は名前も知らなかった)の「虚構の時代」 庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』などの「赤黒白青四部作」で連合赤軍犯人の日比谷高校の先輩である福田章二のペンネーム。『ライ麦畑でつかまえて...
世界文学と翻訳との関係を通して。いろんな資料に詳しい。『太陽の季節』そして、見田宗介、大澤真幸(この人は名前も知らなかった)の「虚構の時代」 庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』などの「赤黒白青四部作」で連合赤軍犯人の日比谷高校の先輩である福田章二のペンネーム。『ライ麦畑でつかまえて』の影響。で、村上春樹の登場に丸谷才一は、ヴォネガットとブローティガンの影響を鋭く指摘していた。ワクワクするような展開。読んでいて楽しいです。外国の人が日本の大学で学んだとはいえ、博学に感心いたします。
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