うちのちいさな女中さん(2) の商品レビュー
かつて貧しさが当たり前だった時代。住み込みで奉公先の家事一般を受け持つ「女中」は女性の仕事として一般的で、少しゆとりのある家庭なら普通に女中を置いていたものでした。 これは、そんな時代に健気に生きた「ちいさな女中さん」の物語です。 シリーズ2作目。第7話〜第12話を収録。...
かつて貧しさが当たり前だった時代。住み込みで奉公先の家事一般を受け持つ「女中」は女性の仕事として一般的で、少しゆとりのある家庭なら普通に女中を置いていたものでした。 これは、そんな時代に健気に生きた「ちいさな女中さん」の物語です。 シリーズ2作目。第7話〜第12話を収録。 ◇ 野中ハナが蓮見家住み込みの女中になって1か月が経った ( たぶん5月の ) ある日。ハナは令子からノートを1冊もらいます。 ずいぶん前に買って戸棚にしまいこんだまま忘れていたものなので、ハナの好きにしていいとのことですが、ハナはどう使えばいいのかわかりません。 戸惑うハナを見て、日記をつけてみたらと令子がアドバイスしたところ……。 ( 第7話「ハナの日記」) * * * * * 14歳のハナの受け答えや立ち居振る舞いには、真面目で誠実な性格がよく表れていて微笑ましく好感が持てるのですが、その反面、幼い頃に両親を亡くしてから現在までのハナが過ごしてきた日々も思いやられて、少し胸が痛みました。 引き取られた親類宅で過ごした日々。10歳で女中奉公に出されてから女中の心得を身に着けていった4年間。 ハナがひたすら有用の人たらんとし続けたのだろうことは想像に難くありません。 例えば第1話で令子からもらったノート。ハナは最初は家計簿にしようとしましたし、日記をつけるよう令子に勧められて書いた内容は1日の女中仕事を記録したもので、いわゆる業務日誌でした。 さらに第3話では、隔週で1日の休日をもらえることになったハナには、喜びよりも戸惑いのほうが大きいようでした。 ノートのときもそうでしたが、「自由にできる」ということにまったく慣れていないハナにとって、自由時間などどう使えばいいのか考えたこともないからでしょう。有用第1で生きてきたことがよくわかるひと幕です。 また、それに気づいた令子が外出に誘った際のハナの出で立ちにもハナの心中がよく表れています。 ファッション性など考えない実用性重視の格好。思わず笑ってしまいますが、ハナが子どもなりに養ってきた観念を思うと、やはり胸が痛みます。 それだけに、令子から少しずつ視野を広げてもらいながら成長するハナの姿が輝いて見えます。 本巻では、「洋食」( ライスカレー )、「映画」、「デパート」( エスカレーター、マネキンガール )、「クリームソーダ」がハナに衝撃を与え、氷冷蔵庫の使い方や自宅でのアイスクリーム作りがハナのスキルアップに繋がるのですが、そんなハナを見守ることで、最愛の夫を亡くし若くして未亡人となった令子の傷心が徐々に癒えていく様子もまた、作品の大きな魅力であることがよくわかります。 個人的にもっとも印象に残ったのは、最終話「夏支度」です。 6月になると衣服や建具および調度類を夏仕様に替える必要がでてきます。「衣替え」とはそのための夏支度を指し、人間だけでなく住まいの衣替えも行う日というわけです。 その様子が丁寧に描かれる長田さんの絵には、何とも言えない趣があってため息が出ました。 2人がかりで「衣替え」を終えたあと、銭湯に行ってさっぱりした帰り道。令子たちは屋台に並ぶ風鈴を1つ買い求めます。 庭に面した部屋の軒に吊るした風鈴を令子と一緒に眺めるハナの表情が、14歳の子どもらしくてとても好もしく感じました。
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とても良いな。真面目で健気なハナちゃんが世の中や物事を知っていく様子がとてもきらびやかな目をしていて可愛い。主人との関係性も姉妹みたいで家族のような温かさを感じられてホッコリ。
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