グライス理性の哲学 の商品レビュー
グライスといえば推意にかんする理論ということで,たんにそれ単体で取りあげられることが常であるけれど,この本では,それをグライスなりの行為論のフレームワークの一部として捉える,という試みをしていて,おそらくそれはけっこう成功しているようにみえる(ので,わたしには,グライスの試みが不...
グライスといえば推意にかんする理論ということで,たんにそれ単体で取りあげられることが常であるけれど,この本では,それをグライスなりの行為論のフレームワークの一部として捉える,という試みをしていて,おそらくそれはけっこう成功しているようにみえる(ので,わたしには,グライスの試みが不十分であったということまで明らかになってしまっているように思われる.部分的には三木さんが別の本で明示的に批判しているところでもあるが).ビッグピクチャーというか,基本姿勢というか,グライスのそういうものを取り出そうとしているところがおもしろい.形而上学や幸福論に行き着くというのも含めて,通りいっぺんの「グライス」を壊してくれる. なんだかんだで,推意にかんする理論の解説も日本語でなされたもののなかではもっとも正確かつ詳細といっていい水準なんではないだろうか.
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第一章 グライスの生涯 1 父から受け継いだ異端性 2 哲学との出会い 3 論理実証主義の到来 4 第二次世界大戦とグライスの初期哲学 5 日常言語学派 6 オースティン、そしてストローソンとの交流 7 日常言語学派への不満とオックスフォード哲学の衰退 8 論理学...
第一章 グライスの生涯 1 父から受け継いだ異端性 2 哲学との出会い 3 論理実証主義の到来 4 第二次世界大戦とグライスの初期哲学 5 日常言語学派 6 オースティン、そしてストローソンとの交流 7 日常言語学派への不満とオックスフォード哲学の衰退 8 論理学への関心と会話的推意の理論 9 アメリカへ 10 残された日々 第二章 日常言語に目を向ける 1 オースティンの言語採集 2 意味と使用を区別する 第三章 会話的推意の理論 1 会話的推意の理論の果たす役割 2 会話的推意の理論とはどのようなものか 3 会話的推意を言われていることから区別する 4 規約的推意 5 グライスによる応用 第四章 会話的推意の理論とは何なのか 1 会話的推意の理論の内容的解釈 2 内容的解釈の問題点 3 行為論的解釈 4 疑問への答えと内容的解釈との比較 第五章 「言う」と「意味する」 1 「言う」とは何なのか 2 「意味する」の分類 3 発話者の場面意味 4 意図の無限後退問題とさらなる分析 5 発話タイプの無時間的意味 6 「言う」は結局どうなったのか 第六章 心理と行為 1 意図とは何か 2 説明の架け橋 3 意味の理論を接続する 4 行為と出来事 第七章 理性と幸福 1 推論と理由 2 目的と幸福 3 理性の哲学 第八章 形而上学と超越論的論証 1 構成主義の形而上学 2 超越論的論証 3 哲学的終末論 結 論
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