病理医ヤンデル先生の医者・病院・病気のリアルな話 の商品レビュー
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良い医者とは何か、病気とはなにか、患者にとって医療とは何か、というのを医者の立場から教えてくれる本。 編集者からのお題を、対話のように書いていくスタイルだった。名医と呼ばれる人、標準治療について、「絶対に」という言葉について、病理医としての立場から、明解に、軽快に説いていく。 いつか死ぬ身として、読んでおいて良かったと思える本だった。
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ついったでお馴染みのヤンデル先生。 ヤンデル先生の名はマイケル・サンデルのプレゼン力に触発されてつけたのだそうだ。 そして医学生にとっては難解でつまんない病理学について、近所のおばちゃんおっちゃんにも分かるように面白おかしく説き明かす仲野先生を絶賛してる。 なお、仲野先生をについ...
ついったでお馴染みのヤンデル先生。 ヤンデル先生の名はマイケル・サンデルのプレゼン力に触発されてつけたのだそうだ。 そして医学生にとっては難解でつまんない病理学について、近所のおばちゃんおっちゃんにも分かるように面白おかしく説き明かす仲野先生を絶賛してる。 なお、仲野先生をについては、最近読んだ本が面白かったので、ここで紹介されている黄色い本もメルカリでゲットしたところ。なんという偶然でしょう。 ヤンデル先生がなぜこれほどまでに「プレゼン」にこだわるかと言えば…。 医者の世界では「とんでも」であるとして一笑に付されていることが、その「とんでも」医の「プレゼン」力で、一般大衆に受け入れられていることに大いなる危惧を抱いているかららしい。 正しいことをきちんと説明し、「とんでも」理論のとんでもなさをひとつひとつ指摘していっても、そういう真面目な議論をいくら重ねても、「とんでも」医の断定力とプレゼン力にふらふらついていってしまう人が後をたたないからであるという。 然もありなん。 医者がこんなこと広めていいのか?というようなことを、「医者が言ってるから」「その医者が証拠を見せてくれたから」と、信じている人たちが如何に多いことか。 この本の中では、特に「病理」について細かく説明するということはされていない。 ただ、「絶対治る」とか「絶対効く」というようなことを言う医療者は信じるに足りない、ということを、医療について、病をめぐる群像劇として描くことで明らかにしようとしている。 特に「がん」を題材に、非常に腑に落ちる説明をされていた。 というわけで。 病気のことは医者をはじめ様々な職種の病気のプロたちと力を合わせて対応するように、 医療について一般の人に説明するのも、文章による伝え方のプロである編集者をはじめとするプレゼンのプロの力を借りて取り組まねばならない。医者が一人で頑張っても、とんでも医療論をたくみに説くとんでも医には敵わない、と。 たくさんの役者が登場する群像劇としての「医療」と「病」、楽しく読めました。ヤンデル先生、グッジョブ! ところで。 「絶対」とか「真実」とかいう言葉を使う者を信用してはならない、とにしもりに叩き込んだのは、大学で哲学の授業を担当する研究者だった。 でも、人は、絶対とか真実とかを聞いて安心したい生き物なんだよ〜と年を食ってから思うようになった。 だから、安心したい人が、「寛解の可能性は何割くらいで、その後、こうなるのは何割くらいで」と誠実に説明する医者よりも、「絶対これが効く!」と断言するとんでも医の説を信じてしまうのは仕方のないことだし、それでその人の心の平穏が得られるならそれでもええんじゃね?と思うようになった。 病が寛解して心が不安なままより、病は悪化しても安心してる方が、幸せに近くない? それは「とんでも」ですよ〜。騙されてますよ〜、とその信心を打ち砕いて不安に陥れるのは正しいことなのかどうか。 嘘も方便なのだから。。。 そして。わたしはなかなか「信じる」ことができないわけなので、彼らの「信じる力」の源泉に関する秘密をほんっとに心の底からやっぱり知りたく思っているのである。
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時代の流れには逆行しているが、「ブラックと言われようが気にしない。自分がそうしたいから毎日職場にいるのだ」というスタンスには共感を覚える。 誰かに理解して欲しいわけではなく、お金のためというわけでもない。ただ自分の責務を全うしたいだけなのだ。 このような共感の仕方はもしかしたら筆者には迷惑なのかもしれないけれど。
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