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小説 如月小春 前夜 の商品レビュー

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2022/05/03

如月小春。 どれくらいの人が、 その名を知っているのだろうか。 大半の人が知らないのではないだろうか。 聞いたことがあるという人はいても、 よく知っているという人は少ないのでは。 でも一部の人にとっては、 強烈な記憶の中にある名前ではないかと思う。 僕自身もそれほど詳しくは知ら...

如月小春。 どれくらいの人が、 その名を知っているのだろうか。 大半の人が知らないのではないだろうか。 聞いたことがあるという人はいても、 よく知っているという人は少ないのでは。 でも一部の人にとっては、 強烈な記憶の中にある名前ではないかと思う。 僕自身もそれほど詳しくは知らない。 けれど忘れられない名前であり、 大きな影響を受けた人だ。 遡ること30年前、 1990年の僕は高校生だった。 地方都市のその外れに住んでいた僕は、 その街の中心にある高校で、 たくさんの初めてと出会った。 すべてが煌びやかで眩かった。 そのひとつが演劇だった。 普段は冴えない友人が、 舞台に上がるとガラリと変わる姿に驚かされた。 そしてそんな友人が仰ぎ見る先に、 先輩のエース男優がいて、看板女優がいた。 看板女優が何度も繰り返す 「メタモルフォーゼ」の言葉。 舞台の真ん中にすっくと立った、 その姿はとても同じ高校生徒と思えなかった。 その芝居の脚本が如月小春さんだった。 その時聞いたその名前、 いつかその戯曲を読みたいと思いながら30年。 だから背表紙にその名を見たとき、 つい手に取ってしまった。 彼女はどういう人だったのか。 彼女が目指したものは何だったか。 30年ぶりのあの戯曲、あのセリフ。 その真相に少しだけたどり着いた気がする。

Posted byブクログ