地図とデータで見る 国境問題の世界ハンドブック の商品レビュー
《概要は全体を俯瞰するうえで役立つ》 具体的なデータは不十分だが、アフリカからアジアまで幅広く取り上げているので、概観を捉えるのに適切な本。キャプションもしっかりつけてほしい。
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フランス人地政学者2名による2021年フランスで出版された。現在の国境を考えるために、テーマ別に地理的時間的系列で多くの図が載っている。テーマ別は「築き継承する」「表示する(思い描く)」などの大見出しはついているが、ぱらぱら見るにはテーマがつかめなかった。が、地図自体はきれいなカ...
フランス人地政学者2名による2021年フランスで出版された。現在の国境を考えるために、テーマ別に地理的時間的系列で多くの図が載っている。テーマ別は「築き継承する」「表示する(思い描く)」などの大見出しはついているが、ぱらぱら見るにはテーマがつかめなかった。が、地図自体はきれいなカラー色刷りで、感覚的に感じ取れる。 おもしろかった地図は、 「19世紀のアフリカにおける前植民地時代の構図」 現在の国境線と19世紀のアフリカの各王国の範囲、ヨーロッパ諸国の植民地拠点が1枚に表わされる。王国の間に国境線があるのがわかる。モロッコ王国など王国とつく国が30近くある。 「ドンバス地方とロシア・ウクライナ紛争図」(2016図)、 「南カフカスの国境と問題図」(2017図)、 「中国西部の辺境と国境のかけひき図」(2007図)、 「中国が権益を主張した南シナ海の11段戦図」(2016図)などタイムリーな図も載っていた。 ・国境とは、当該地の政治的ないし宗教的な権力によって確定された、空間的な境界を具体化している。 ・国境は歴史の偶然を自然に受け継いでいる。 ・国境は経済的な利益あるいは地政学的なパッションに応じて、いかにして管理され、再交渉され、手段化されているのか。 ・歴史の遺産としての国境は、権力抗争の果実である。~それが古代からいかにして押し付けられてきたか。 ・国境線を引き、前線を確立し、分離壁を築く3~それはけっしてささいなことではない。国境の表象はたんなる策略ないし主観にすぎないのか。 ・国境は2国間の境界にすぎないのか、それ以上のものなのか~現代のグローバル化した世界にとって、国境とは何なのか。 ・国境の状態はさまざまな危機のよって混乱させられる~それは地域的ないし地球的な規模での新しい力関係にどのように作用するのか。 2022.2.25第1刷 図書館
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