氷の城 の商品レビュー
決して難しくは無いけれど、描かれている世界に自分から踏み込んでゆかないと、よくわからないままに読み終わってしまうような作品。どれほどの寒さで、どれほどの硬さで、どれほどの美しさで、どれほどの巨大さなのか、想像を超えるような氷の城。その城の魔力に人も鳥も惹きつけられて意思も自由も失...
決して難しくは無いけれど、描かれている世界に自分から踏み込んでゆかないと、よくわからないままに読み終わってしまうような作品。どれほどの寒さで、どれほどの硬さで、どれほどの美しさで、どれほどの巨大さなのか、想像を超えるような氷の城。その城の魔力に人も鳥も惹きつけられて意思も自由も失ってしまう。ノルウェーにはきっと、本当にそんな寒さが有り、そんな氷の城があるのだとおもいながら読んだ。少女たちの心や周囲の人々の思いを頑張って追いかけながら読んだので、読後は、しっかり文学を読み終えた気がした。決して説き明かされないなにかを周辺からとにかく描いて描いていくこれは、やはり文学作品なのだろう。
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途中までドキドキしながら読んで、後半はしんどかった。11歳でいくら親友を失い傷ついたからといって、こんな態度とり続けてもクラスメイトから愛され見守られ続けるなんて成熟した社会であるノルウェーだからなのかなあ。日本だったらふつうにハブられて居場所無くなりそう。主人公が恵まれてるのに頑固過ぎてイライラした。ウンやおばさんは素敵だった。
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正直言ってよくわからなかった。 寓話ではないし、リアルな物語でもない。 ぼんやりとした書き方だが、意図して隠しているわけではない。 一応ストーリーはあるが、全体的につかみどころがない感じ。 ウンが氷の城に入っていき、様々な部屋を見ていくシーンは幻想的で美しく、ちょっと怖い。 そこ...
正直言ってよくわからなかった。 寓話ではないし、リアルな物語でもない。 ぼんやりとした書き方だが、意図して隠しているわけではない。 一応ストーリーはあるが、全体的につかみどころがない感じ。 ウンが氷の城に入っていき、様々な部屋を見ていくシーンは幻想的で美しく、ちょっと怖い。 そこが一番印象に残った。 ノルウェーの冬の夜の長さが、不安をかきたてる。 11才の子どもが凍りつくように寒く真っ暗な中(時間は遅くないのだが暗くなるのがとても早い)、一人で友だちの家に行ったり家に帰るのが心配にもなった。 良さが今一つ味わえなかったのは、あとがきにもある通り読むのを急ぎすぎたのかな。
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記念すべき感想100個目。それはさておき。 なんて運命的で、幻想的で、儚い物語…… 読了後、はぁーっとながーいため息をついた。 あまりにも物語にのめり込みすぎて、自分が吐いたため息にまで氷の結晶がまざり凍えているのではないかとさえ思えた。夏も近づく頃なのに。 この物語の舞台はノ...
記念すべき感想100個目。それはさておき。 なんて運命的で、幻想的で、儚い物語…… 読了後、はぁーっとながーいため息をついた。 あまりにも物語にのめり込みすぎて、自分が吐いたため息にまで氷の結晶がまざり凍えているのではないかとさえ思えた。夏も近づく頃なのに。 この物語の舞台はノルウェーのとある田舎町。 学校の中心人物であり11歳の女の子シスは、謎めいた、それでいて凛とした空気を醸し出す同い年の転校生の少女ウンに不思議に強く惹かれた。 それはウンの方も同じだった。 とうとうウンの家にシスが遊びに行こうという時の、2人のそれぞれの高揚感、期待、明るい未来。 2人の不思議なまでに互いに惹かれ合うさまは、運命としかいいようがない。 それでいてもどかしい。が、 私は2人の明るい未来を期待して、2人が寄り添って笑い合って抱きしめ合って一生を共にするのではないか、そしてタイトルから氷の城とやらで何かワクワクの冒険を2人でするんじゃないのかと思った。 でも違った。 この物語は幻想的ではあるが冒険譚ではなく、出会いと別れと成長の物語だった。 シスが遊びに行った翌日、ウンは学校ですごいぞと噂になっていた氷の城に一人で行き、そのまま行方不明になってしまう。 ウンは一体どうなってしまったのか……最後までハラハラしながら読む。 ウンを思う村の人たちの心情はもちろん、ウンがいなくなってしまってからのシスの、ウンとの秘密を、ウンを守るがゆえの周囲を避ける行動や、自分を押し殺さなければならないほどのウンへの強い思い、ウンへの誓いが、痛々しいほどに伝わってくる。シスとウンへの思いが、読みながら強くなっていく。 …ウンが氷の城に囚われてしまっているように、シスもウンに囚われてしまっている。 しかしそのラストは………… 儚い、とも、希望とも、悲しいとも、未来があるとも、どれか一つには決して絞れない、胸がわななくラストだった。 シスとウンにも強く惹かれたが、名もなき他の村のひとたちもみな愛おしい。 それだけ人物の心理描写が素晴らしいということだ。 しかしシスとウンの姿の具体的な描写…たとえば髪の色や瞳の色、背丈など、詳しい描写はない。私は読みながら頭の中でぐにゃぐにゃと登場人物たちの姿の想像を変えていった。 そこら辺特徴的な書き方をするなと思った。しかしそんな具体性は必要ないのかもしれない。 それに、そんなのなくてもとても読みやすい。 速い人なら数時間も経たずに読めてしまえるほど読みやすいが、やっぱりこの物語はじっくり噛み締めるように、静謐さを保つように読みたい。 本文中には、最後まで明かされない不思議な部分がたくさんある。 あとがきには、ヴェーソスの描く世界…それら理解しきれないことを、読者はそのまま受け入れなければならない。とある。 たしかに理屈で考えるよりも、その理解しきれない不思議を心でそのまま感じる方が味わいがある。 愛おしくなる。 またあとがきでは、舞台となったノルウェーの気候や文化、なぜ氷の城に村の人々はみな興奮するのか、ノルウェー人である作者、故ヴェーソスについての解説もあり、物語を読み終わった後に読むととても面白い。 ちなみにウンが氷の城に魅了され次から次へ奥へ奥へと部屋を探検していく描写について、読者のみなさんはどう感じたか?と問われている。 …私はとても恐ろしくハラハラした。 しかし恐ろしさと同時に、それでもなお氷の城は魅力的にも映るのだ。うん、やはり恐ろしい。 なんでこんな素敵な物語が今まで邦訳されていなかったんだろう!? 書かれたのは1963年なのに。 作者は何度もノーベル文学賞にノミネートされたらしいのに!?なんで知らなかったんだろう悔しい。でも今読めて嬉しい…。 ヴェーソスの他の作品も邦訳されるとのことで調べまくったが、まだいつ出版されるとかの詳細がよくわからない。はやく読みたいよ〜〜〜この氷の城があまりにも魅力的だったから、まだ一作しか読んでないのにヴェーソスにめちゃくちゃハマりそう……… 読みたい……ヴェーソス作品もっと読みたい……っっ あとこの装丁素敵すぎてズルくないですか!?(ズルくない) 北欧調であり、幻想的で光を通しきらない分厚い氷のような水色基調。 そでの作者の写真の装飾枠もとても素敵でカッコいい。物語も装丁も全部私のツボをついてくる………… ぜひたくさんの人に読まれてほしい…!!
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深く通じ合えたばかりなのに行方不明になった友人ウンをいつまでも思い続けるシス。 2人以外は家族もクラスメイトも名前で表されないことが2人の特別な絆を高めている、のか?
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ノルウェイの田舎町を舞台とした小説。寒くて暗い冬という北欧らしさのある作品である。11歳の少女シスが通う学校に少女ウンが転校する。シスはウンと仲良くなっていくが、ある日、ウンは姿を消してしまう。森の幻想的な自然描写の中で物語が進むため、事実と想像の境界が不明瞭である。 とはいえ...
ノルウェイの田舎町を舞台とした小説。寒くて暗い冬という北欧らしさのある作品である。11歳の少女シスが通う学校に少女ウンが転校する。シスはウンと仲良くなっていくが、ある日、ウンは姿を消してしまう。森の幻想的な自然描写の中で物語が進むため、事実と想像の境界が不明瞭である。 とはいえ、客観的な事実というものも傲慢に過ぎないものかもしれない。自分達が事実と認識しているから事実であり、空想物もあると知覚しているならば、その人にとって事実と異ならないと言えるかもしれない。事実は他の人も近くできるものという点が異なるが、それならば事実は客観的に存在するものではなく、皆が認めるものになってしまう。 シスは周囲の人々から自分が何か手掛かりになることを知っていないか質問攻めに遭い、苦しくなる。一方で時間の経過とともに周囲はウンが亡くなったものとして、ウンのいない日常を送ろうとする。それはシスには我慢できない。学校でウンの机を転入生の机にしようとしたことに抵抗する。シスは授業直前の教室で「ウン」と声を出す(239頁)。これに対して級友は「ぼくたち、ウンのこと、忘れてないよ」と答える。日本では前に進むことが良いことと強要しがちである。 シスの負担を考えて医者が話題にすることを禁止したことが明らかになる(253頁)。シスへの詰問を止めることは正しい配慮である。但し、話題にしないことが良いことかは難しい。実際、シスは周囲がウンを忘れ去ったと不信感を抱いた。 おばさんがシスをウンのことから解放させようと話してしまうことは焦り過ぎである。これを言ってしまうとシスは自発的ではなく、周囲の期待に応えるために頑張らなければならなくなる。解放されなければならないと逆にシスを追い詰めることになる。喪失からの回復の物語であるが、回復が優等生的に感じた。
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北欧ノルウェーの凍てつく冬、11歳の少女2人の儚い友情の物語。 シスは転校生・ウンと仲良くなるがある日彼女は忽然と姿を消してしまう。 冬のある朝、1人の少女が登校中に姿を消す。捜索をしても見つからない恐怖と諦め。その前日に会っていた 少女の誰も救えない後悔と喪失がひしひしと伝わってきます。 この物語の根幹は、その雄大で容赦ない自然でしょうか。1人の少女が導かれるように その冬の氷による自然の煌めきの奥へ奥へと進んでしまい、神様に隠されてしまう。 読んでいて久々に自然への畏怖を覚えました。自然は怖いという当たり前のこと。 最近は「正しく怖がる」という考えが広まり、自然もそのひとつとなってきていますが このような自然の怖さを伝える物語も必要だと感じました。 #氷の城 #NetGalleyJP
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