〈読む〉という冒険 の商品レビュー
〈読む〉という冒険•••というか、〈読む〉為の現実•••とうか。 代表的なイギリス文学を取り上げて、大学の先生の講義を聴いているようで面白かった。 昔、可愛い本だけど何言ってるか分からん!と思っていた『マザーグース』、同じような理由で『不思議の国のアリス』も少し苦手でした。この2...
〈読む〉という冒険•••というか、〈読む〉為の現実•••とうか。 代表的なイギリス文学を取り上げて、大学の先生の講義を聴いているようで面白かった。 昔、可愛い本だけど何言ってるか分からん!と思っていた『マザーグース』、同じような理由で『不思議の国のアリス』も少し苦手でした。この2つに共通するナンセンスと、英語の韻など。日本人には分かりにくい部分を解説してくれていた。まさかあのうさぎさんにそんな意味が••• そのほか『ロビンソンクルーソー』『クリスマスキャロル』『クマのプーさん』『ライオンと魔女』。それとこの中で私が一番最近に読んだ『第九軍団のワシ』。 そんな裏の部分なんか知りたくなかったよーという人もいるかもしれないけど、そう言う時代背景や作者の家庭環境など、知っていると見方が変わってきたり理解できる部分もあるように思う。 とっても興味深く面白かった。(図)
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非常に良かった! 今まで岩波ジュニア新書を10冊以上読んだが(ささっと目を通したのも含めて)、本書は、「砂糖の世界史」「カルトはすぐ隣に」と並んで、トップ3に入ると思う。 私がもともと欧米の児童文学に興味があるから、ということもあるが、あまり児童文学に馴染みのない方でも、アリス...
非常に良かった! 今まで岩波ジュニア新書を10冊以上読んだが(ささっと目を通したのも含めて)、本書は、「砂糖の世界史」「カルトはすぐ隣に」と並んで、トップ3に入ると思う。 私がもともと欧米の児童文学に興味があるから、ということもあるが、あまり児童文学に馴染みのない方でも、アリスやプーさんはわかるだろうし、ぜひ多くのかたに読んでもらいたい。 著者の語り口も素敵だった。 間口は広く、緩急をつけて、ぐいぐいと話に引き込み、最後まで真摯に児童文学を案内、いや、ともに楽しもうとしてくれる。 読みどころを案内する口調に、既に知っている作品であってもなんだかワクワクさせられる。 著者の語り口ですっかりファンになり、少しお名前で検索したところ、大学のシラバス?が出てきたのだけど、そこも素敵な一文で締められていた。 機会があればこの方の講義を見てみたいなあ。 以下、自分用に本書の章ごとの課題図書?とオリジナルの刊行年などをメモ。 1、マザーグース 伝承 17世紀ごろから 2、ロビンソン・クルーソー 1719 (ちなみにスイフトのガリバー旅行記が1726。そこから島の冒険ものがブームになる。ベルヌ「二年間の休暇」の刊行が1888。意外と間が長い!) 3、クリスマス・キャロル 1843 4、不思議の国のアリス 1865 ←江戸時代。(この章はジュニア新書「砂糖の世界史」を読んでると解像度が凄いです。) 5、クマのプーさん 1926 6、ライオンと魔女 1950 7、第九軍団のワシ 1954 意外と古い。(この本だけ私の未読の作品。私は観念的な児童文学が得意ではなく、そのイメージから読まず嫌いしているのがサトクリフ。ていうか、自分がケルトやら中世騎士道に拘りがあるため、うまく読めない気がしている。解釈違いの二次創作同担拒否、みたいになりそうという素朴な思い込み。でもこれを読んで、はじめてサトクリフに興味がわきました。) 著者が、何度も、自分と違う考えを頑として受け入れないことの危うさ、を説いてくれるのが嬉しい。まさに私に必要なやつじゃん。 中学生や高校生にこの本を読んでほしいし、もし私が十代にこの本に出会えていたら、、、物語の自由さと、現実の不自由さを、物語の力で埋めて生きている自分を見つめてしまってヤバかったかも知れない。 でも、この本が、自分の代わりに、本を読むことの面白さを語ってくれるので、若い方には助けになるはずだし、今の私もそういう点で救われる気がした。 読書は冒険、それを通じて他者の視点を体験するということ。 いずれ、もう少し突っ込んだ本を題材にとりあげてくれたら嬉しいなあ。イギリスに限らず、アメリカ、カナダも。 ウォーターシップダウン、時の旅人、とぶ船、ランサム・サーガ、あとはトウェイン、オルコット、モンゴメリとか、すごく盛り上がると思います(私が)!
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子どもの頃楽しんだ作品たち。 時代背景を思わせる内容が書かれていたり、作品が今の社会の中で持つ意味は何か、自分で考えるきっかけを与えてくれる。 産業革命による児童労働者の現実、奴隷制、戦争の悲惨さ、相いれない考え方の対立など。 国語試験で求められる、作者の意図を突きとめると...
子どもの頃楽しんだ作品たち。 時代背景を思わせる内容が書かれていたり、作品が今の社会の中で持つ意味は何か、自分で考えるきっかけを与えてくれる。 産業革命による児童労働者の現実、奴隷制、戦争の悲惨さ、相いれない考え方の対立など。 国語試験で求められる、作者の意図を突きとめるという読み方ではなく、少し異なる読み方を教えてもらった。 言葉は分かりやすいが、内容は深い一冊。
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児童文学を殆ど読んでこなかったので指南を得たく手に取る。試験問題の解答に求められるような「作者は何を言いたいのか」ではなく、作品のテーマ、書かれた時代・社会背景、与えた影響などをから作品を位置付けていく。最後にタイトルの「冒険」の意味がわかりすとんと腑に落ちた気がした。これまでど...
児童文学を殆ど読んでこなかったので指南を得たく手に取る。試験問題の解答に求められるような「作者は何を言いたいのか」ではなく、作品のテーマ、書かれた時代・社会背景、与えた影響などをから作品を位置付けていく。最後にタイトルの「冒険」の意味がわかりすとんと腑に落ちた気がした。これまでどちらかというと所謂”児童文学”が苦手だったのだが、この本のアプローチだと自分には読み易いなと思っていたら、「おわりに」で作者が書内に仕掛けたことの種明かしをされおっ、ともう一度立ち止まって最初からさっと眺め直した。第7章のコラムで英文学者でありながら英語によって得られるものと失うもの、母語で考察することの大切さに触れ、「おわりに」で言葉や文学の持つ力について念を押すように語っていることをきちんと受け止めたい。取り上げられた作品中特に『第九軍団のワシ』は読んでみたいと思っている。
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