詳解 クラウド型ネットワークのインフラ技術 の商品レビュー

笠野英松(著者)

社内教育に利用

[クロッカー]

　４月からの社内中堅SE教育の教本に考えている。以下はその理由である。
　一番の取り得は、小生の経験して来た、そして、小生が考える今後の技術動向の全体像が、概要と詳細、そして、関連性、を網羅していることである。
　この書籍のすべてを経験して来たわけではないが、方向性については同意できる。とくに、インストールからの具体的な操作手順は誰かが言っていたが、そんなものはマニュアルやガイドを見て行えばよい話しだし（逆に、そうでなければ、初心者ならばまだしも、一応の技術者としては失格だ）、技術構造をネットワークのようにどうつながっているか見てゆくことの方が最も重要だ。
　上下階層とその階層内の広がり、を基本とした書籍構成も、ICT技術者の基本中の基本であるOSIが基本になっていて適当である。
　また、RFCに関してもポイント図解式RFC事典の著者らしいポイント解説でわかりやすい。
　じっくり読んでみて、新旧技術を対比しながら解説されているので、動き（動向）的な見方ができるし、インタフェースやクラスタリング、仮想化は網羅されているし、メリット、デメリットが専門技術者からの実践的な観点から書かれているので小生にとっては非常に役立つ。
　評価を高くしているが、ひとつだけ難点と言えば、基礎からと書いてあるが、初心者レベルでは難しすぎるので、第１章、第２章と第８章以外は各章の概要的なところから始めたほうが良いだろう。
　また、パブリッククラウドについて、多少好意的であるように思えるが、弊社のようにパブリックをまったく使用しない（意図的に）ようなところも突き詰めてほしかった。