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私の盲端 の商品レビュー

3.2

30件のお客様レビュー

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2025/02/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

全体的に茶色な話。肉肉しい。 そして、全部自分が体感したことないはずなものなのに、なんだかめちゃくちゃリアルに感じる。 生物として生きるってこういうことか、と思った。 グロいし汚いし、私自身若干潔癖な節があるので、あんまり読み進めたくないと思う瞬間も正直あった。 でも、実際問題汚い部分は生きてくうえで切っても切り離せない。 このグロさや汚さぜーんぶ含めて、これが生きるということなのかも、と思ってしまった。 食べること、出すこと。全部ぐちゃぐちゃ。 性欲もそう。昂って出すって、排便と同じなん?とか思ってしまった。 この小説が書けるのって、現役医師っていうのもあるんだろうなぁ。 実際に人間の生の身体を、臓器を、排泄物に日々触れるからこそ、ここまでリアルに感じられる描き方ができるんだろうなと思った。 私の知り合いの医療関係者もなんか「人間」の物理的なリアルをよく知ってるイメージ。 そしてそれを表現できる言語化能力とか、描写の力もすごすぎ。 この本読んだ後、食欲はなくなるけど、けっこうレアな読書体験ができたと思う。 塩の道はまだ読めてないので、読んだら追記する(備忘)

Posted byブクログ

2024/12/14

表題作と「塩の道」の2編。 表題作はオストメイト(=人工肛門を造設した)の若い女性が主人公の話です。実は私の母もオストメイトでした。ですから、物語の中で描かれるかなりショッキングな情景の多くは思い浮かべることができます。もっとも母はほぼ車いす生活になってからの造設でしたから、この...

表題作と「塩の道」の2編。 表題作はオストメイト(=人工肛門を造設した)の若い女性が主人公の話です。実は私の母もオストメイトでした。ですから、物語の中で描かれるかなりショッキングな情景の多くは思い浮かべることができます。もっとも母はほぼ車いす生活になってからの造設でしたから、この主人公とは特に精神面では大きく違います。パウチ(排泄物を一時的に受ける袋状の装具)を着け、時にパウチ内の排泄物の重さを感じながら仕事をし(しかも飲食業界)、自分の目で見ながらそれをトイレで処理する。同じくオストメイトの若い男性と知り合い、奇妙な交流。 「塩の道」は多くの末期患者の死を医者の視点から描いた作品。テーマから言ってもちょっと南木佳士的世界ですが、もっと泥臭く力強いかな。 医者らしい刺激的な視点は面白いけれど、主人公の心情の、意図的に開けられた隙間が大きすぎて、ついて行けません。行きつ戻りつ2度くらい読み直したけれど、なんだか消化不良です。前に読んだ『植物少女』もそんな感じが有りました。そういう作家さんなのでしょうね。

Posted byブクログ

2024/12/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

軽くさくっと読める、ただ内容は一定の重量を持ち・かつ自分が浅い知識だけ持っていた分野に関すること、と言うことで、感覚は『ハンチバック』に近い。図らずも両方、身体にまつわることだし。著者の本は、最新作は芥川賞も取って図書館の待ち列が長すぎるのでw、ほとぼり冷めるまでは他の『植物少女』『あなたの燃える左手で』をまずは読もうと思うのだけど、本当に文学賞総なめしてて面白い笑 本作は「私の盲端」「塩の道」の二作を収録。どっちかというと表題作の方が好き、というか緊張感を持ちながら読んだ。そもそも人工肛門が、どうなっているのか知らなかったし、オストメイトトイレも、あるなーと思いつつ、空いてたら入ってもいいかなーとか思っていた。 特に好きだったのは、最後の方に、京平とセックスするシーン。人工肛門でするその行為は紛れもなくセックスであり、重要な排泄にもつながる感覚を得るものであって、改めて性交/排泄については考えなくてはいけないなと思った。 また相手の人工肛門に涼子から指を入れるシーンも、その前段階としてのシーンは用意されてたからなるほどこう繋がるのかと思ったが、それ以上に女性が「挿入する側」になる(キスやアナルセックスなどはその一形態として人工肛門が付いてなくてもできるわけだが)ということが強く意識されるところに、転換?を感じて私は好きだった。 「塩の道」は地方にはこういうところ実際にあるんだろうという実感を持つというので読めたけど、方言こんなに強かったら、聞き取りはかなり難易度が高いだろうな、文字で読んでも一瞬理解できないが…というところにも意識を持って行かれてしまった。。 とりあえず他作品も読んでみる

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2024/11/06

「私の盲端」ストーマを持つオストメイトのあるある話に留まらず、その先を二歩も三歩も進んでいる。 デビュー作「塩の道」は登場人物名が多く混乱したけど、病院で生かされて自分が死んでるのか生きてるのかわからないような虚ろな老人と、病院がこれまでなかった辺境地で苦痛に耐えながら自分が死に...

「私の盲端」ストーマを持つオストメイトのあるある話に留まらず、その先を二歩も三歩も進んでいる。 デビュー作「塩の道」は登場人物名が多く混乱したけど、病院で生かされて自分が死んでるのか生きてるのかわからないような虚ろな老人と、病院がこれまでなかった辺境地で苦痛に耐えながら自分が死に往く瞬間を眺めている老人とその家族の対比が強く印象に残った。

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2024/10/28

人工肛門がこんな感じなのか。と言うことが実感できた。さすが医者ですね。 この人の本をもっと読んでみたい。

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2024/09/16

 オストメイト、全く未知の世界だった。オストメイトの涼子の日常が書かれていた。正直、あまりにも赤裸々で初めは抵抗感があったが、涼子が不便さを感じつつも、自分らしく生きていこうとする姿勢に好感をもった。  パンチバックを読んだ時もそうだったが、主体的に人生を謳歌する気持ち、自分は大...

 オストメイト、全く未知の世界だった。オストメイトの涼子の日常が書かれていた。正直、あまりにも赤裸々で初めは抵抗感があったが、涼子が不便さを感じつつも、自分らしく生きていこうとする姿勢に好感をもった。  パンチバックを読んだ時もそうだったが、主体的に人生を謳歌する気持ち、自分は大分忘れていたなと考えさせられる。

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2024/09/07

涼子の生活は一変した__腹に薔薇のような人工肛門が出来た日から。生々しい表現が多く、胸の辺りがもやもやして休憩を挟みながら読みました。これは裏表紙に書いてあった読者の内蔵を刺激するってこと...か?装画の毒々しさが内容と合ってるなと思いました。

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2024/09/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『私の盲端』では、こういう生き方をしている人が身近にもいるのだと痛感させられた。主人公がこれからどう生きていくのだろうと結末が早く知りたくて、続きが早く読みたくなるような小説だった。自分がいつ同じ立場になるのかわからないということと、その中で京平という人間の優しさを感じた。 小説を読んで初めてオストメイトという存在を知り、意識して周りを見てみると、自分の生活圏にもオストメイトマークはあり、今までは見えていなかっただけなんだと実感させられた。 『塩の道』では死は意外と身近にあるということ、終末医療の残酷さを感じた。一方で、寒村の人たちの死生観(特に死に瀕している病人の前で目を逸らさずに食事をする姿)、漁師の力強い生き方をこの小説を通して感じた。漁師と陸の人間で、分かれているのも自分にはない考え方だった。だからといって、村の人たちの生き方が良いと言っているわけではなく、村の、漁師の人たちの生き方を淡々と描いているのが印象的だった。

Posted byブクログ

2024/07/31

人工肛門となって、これまでとは違う生活をしなければならなくなった大学生を描いた表題作では、肉体の変化を感傷的にではなく、そうなってしまったが故に意識していくという書き方をしていて、詳細な描写からもその凄みが伝わる。 福岡の繁華街と青森の漁村で人を看取る中年医師が主人公の『塩の道』...

人工肛門となって、これまでとは違う生活をしなければならなくなった大学生を描いた表題作では、肉体の変化を感傷的にではなく、そうなってしまったが故に意識していくという書き方をしていて、詳細な描写からもその凄みが伝わる。 福岡の繁華街と青森の漁村で人を看取る中年医師が主人公の『塩の道』では、死へと向かう漁師たちの鮮烈な生き様が肉体描写からわかり、現役の医師であるという著者の人を見る視点も感じられる。これまで読んだことのないタイプの小説集で、すぐ読めたけど手応えはずっしりとあった。

Posted byブクログ

2024/05/25

人工肛門保有者の話。 仕事柄、高齢者に対してパウチの交換などのお世話をしたことがあるが、本作は若い女性のお話であり、乗り越えて行く数々を考えると辛いのだが、その界隈のプレイ的な話も入り込み深刻になり過ぎず読了した。 ディープなバイト先にも、ちと笑った。

Posted byブクログ