ホモ・エコノミクス の商品レビュー
とあるところで紹介されていたので、読んでみました。 「ホモ・エコノミクス」とは、「経済的合理性を第一として行動する人間像」と考えればよいと思います。 本書は、その「ホモ・エコノミクス」という考え方(経済学を組み立てる上での人間像)がどのように出来上がっていったか、を説明するとと...
とあるところで紹介されていたので、読んでみました。 「ホモ・エコノミクス」とは、「経済的合理性を第一として行動する人間像」と考えればよいと思います。 本書は、その「ホモ・エコノミクス」という考え方(経済学を組み立てる上での人間像)がどのように出来上がっていったか、を説明するとともに、「ホモ・エコノミクス」が、経済学以外に、どのような場面で使われるようになっていったか(そして使われることの問題点は何か)、を説明したものです。 全部で300ページほどあるのですが、180ページぐらいまでは、いろんな要素がごちゃごちゃに並んでいて、話があっちにいったりこっちにいったりして、著者の立場の一貫性も怪しく、内容の重複が多くてクドく、かつ、多用されている比喩も的外れだったりして、ひどく読みにくいのですが(思いついたことを思いついたままに書き散らしている印象)、180ページあたりからは、人が変わったように、理路整然とした記述になり、比喩の数もぐっと減り、かつ、比喩が的確になり、読みやすさが一気に向上しました。 途中で編集者が代わったのかもしれません(というか、最初から、180ページ以降のテイストで編集してほしかった…)。 ちなみに、この本には、数学を用いた説明がちょいちょいあるのですが、180ページまでで主な説明は終わっているため、数学を用いた説明は、ヘンテコな記述が多いんですよね…。 著者は、とっても勉強熱心で、非常に博学だと思うのですが、如何せん、180ページまでは、内容がグダグダで、著者の良さがまったく活きていない(その結果、とっても読みにくい)ので、その点が残念な本です。
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この著作の肝である第二部は、微積分の知識が無さすぎるため理解が十分ではないが、再読して理解を深めたい。 著者の問題意識に強く共感する。
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思想史という分野を初めて読んだので、まだ自分が理解できてないだけかなぁという感想。勉強してみたいなという光は感じる。これを読んだ後に論語と算盤を読みたくなった。
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新書でも論文としての学術的な内容。ただ、平易にしようという試みはあるし、通読できた。 功利主義やリバタリアンなど、入門書を読んで次に読む本としていいと思う。
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政治思想史は後継者不足により絶滅危惧種であるという。その背景にあるのが政治学の経済学化だろう。平たく言えば「学問の科学化」である(某教員曰く、政治学の論文に数式が出てくるのは珍しくないらしい)。特に政治思想史は「思想の歴史」の学問であるが故に社会科学というよりは人文(科学)的です...
政治思想史は後継者不足により絶滅危惧種であるという。その背景にあるのが政治学の経済学化だろう。平たく言えば「学問の科学化」である(某教員曰く、政治学の論文に数式が出てくるのは珍しくないらしい)。特に政治思想史は「思想の歴史」の学問であるが故に社会科学というよりは人文(科学)的ですらある。という意味において学生にとっては「役に立たない」学問扱いされるどころか就活に不利になる。よって人気がなくなるのは当然である。さらに言えば、本著でも触れられているように「大学の企業化」による締め付けで「文系学部不要論」が台頭しているのが著者の危機感の根本にあるのではないだろうか。既に経済学ではホモ・エコノミクスには疑義が出ているにも関わらずあえてそれをテーマとして取り上げるのは、そういった著者の倫理観に基づく抗議表明であるとも言えるだろう。 とはいえ、本書は経済学説史をベースとし「人間の存在とはなにか」を問うている。これは本来哲学的テーマであり、そう簡単に単純化できるものでもない。しかしながら、学問領域を隔てるのは「人間をどう定義するのか」に関わっている。一般的には法学部に属する政治学科ではあるが(よって「権力」がテーマとなる)、著者出身の早稲田や現勤務先の明治では政経学部に位置付けられている。本書はそういった著者の生い立ちも関係するある種の「学際的な成果」とも言えるのかもしれない。
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つまらないわけではないし、ためにならないわけでもないが、説明がやや詳細すぎて、主題がボケてしまった感がある。 「経済学」を科学の領域に高めようとして物理・数学を導入した。その結果、現実離れしたホモ・エコノミクス(合理的な経済人)概念が所与の前提として独り歩きして、これが政治学...
つまらないわけではないし、ためにならないわけでもないが、説明がやや詳細すぎて、主題がボケてしまった感がある。 「経済学」を科学の領域に高めようとして物理・数学を導入した。その結果、現実離れしたホモ・エコノミクス(合理的な経済人)概念が所与の前提として独り歩きして、これが政治学にも取り込まれて、現代社会に様々な悪影響を与えている。というのがおそらく本書の趣旨であって、それには異論はないが、各学説の紹介が丁寧すぎて、著者の言いたいことが伝わる前に読むのをやめてしまう人もいるかもしれない。著者自身「だいぶうんざりしてきたかもしれない」と自認しているが、内容は悪くないだけに、わかっているならもう少し工夫をしてほしかった。 ただ、最後まで読めば、著者の現在の「経済学」への批判意識は鋭いものがあるし、(経済学が好きなゆえに)危機感も強く伝わる。随所で見られるそこはかとないユーモアにも好感が持てる。
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