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僕の児童精神科外来の覚書 の商品レビュー

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2022/05/20

尊敬する田中康雄先生の新刊ということで、早速手に取ってみた。本書は雑誌「そだちの科学」に、8年間にわたって連載された記事をまとめたものであり、田中先生の臨床における基本姿勢と理念、考えが余すところなく盛り込まれている。 内容は大きく以下のように分かれている。 1「はじめに」 2...

尊敬する田中康雄先生の新刊ということで、早速手に取ってみた。本書は雑誌「そだちの科学」に、8年間にわたって連載された記事をまとめたものであり、田中先生の臨床における基本姿勢と理念、考えが余すところなく盛り込まれている。 内容は大きく以下のように分かれている。 1「はじめに」 2「であう」…保護者、子ども、他職種との出会いや繋がりについて。 3「みたて かかわる」…診立てとは、そして関わり続け聴き続けるということ。 4「そだつ」…就学前、小学校前半/後半、不登校について、思春期 5「ひろげる」…親への支援 6「おわりに」 いずれの文章からも、相談に来られる子どもたち、そしてかれらを支える家族や支援者に向けての限りなく温かく優しく、ひとりひとりの立場に寄り添った視線が感じられる。本当にお忙しくされているであろう日々の診察や相談の中で、これだけ真摯に向き合っておられることに頭が下がるとともに、クリニックをはじめ他機関の専門職へのリスペクト、そして連携への想いが溢れていることを素晴らしく思う。 先生とは何度かお話しさせていただいたことがある。ある会でお話された内容についてツイートしたところ、「ばじるさん、読みましたよ」とお声かけくださったことがあった。 直接お目にかかったのは数回ほどなのに覚えてくださっていたことに感激するとともに、こうして名前を呼んで話しかけてくださることに救われてきた子どもたちや親御さんも多かったのであろうなと想像した。 私は医療者ではないが、読むたびに襟を正すことになるだろう本書はこれから臨床をやっていく上で「足下を照らす灯」のような本だ。 子どもの臨床に携わる方みなさんにお薦めしたいと思う。

Posted byブクログ