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アヴェルノ の商品レビュー

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2022/03/26

「野生のアイリス」を読んで惚れたルイーズ・グリュックの邦訳2冊目の詩集。ここに収められた17編の詩はギリシャ神話に登場するペルセポネが主なモチーフとなっている。難解でありつつも、神話を織り込んだ詩は神秘的な美しさがある。「野生のアイリス」は光溢れるイメージがあったが、今作の「アヴ...

「野生のアイリス」を読んで惚れたルイーズ・グリュックの邦訳2冊目の詩集。ここに収められた17編の詩はギリシャ神話に登場するペルセポネが主なモチーフとなっている。難解でありつつも、神話を織り込んだ詩は神秘的な美しさがある。「野生のアイリス」は光溢れるイメージがあったが、今作の「アヴェルノ」は夜闇、漆黒の中で仄めく光といった陰のある印象が強い。紡がれる詩の中に生、死、魂という言葉が散りばめられているからかもしれない。ペルセポネの神話自体が生と死を巡る寓話だ。グリュックの詩それ自体も大きな生命の循環を描いているように感じられる。陰と陽、光と影、生と死、春と冬、天と大地、命を育み得る女性なるものの神秘……。何度でも繰り返して読みたい詩集です。

Posted byブクログ