田中秀臣・森永康平のNippon学 の商品レビュー
2020年に急逝された、俳優の三浦春馬さんが生前、日本中を積極的に取材を行って刊行された本である「日本製」を皮切りに三浦さんの関わった仕事についての本や、また別の経済関連の本の書評を端緒として行われた、経済学者の田中秀臣先生と経済アナリストの森永康平さんの対談を纏めた一冊です。 ...
2020年に急逝された、俳優の三浦春馬さんが生前、日本中を積極的に取材を行って刊行された本である「日本製」を皮切りに三浦さんの関わった仕事についての本や、また別の経済関連の本の書評を端緒として行われた、経済学者の田中秀臣先生と経済アナリストの森永康平さんの対談を纏めた一冊です。 まず、本書の前半である、三浦春馬さんが積極的に日本各地を回って取材を重ねた「日本製」では、森永さんは、「すごく教養が深まる本だな、と。~略~ 特に、本書で取り上げられたような歴史や文化、そういったことを知ってはじめて教養のある人間になれるのではないでしょうか」と評しています。 田中先生は、三浦春馬さんの演技に以前からかなり注目されていたこともあり、「日本製」に掲載されている甍(いらか)職人の写真を三浦さんが手元の動きに注目して写真を撮っているのをみて、「彼の撮影した写真からうかがえる、身体性への着目は俳優としての自信の肉体の使い方、見せ方への意識の裏返しだったんじゃないかと思えます」と大変に鋭い指摘をされています。 そして、田中先生は、三浦春馬さんのことをこうも評されています。「本書中に垣間見える身体性への着目であるとか、居合などの武道に対する理解を経て、自分の肉体をより高い次元で構築していくための研鑽を怠らない。ここまでいくと三島由紀夫的な世界観にすら繋がりますね」これは、俳優である三浦春馬さんに対する最高の賛辞のように読めました。 そして「天外者」に関しては、三浦さんが演じた五代友厚とその時代について簡潔にお話をされているので、そこも読みどころです。 本書の後半になると、お二人の専門である経済の本についての対談になります。 田中先生の「野球のルールで解説する効率市場仮説」 「サッカーのたとえで理解する「適応的期待」と「合理的期待」」は、非常に分かり易く読みやすく感じました。 最終章のMMTに関する対談は、私が少しMMTの理解が追い付いていなくてごちゃごちゃしていた状態だったので、頭を整理する良い機会になりました。 以上、本書は三浦春馬さんのファンの方々や経済の好きな方々、どちらも楽しめる良書だと思います。
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