あれは子どものための歌 の商品レビュー
ファンタジーとミステリの融合、それだけではよくあるタイプもかもしれないけどどこか違う。昔話のような、乾いた残酷さとシニカルさを感じさせる。キャラも立ってる。うん、おもろいですよ、これ。この世のことわりに背く願いを叶える者ワジとの契約とその利用のしかたについての推理。 【商人の空...
ファンタジーとミステリの融合、それだけではよくあるタイプもかもしれないけどどこか違う。昔話のような、乾いた残酷さとシニカルさを感じさせる。キャラも立ってる。うん、おもろいですよ、これ。この世のことわりに背く願いを叶える者ワジとの契約とその利用のしかたについての推理。 【商人の空誓文】城の料理長の息子だったキドウと、旅人カルマと、ノドの国の滅びと、商人フェイ。「過去を知る奴らは厄介だ。少ないに限る」(p.9)。「お前の知っていることが、どうして真実であると言える?」(p.11) 【あれは子どものための歌】声と引き換えに賭けに負けない力を手に入れた娘エミリアと、商人フェイと、この世のことわりに背く願いを叶える者ワジと、イカサマ師二人組と、青年タシット。 【対岸の火事】ワジと、なんでも治せる医師スキピオ(コルネリウス)と、彼を調査しているカルマと、宿無しの子どもヘジオラ。《ヘジオラは満月が好きだ。何だか空の上から見守られているような気がするから。》p.138。カルマ《俺は人として、人の世で生きることを望んでいる。》p.140 【ふたたび、初めての恋】恋する詩人ユーシオンと、彼が恋する女性パメラと、ワジと、ザンダールきっての豪商の絶縁した息子フェイと、宿屋の娘アネシカと、植物学者(賢者)ベッテルと、貴族の若き当主ダルジェロと、その友人で編集者ジグ。 【諸刃の剣】戦争を推し進めたい武器商人ローダンと、その息子だが戦争を阻止したいフェイと、フェイの相棒アネシカと、キドウと、形式上はローダンの部下のカルマと、ワジと、ヒルーの青年貴族ヘジオラ。
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架空の異世界を舞台にこの世の理に背く願いを叶える魔女とその魔女と契約し人生を狂わされた人々を追う短編集。 ひとつひとつを別々の物語として読んでいるうちに、数名のキャラクターを足掛かりにひとつの流れに収束していく物語だったと気づかされる。 この世の理に背く力に対抗する手段が、同じく理に外れる魔法じみた力ではなく、推理力と弁舌(屁理屈ともいう)というのは面白いなあと思う。 表題作の「あれは子どものための歌」は特にお見事。「対岸の火事」も好き。 ただ、作者の頭の中の出来事を読者の視界に再現するための翻訳の言葉が足りないと感じた。ところどころ何が起きているのかわかりづらく、読んでいて引っかかるのが勿体ない。 話の筋立てはとても良かった。
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世界観はとても好みなのでそこは良かった。 だけど、後半になるにつれ登場人物も多くなり話も複雑になっていき追い付けない自分がいました(^^;
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魔女の契約で不思議な力を得た人々の物語 「子供のための歌」美声と引替えに"どんな賭けにも勝つ力"を得た少女。最強能力だが不幸に陥る。旅人が仕組んだ声を取戻す駆引きが秀逸。 最終話,影男カルマが人間になれば問題解決。でも魔女は意地悪。
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1話目は、まさか影の分離なんて現象がマジでありうる世界とは思わなくて、寓話として読んでいたものだから、ラストの収束についていけずに置いてきぼりを食わされてしまった。 そういうサプライズなんだろうけど感心より困惑が勝ってしまって……。 2話目以降はそういうものとわかった上で読めたけど、うーんなんだろう。メインキャラや世界観には魅力を感じられなくて、いまいちハマれなかったです。 描写がサラッとしててあんまり生活感を感じなくて「よくある中世風ファンタジー」の範囲を脱してなかった。 ただ表題作の出来は頭抜けていたと思う。 ワジとの契約解除のロジックが面白かったし、声を失っても歌を忘れなかったエミリアの行為が残酷な形で過去を呼び起こす展開が悲劇的で実にイイ。 タイトルのダブルミーニングが決まってた。 3話目は「メイドインアビス読んだのかな?」って思ったし、5話目は侵略中止の流れがあっさりしすぎててこんなにうまくいくか? と物足りなかった。
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非常に上質な5つの不思議な物語が紡がれた連作短編集。この世の理に背く願いを叶えるワジという怪しい女性に翻弄される人々の物語でもあるし、それに抗おうとする旅人のフェイの物語でもあるし、影男の物語でもあり、5つの恋物語でもある。しかし、その背後では一つの国の命運を左右する企みも進行し...
非常に上質な5つの不思議な物語が紡がれた連作短編集。この世の理に背く願いを叶えるワジという怪しい女性に翻弄される人々の物語でもあるし、それに抗おうとする旅人のフェイの物語でもあるし、影男の物語でもあり、5つの恋物語でもある。しかし、その背後では一つの国の命運を左右する企みも進行していく。この本が作者の単行本デビューであるというから驚嘆する。次作にも期待するよ!
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8年ぶりにある旅人と再会した料理人。二人は過去の飢饉に苦しむ国を救った商人の思い出話をし、また不思議なナイフで自らの影を切り落とした男の話をする…少し不思議なちょっと奇妙な味のする一話目の「商人の空誓文」。ストーリーは時を経て、人物を少しずつ重ねて連作短編の形で進む。一つ一つの話...
8年ぶりにある旅人と再会した料理人。二人は過去の飢饉に苦しむ国を救った商人の思い出話をし、また不思議なナイフで自らの影を切り落とした男の話をする…少し不思議なちょっと奇妙な味のする一話目の「商人の空誓文」。ストーリーは時を経て、人物を少しずつ重ねて連作短編の形で進む。一つ一つの話をきちんと落としながら、5つ目の「諸刃の剣」ですべての話が伏線として緻密に組み上げられたことに気づき、読後大きく息をついた。さあ、この世の理に背こうとしたものたちの結末は。一番印象深いのは、ミステリとしての美しさに感嘆した表題作。
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8年ぶりに因縁のある旅人と再会した料理人 飢饉に苦しむ国を奇策で救った商人 不思議なナイフで自らの〝影〞を切り離した男 どんな賭けにも負けない力を得た少女 あらゆる傷を跡形なく消し去る名医 宿に泊まったカップルに起きた異変 ふらりと現れる「この世の理に背く力」を持つワジに人生を狂...
8年ぶりに因縁のある旅人と再会した料理人 飢饉に苦しむ国を奇策で救った商人 不思議なナイフで自らの〝影〞を切り離した男 どんな賭けにも負けない力を得た少女 あらゆる傷を跡形なく消し去る名医 宿に泊まったカップルに起きた異変 ふらりと現れる「この世の理に背く力」を持つワジに人生を狂わされるお話したち。 それが最後に一つの物語となって。 アラビアンナイト?宝石の館?どこかで出逢ったような不思議な物語たちが、最後にフッと収束。 パズルの最後のピースがパチリとハマった音がした気が。 ただフェイとカルマと印象が似ていて途中混乱。 狙ったのかな。
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【収録作品】商人(あきんど)の空誓文(からせいもん)/あれは子どものための歌/対岸の火事/ふたたび、初めての恋/諸刃の剣 魔女との契約で、不思議な力を得た者たちをめぐって起こる事件に、「行商人」フェイが人間の知性と平和を愛する心で立ち向かう。 フェイはいいキャラだが、最終話はちょっとうまくいきすぎな気はする。もう一人の主人公・カルマのほうが人間的か。
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