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ヒノマル の商品レビュー

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20件のお客様レビュー

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2022/05/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

初読みの作家さん。文章が読みやすくて、すごく良かった。戦時下だからといって、みんなが当たり前に愛国心だけでまっすぐ前を向いていたわけじゃない。みんな振る舞い方を考えて、生きてたのかなと思いました。どこかの教科書で読んだ、「薔薇のボタン」を思い出した。

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2022/05/15

古市さんの文章には清涼感がある。 戦争が題材だけど、きな臭い匂いより甘夏の香りの方が強く感じる。 好きだな〜。

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2022/03/31

古市さん渾身の一作だろう。既読の作品はどれもどこか無機質な感じがしたが、今作は大層エモーショナル。戦時中の青春恋愛小説。愛国心が非常に強く「お国の為なら喜んで死ぬ」という勇二。ある日勇二は美人で活発で大胆な涼子と知り合う。涼子は勇二の愛国心をことごとく否定し「日本は戦争負ける」と...

古市さん渾身の一作だろう。既読の作品はどれもどこか無機質な感じがしたが、今作は大層エモーショナル。戦時中の青春恋愛小説。愛国心が非常に強く「お国の為なら喜んで死ぬ」という勇二。ある日勇二は美人で活発で大胆な涼子と知り合う。涼子は勇二の愛国心をことごとく否定し「日本は戦争負ける」と言い放つ。強く反発する勇二だが、涼子に心惹かれる気持ちは止まらない。戦争時代なので辛いシーンもあるにはあるが、悲壮感は控えめな感じがした。エピソードや人物にフィクション感は強いものの勇二も涼子も魅力的なので最後まで面白く読んだ。

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2022/03/29

読み応えのある小説。 私であれば戦争がテーマならヒノマル、恋愛がテーマならアマナツといったタイトルを選択するでしょう。

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2022/03/24

始めは戦中戦後の話では悲惨な事や食糧事情などの憂鬱な話ではないかと覚悟して読み始めたが途中からはニヤニヤ、ふふふと笑いながら最後はああ面白かった!となった。戦中戦後の体験の記憶が忘れられない小生としてはホッとした読後感だ!

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2022/03/10

今なら当たり前のように思い描く将来大人になったらやりたい事や、海外のどこそこに旅行に行きたい… 美味しいものを食べてみたい… そんは素朴な願いすら統制されて出来ない時代が、ついこの間まであったという事実。 自分は御国の為に身を捧げるから、大人まで生きることはないと当たり前のように...

今なら当たり前のように思い描く将来大人になったらやりたい事や、海外のどこそこに旅行に行きたい… 美味しいものを食べてみたい… そんは素朴な願いすら統制されて出来ない時代が、ついこの間まであったという事実。 自分は御国の為に身を捧げるから、大人まで生きることはないと当たり前のように小中学の子が毎日思って過ごす。 そんな世の中に希望なんてないよな…と感じながら読んでいた。 どんな小さな夢でもいいから自由に思い描いていられる世の中がいい。 統制だけ厳しくして、金持ちの上の官僚とかだけは酒に女に豪勢な食事や、金に溺れて暮らす。 そう言う未来にならない事を祈るばかり。

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2022/03/04

昭和18年の夏。アメリカによる戦争が起きてもおかしくない時代、中学生の勇二は同級生から、ある噂を聞く。公園の中に秘密の洞窟があり、そこに魔女がいるとのこと。現場に行ってみると、そこには魔女ではなく、歴史学者の娘・涼子がいた。段々と話していくうちに涼子は日本は戦争に負けると言い放つ...

昭和18年の夏。アメリカによる戦争が起きてもおかしくない時代、中学生の勇二は同級生から、ある噂を聞く。公園の中に秘密の洞窟があり、そこに魔女がいるとのこと。現場に行ってみると、そこには魔女ではなく、歴史学者の娘・涼子がいた。段々と話していくうちに涼子は日本は戦争に負けると言い放つ。国家のためなら死んでもいいという精神をもつ勇二としては、それが気に食わなかったが、同時に愛情も感じるようになった。 でも、涼子には恋人がいた。それは勇二の兄だった。 もしも戦争がなかったら?そう思うと、自由や死など悔やむ箇所が多くありました。 古市さんの最新作ですが、いつも思うことが。それはテレビで見る古市さんの雰囲気と小説から放つ雰囲気が違うという印象があります。 たしかに理論的な表現をする文章もあるのですが、感受性豊かに書いているので、小説面ではいつも驚かされています。 昭和18年ということで、背景となる戦争の描写もあるのですが、基本的には学生達の青春を中心に描かれています。 時代に翻弄される登場人物達の正義や制限された空間での自由奔放さには青春を感じさせてくれました。いつの時代も、行動力は変わらないなと思いました。 ただ精神面としては、現代人から見れば、勇二という人物に対して異常だなと思いました。その時代にしてみれば、それが一般的であり、大半だと思いますが、今にしてみれば、考えられない考えばかりでした。 戦争という時代の環境が招く恐ろしさに、もしも自分がその時代に生きていたらと思うと、今の時代でよかったとも思ってしまいました。 そんな時代で生きる勇二達が、涼子と出会うことで、様々な体験をしていきます。「東京」という華々しい所へ行ったり、はたまた恋愛、労働、そして戦争などに直面していきます。若いからこその行動力や精神力が、青春小説として引き立たせてくれるので、時折爽やかさがありました。 恋愛面においては、表現が艶かしかったです。淡々と表現しているのではなく、ドキッとさせるようなエロさの表現があて、印象が強かったです。 今までの作品もそうですが、この作品でも死生観が描かれています。国家のためなら死ねる勇二が、様々な死の場面に遭遇します。最初はそれが誇りであると思っていたのですが、次第に気持ちが変化していきます。 やっぱり人の「存在」がなくなることに胸が痛い気持ちでした。死によって、周りの人達は悲しくなります。体験してみないと、なかなか考えを揺るがすことができません。 今も、そういったことが外国で起きています。何のために戦争をしているのか?もう一度原点に立ってほしいなと思いました。

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2022/03/01
  • ネタバレ

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旧制中学三年生15歳の軍国少年勇二。鬼畜米英と戦って天皇のために死ぬことがなによりの自分の存在意義だと思い込んでいる彼が、一つ年上の高等女学校に通う少女涼子と出会う。特高に目をつけられている父を持つ涼子は実は勇二の兄優一の恋人であった。知的で自由闊達な涼子へのひそかな想い。 哲学を専攻する兄が学徒出陣、訓練の中での不慮の事故死。兄への憧憬と涼子への思慕の間で揺れる勇二。そんな中で姿を消す涼子。 戦局が悪化していく中で学徒動員に駆り出される勇二と友人の啓介。工場での涼子との再会。 不器用で国家を妄信し、少しでも早く国のため死ぬことを希望する勇二に、リベラルな啓介と涼子は「未来」の希望を語る。 最悪の状況の中でも「未来」を信じることはいつか光のもととなる、それだけが救い。 愚かだと思う。あの戦争の全てを、この小説の中での勇二の言動を「愚か」だと思う。 ほんの77年前に、天皇を神だと信じ、その神のために死ぬことこそが大義であると大人も子供の信じ切っていたという。あり得ない、どう考えても日本がアメリカに勝てるはずがない。なぜ、それを信じたのか、と。 でも、と、ふと思う。それを愚かだと思う自分は、他の愚かな何かを妄信してはいやしないか。 誰かが大声で叫ぶことを、真実だと信じてはいないか。そしてその真実の範囲から外れている誰かを一方的に糾弾していやしないか。今ならそこに「匿名」という傘もある。思想信条の全てをコントロールする恐怖。 「妄信」の恐ろしさがのしかかってくる。 いたいけな10代の少年少女が、「自分の命よりも大切なもの」への恭順を強いられることの不条理。 けれど、同じ状況の中でも、それでも近視眼的妄信にとらわれる人と、大きな世界を、別の方向から見ることのできる人がいる。どこに違いがあるのだろう。どこで道が分かれるのだろう。知識と教養、あとは何だろう。何が必要なのだろう。 77年前の勇二を、この国を愚かだと笑う前に、何ができるのだろう、そう深く考えさせられた。

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2022/02/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『好きって感情は魔物だからな。手懐け方を覚えておいて損はないぞ』 『学校で習うことなんて、常識が変われば役立たなくなるんだから。あらゆる知識は相対的なものだと思っておいたほうがいい』 『誰かの間違いを見つけて揶揄したり、糾弾するのは、とても簡単なのに気持ちいいの。知識なんて暗記さえすれば誰でも身につくでしょう。創造的才能のない人ほど、生半可な知識を楯に他人を批判する』 『幸福だから笑うわけではない。むしろ笑うから幸福なのだ』 『人間とは徹底的に好意に弱い、極めて単純な生き物』 『自分の思想を再確認して安心するような本を百冊読むよりも、常識を揺るがしてくれる本と一冊でも出会えたほうが価値がある』 『他人の心がわからないというのは、人間に与えられた一番の贈り物』 『誰かの自由に干渉できるのは、自分に害が及びそうな時だけ』 『解釈の違いを許容するというのは、戦いを避ける一つの知恵』 『お金の貸し借りと違って、暴力に貸し借りなんてない』 国家の為に死ぬのは本望、そう心から願う愛国者の少年・勇二。 魔女と呼ばれていた女の子・涼子。歴史学者の娘であり、長い黒髪に大きくて彫りの深い瞳に狐のような尖った鼻、まるでギリシャ石膏像を彷彿させる彼女に勇二は惹かれていく。 しかし、涼子は大好きな兄・優一と恋仲であった。 昭和18年、戦争下の日本。思想、自由が統制され、夢を見ることさえ叶わない社会。 少年少女はどこへたどりつくのか… 『あなたの知らない誰かが始めた戦争に、あなたの未来を決められていいはずがありません。かなたの未来を決められるのは、あなただけです』 『生き残ることは罪じゃない』 推しの著者・古市憲寿さんの最新本格青春小説。 この作品が先に発表され、芥川賞のノミネートされていたらもしかしたら…そう個人的に思います。 早くも2022年最高の作品に出会えた予感

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2022/01/25

【昭和18年、夏その女は、魔女と呼ばれていた】仏文学を学ぶ兄、軍国少年の弟。二人が憧れる美少女は、息苦しい戦時下でも自由奔放。やがて兄に召集令状が…。波乱万丈の物語。

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