ジャム、ゼリー、マーマレードの歴史 の商品レビュー
ほとんど皆と言っていいほど、口にしたことのあるものにジャム、ゼリー、マーマレードがある。 これらの歴史をたどるのが今回の本だ。 残念ながら、現在のジャム、ゼリー、マーマレードのもとになったものは、昔に作られたので、起源にまつわる文章は残っていないそうだ。 ...
ほとんど皆と言っていいほど、口にしたことのあるものにジャム、ゼリー、マーマレードがある。 これらの歴史をたどるのが今回の本だ。 残念ながら、現在のジャム、ゼリー、マーマレードのもとになったものは、昔に作られたので、起源にまつわる文章は残っていないそうだ。 それでも古代ローマ時代のかなり前から、甘みを付けたドライフルーツを使った混合食品は作られていることは分かっている。 古代ローマ人は、ハチミツとデフルタムという濃厚なブドウシロップを一緒に容器に入れて密封していた。 ハチミツは世界中で果物のプリザーブ(果物に砂糖を加えて煮詰めた保存色の総称)用に使われていた甘味料だった。その理由は、世界中で貧富の差に関係なく手に入り、ハチミツに坑細菌性と坑真菌性があり、おいしいからだ。 ジャムとマーマレードは、発明した国家として6世紀にすでに砂糖を作っていたササン朝ペルシアが有力候補になると著者は述べている。 ペルシアの料理人は、砂糖のみならず、ジャムの定番の果物をほとんど使っていた。 甘いものを求めるのはミツバチやクマに限らず人間もそうだな。 マーマレードは、1世紀にギリシアの医師が消化不良を治すために調合したマルメロの硬いペーストがもとになっている。 「ジャム(jam)」と言う言葉を初めて使ったのは、家庭料理人レベッカ・プライスだった。1681年に、スライスした外皮を利用して、ゲル化するために中果皮(ちゅうかひ)という外皮の内側にある白い部分を使った現代風のオレンジ・マーマレードのレシピを初めて書き残した。 ちなみにジャムのスペル「jam」は、初期のレシピではたまに「giam」となっているそうだ。 ジャム、ゼリー、マーマレードと言えば、イギリスだ。デパートの「英国展」でよく見かける。 そんなイギリスだが、18世紀の時点では甘いプリザーブは上流階級のごちそうで、ジャムを塗ったパンを貧困層が食べるようになったのは19世紀後半になってからだ。 ゼリーの歴史で、初期のレシピを見ると、14世紀の調理人は魚やブタを煮詰めてゼラチンを抽出して、肉や魚のカスが混じったゼリーを作っていた。現代人が想像するカラフルでプルルンとする甘いゼリーを見慣れているので驚きだ。 時代が変わってもジャム、ゼリー、マーマレードを求める人々の欲求は変わることがない。パンに塗って食べたり、食後のデザートに食べたり、楽しみがある限りなくなることはない。
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古代ローマ時代より前から果物・ベリー類とハチミツを混ぜて保存食をつくっていた。 プリザーブの3要素:ペクチン、糖類、酸。ゲル化するにはpHを3.0程度に
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